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春は“心の栄養”が足りなくなる季節?管理栄養士が教えるストレスとうまく付き合う心を整える栄養素


この記事に該当する目標
3 すべての人に健康と福祉を
春は“心の栄養”が足りなくなる季節?管理栄養士が教えるストレスとうまく付き合う心を整える栄養素

春は環境の変化が多く、知らず知らずのうちにストレスが溜まりやすい季節です。新生活や新しい人間関係、気温差などで心も体も揺らぎやすくなる、そんな時こそ、毎日の「食事」が心の健康を支える鍵となります。

今回は、ストレスの種類と特徴、そして管理栄養士の望月恵理子先生に聞いた、心を整えるために意識したい栄養素について紹介します。

そもそもストレスとは?良いストレスと悪いストレスの違い

⽇常⽣活で感じるストレスは、放置すると蓄積され、精神的な健康や⾝体の健康に悪影響を与えることがあります。ただし、全てのストレスが悪いものというわけではなく、モチベーションを⾼めたり、⽣産性を向上させたりするなど、⾃分にとって有益に働く「良いストレス」も存在します。適度なストレス(緊張感)は、⼼⾝の適応能⼒を⾼め、成⻑や達成感をもたらします。

同じストレッサー(原因)であっても、受け⽌め⼿の体調や気持ちの状態によって、「良いストレス」「悪いストレス」どちらにもなる可能性があります。そのため、⾃分が何にストレスを感じやすいのか、またどのような状況に耐性を持っているのかを理解しておくことが重要です。

悪いストレスを溜めないためのポイント

悪いストレスへの対策方法として意識したいのは4つ。
まず「ストレスに気が付く」こと、そして質の⾼い十分な睡眠をとること、適度な運動をすること、栄養バランスが取れた規則正しい⾷事をすることです。

今回、注目したいのはこのうちの1つ、食事。

私たちの体は、ストレスを感じると⾝を守ろうとする反応を⽰し、その過程で特定の栄養素が消費されます。体内でこれらの栄養素が不⾜していると、ストレスに対する抵抗⼒が低下する可能性があります。ストレスに負けない体を作るためには、消費された栄養素を適切に補うことが⼤切です。

心も体も揺らぎやすい春こそ栄養を味方に

ストレスを受けると、体内でコルチゾールというホルモンの分泌が増加します。コルチゾールはエネルギーの⽣成を助ける働きがあり、普段から⼀定量分泌されていますが、ストレス時にはその分泌量が増加し、ストレスに対抗しようとします。

しかし、コルチゾールの分泌が⻑期間続くと、⾎糖値の上昇や免疫機能の低下など、健康に影響を与える恐れがあるため、コルチゾールの分泌をコントロールすることが重要です。このコントロールのサポートにビタミンやミネラルなどの栄養素が関与しています。

また、コルチゾールの分泌量が増加すると、神経伝達物質であるセロトニンの⽣成や働きにも影響を与えることが知られています。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、精神の安定に重要な役割を果たします。セロトニンが不⾜すると、疲労感や不眠、さらにはうつ症状が現れることがあります。そのため、セロトニンを適切に⽣成することが⼼の安定には⽋かせません。

セロトニンの⽣成には、トリプトファンというアミノ酸が必要ですが、トリプトファンは体内で作ることができないため、⾷事から摂取する必要があります。適切な栄養を摂ることが、ストレスへの対処に役⽴つと⾔えます。

以上のことから、ストレスに負けない体をつくるため、望月先生が勧めてくれた栄養素は、ビタミンB6、カルシウム、マグネシウム、トラストファンの4つ。

神経伝達物質の⽣成に関わる「ビタミン B6」は、⽜⾁や豚⾁、鶏⾁、レバー、またマグロをはじめとする⿂の⾚⾝、ひまわりの種やピーナッツなど、さまざまな⾷品に含まれています。神経の伝達をサポートする「カルシウム」は、⽜乳や乳製品をはじめ、⼲しエビや煮⼲しなどの⼩⿂、海藻、野菜類に多く含まれています。神経伝達物質の調整をサポートする「マグネシウム」はごま、アーモンド、⾖類、⼤⾖製品に豊富に含まれています。そしてセロトニンを⽣み出す必須アミノ酸「トリプトファン」は、チーズやヨーグルトなどの乳製品、レバー、⼤⾖製品、ナッツ類に多く含まれています。

それぞれの栄養素を意識してとり入れて、悪いストレスを感じることを少しずつ減らしていきましょう。私たち一人ひとりが日々の食事を通して自分の心と体を整えることは、「すべての人に健康と福祉を」を掲げるSDGsの目標3にもつながります。


栄養素についてもっと詳しく知りたい方は、以下のサイトも合わせてチェックしてみてください。
⽇本のこれからの健康と栄養素についての正しい知識づくりをサポートするWEB サイト
『⼤塚製薬 栄養素カレッジ』

・監修者
株式会社Luce代表取締役/健康検定協会理事⻑
望⽉理恵⼦(もちづき りえこ)⽒

管理栄養⼠/⼭野美容芸術短期⼤学講師/
服部栄養専⾨学校特別講師/⽇本臨床栄養協れ会評議員
サプリメント・ビタミンアドバイザーなど、栄養・美容学の分野で活躍。
多くの⽅が健康情報を学ぶための健康検定協会を主宰するとともに、テレビ・雑誌などで根拠ある栄養学を提供。
「栄養学の◯と×」、「やせる時間に⾷べてみた︕」など著書も多数発刊しており、 現在15冊⽬の「⼦どものための時間栄養学(仮)」を執筆中。


執筆/フリーライター Yuki Katagiri