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ふるさと納税が10月から改正!原材料がアメリカ産でも地産地消と言えるのか?


ふるさと納税が10月から改正!原材料がアメリカ産でも地産地消と言えるのか?

仕事や進学で引っ越しても恋しくなる故郷。自身の地元にはそれぞれ自慢したいグルメや観光地がありますよね。
離れていても故郷を応援できるのが、2008年から導入された「ふるさと納税」。自分の地元に納税するのも良し、興味があったり旅行などで行ってみて素敵だと感じた地域を応援するのも良しの、魅力的な取り組みです。
納税をするとその地域から特産物が送られ、自宅で地方の食材や文化に触れることができることで人気を博した「ふるさと納税」は、令和4年度においては、前年度比1.2倍の約9654億円、件数も前年比1.2倍となる約5184万件にのぼり、多くの国民に利用される制度となりました。
この「ふるさと納税」が、2023年の10月から改正することが発表されたのをご存じでしょうか?
この改正によって、返礼品や納税額も変わる見込みです。この機会に深掘りしていきましょう。

ふるさと納税は本当にふるさとに貢献しているの?

「ふるさと納税」は、自分で選んだ自治体に納税をし、自治体からそのお礼として地域の特産品が返礼として送られる画期的な仕組みです。年間で納税できる額は人によって決まっていますが、自己負担額が実質2,000円で高級食材や地域の文化に触れられる品をいただくことができます。
寄付金額が所得税や住民税から控除され、自分が好きな食べ物を返礼品として選ぶことができる、まさに一石二鳥な仕組みです。最近では、日用品をすべて「ふるさと納税」でまかなう人まで出てきているというのが驚きです。
しかし、現在の制度では基準を逸脱した返礼品が多く、問題視されています。
例えば返礼品として人気な牛肉は、カットしてタレに漬けこむような加工作業をその地域で行えば、「地場産品」としてみなされています。原材料の牛肉がオーストラリアやカナダといった輸入品でも、地場産品という取り扱いになっており、日用品のトイレットペーパーやティッシュペーパーもアメリカ産など海外のものが多く、地元のものを消費するという点で疑問視されていました。
本当にその地域を応援したいと思って納税をした人からすると、県外や外国産の物を使った返礼品は違和感があるかもしれないですよね。

10月からふるさと納税はどう変わるの?

このような背景がある中、総務省は2023年6月27日、2023年10月~2024年9月の指定期間における改正内容を発表しました。
これまでの基準では、返礼品として人気が高い肉や魚、お米などは、その地域で熟成や加工されたものであれば、他の都道府県、または海外の食材を使用していたとしても、ふるさと納税の返礼品としてみなされていました。

しかし今回の改正で、熟成肉と精米に関しては「原材料が該当する自治体と、同一の都道府県内で生産されたものに限る」という決まりになりました。今までは県外のお米を地元で精米していたり、海外で調達した肉の加工のみを地元で行っていましたが、今後は安心して「地場産品である返礼品」を受け取ることができます。

また、経費ルールも見直されました。これまで、自治体が返礼品にかけるお金は寄付金額の3割以下、事務手数料や送料を含む経費の総額を5割以下とされていましたが、今回の改正で、従来は含まれていなかった寄付金受領証の発行・郵送費なども経費に計上するよう明確化されました。

ふるさと納税は実際にどのように活用されているの?

自治体を応援する気持ちで寄付するお金が、実際にどのように使われていくのかご存じでしょうか。岡山県吉備中央町では、引退したサラブレッド(競走馬)のセカンドキャリアを支援するため、リトレーニングを行うことで、乗馬の普及・奨励に関する事業、馬との触れ合いを中心としたセラピーリゾート事業を広く国民に対し行い、社会教育の推進及び社会福祉の増進、地域振興並びにスポーツの振興に寄与することを目的とした、「引退した競走馬のセカンドキャリア支援」として使用されています。

また、青森県 弘前市では 「天守を動かす100年ぶりの石垣修理」として使用され、平成の大修理にまつわる様々なイベントにより街も活気づき、SNSなどでも話題となりました。返礼品で自治体を選ぶのではなく、「寄付の使い道」から自治体を選んでみるのも良いかもしれません。

ふるさと納税で地元とつながろう

自分の故郷を応援したい、返礼品が魅力的など「ふるさと納税」を利用する方の考えは様々ですが、地方自治体にとっては、ふるさと納税で“地元の魅力を知ってもらえる”“地元産業の活性化につなげられる”という共通メリットがあります。今年の10月からの新しいルールによって、ふるさと納税本来の趣旨に沿った運用がより適正に行われることも期待されています。ふるさと納税のルールが10月から変わるのを機に、今まで試したことがなかった方も一度試してみてはいかがでしょうか。