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SDGs時代の家づくり:シロアリと災害対策の新常識


この記事に該当する目標
11 住み続けられるまちづくりを
SDGs時代の家づくり:シロアリと災害対策の新常識

毎年9月は防災月間でした。関東大震災が1923年9月1日に発生したことから定められましたが、毎年防災に関する報道も多く、この時期になると、防災について見直す方も多いのではないでしょうか?

避難経路や防災備蓄を見直したりすることももちろん大切ですが、本記事ではSDGs17の目標の「11.住み続けられるまちづくりを」の視点からある意外な地震対策についてお話します。

地震の犠牲者の多くは家屋の倒壊に巻き込まれている

住宅倒壊のイメージ

2024年1月1日に起こった能登半島地震は記憶に新しく、一刻も早い復旧作業が求められています。この災害で最も多くの死者を出したのが、建物の倒壊などに巻き込まれた事による、窒息や圧死でした。さらに、1995年の阪神・淡路大震災でも、8割近い方が家屋倒壊の犠牲になっていたことがデータでわかっています。

地震の報道があった後、多くのハウスメーカーで「自宅の耐震性は大丈夫なのか?」という問い合わせが増えたそうです。国では2030年までに耐震性が不十分な住宅をおおむね解消することを目標として掲げ*、住宅を所有している方への支援を行っています。
*国土交通省:住宅・建築物の耐震化について

意外な地震対策、キーワードは「シロアリ」

シロアリによる被害にあった床下の様子

「うちはそんなに古くないし、耐震性については問題ない」と思っている方が多いと思いますが、実は注意が必要です。1995年の阪神・淡路大震災では「シロアリ」や「湿気」の被害に遭っていた住居の9割以上が全壊したという調査結果があります。シロアリや湿気の被害は建物の耐久性を低下させ、これらの被害に遭っている住宅は、被害に遭っていない住宅に比べて約4倍*1も全壊リスクが高まると言われているのです。また、近年多発している大雨やゲリラ豪雨による浸水被害もシロアリによる被害のリスクを高めていると考えられています。

*1出典:財団法人日本住宅・木材技術センター「平成7年 阪神・淡路大震災木造住宅等震災調査報告書」(平成7年10月9日発行)

一般的に新築時に施す防蟻処理の効果は、5年ほどで切れると言われています。新築の建物でも6年以上経過していたら、その家はシロアリのリスクに晒されていると言えます。

「シロアリ」調査は自分では困難、定期的な床下診断が大切

シロアリは国内の大部分に生息している“どこにでもいる虫”です。その一部が床下に入ると、家屋の荷重を支える柱や土台を食べて、家屋の耐久性を著しく低下させます。大切な命や家を守るためには、私たちはどうすれば良いのでしょうか?

シロアリ駆除の様子

シロアリ防除をはじめとした住宅のメンテナンスサービスを半世紀以上提供している株式会社アサンテの広報担当木村さんによると、「シロアリもシロアリ被害も普段は目に見えにくいため、春先から夏にかけてシロアリが羽アリとなって巣から飛び立つ“スウォーム(群飛)”の時期に慌ててご連絡をいただくことが多いです。しかし、シロアリは休眠しないため、年間を通じて床下で活動しています。主に生息している床下を日常的に意識するのは難しいかもしれませんが、定期的に意識を向けて確認していただくことが大切です。また、能登半島地震の被災地でも、ヒビの入った壁や屋根から雨水が染み込み、シロアリによる被害が増えてしまう可能性があります。一般の方はなかなか床下に入ることはできないと思いますので、一度プロに聞いていただくのがよいと思います。」と話します。

「シロアリ」対策に意外な生き物が大活躍!

ところで読者の皆さん、犬は好きですか?筆者は大好きです。
先ほど、シロアリは床下に生息しているため、人間の目で見て発見するのは難しいという話をお聞きしましたが、実は視覚ではなく嗅覚を使って、9割以上の確率でシロアリを発見できるすごい犬がいます。
そう、シロアリ探知犬です。

仕事中のシロアリ探知犬

アサンテでは、訓練を受けたビーグル犬「シロアリ探知犬」が2頭活躍しています*2。
シロアリ探知犬は日本ではマイナーな職業犬ですが、中古物件を売買する時にシロアリがいないという検査証明が必要になるアメリカ合衆国では、数百頭が活躍しているといわれています。なんと、日本にはアサンテが初めて導入したそうです。

避難経路や防災備蓄を確認したりするだけじゃない、意外な「防災」にご興味いただけましたか?
健康診断や防災対策は、なんでもないときにしっかり行うことで、命を守っていくものです。あなたの周りの大切な人たちがしっかりシロアリ対策をしているか、この機会に話してみるのはいかがでしょうか?

*2シロアリ探知犬による調査は頭数が限られているため、抽選の上、調査にお伺いできるかが決まります。催事出展時期などは対応できない場合があります。