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健康な人生のために古代の知恵を現代にー植物由来のファイトケミカルスとは?


この記事に該当する目標
3 すべての人に健康と福祉を
健康な人生のために古代の知恵を現代にー植物由来のファイトケミカルスとは?

人生100年時代とも言われる現代ですが、何歳になっても人生を楽しみたいですか?WHO(世界保健機関)が発表した世界保健統計2023年版によると、日本人の平均寿命は84.3歳、健康寿命は74.1歳となっています。健康寿命とは2000年にWHOが提唱した新しい指標で、健康上の問題がなく日常生活を送れる期間のことです。日本は長寿大国と言われていますが、注目すべきはこのギャップ。平均寿命と健康寿命の差は10年もあります。ソニー生命保険株式会社によるシニアの生活意識調査2023では、50歳以上のシニアの楽しみとして「旅行」、「テレビ・ドラマ」、「グルメ」、「映画・読書」が上位に挙がっていました。しかし、これらは健康でいられる期間が短ければ存分に楽しむことができません。では、この健康寿命はどのように延ばしていくことができるのでしょうか。

何歳になっても元気でいるために必要なファイトケミカルス

健康寿命を延ばすためには、病気やけがをしないことが大前提です。そこで、健康を保つために私たちができことを考えるべく、一般社団法人 国際栄養食品協会(AIFN)は、日本アムウェイ合同会社の特別協賛のもと、「ファイトケミカルス―植物がもたらす可能性」をテーマとしたトークセッションを12月5日(木)に日本アムウェイ合同会社 B1オーディトリアムにて開催しました。

AIFNの天ヶ瀬晴信理事長、オラン・クォン博士(梨花女子大学 栄養科学・食品学部 教授 アムウェイ・サイエンス・アドバイザリーメンバー)、アミット・チャンドラ博士(アムウェイイノベーション&サイエンス部門フェローサイエンティスト)を登壇者として迎えた第1回目は、健康で長生きするために、どのようにファイトケミカルスを役立てていくかということが話されました。

ファイトケミカルスとは、植物が紫外線や虫などから自分たちの身を守るためにつくりだす保護物質のことです。この物質が抗酸化作用や免疫力の向上など、人体に良い影響をもたらすことが知られています。

ファイトケミカルスの取り入れ方とその効果

栄養学の分野で注目されているファイトケミカルス。しかし、現代人が依存しがちな便利なファストフードや加工食品からは摂取できません。そのためWHOは1日500g以上のフレッシュな野菜や果物を食べることを推奨しています。さらに野菜や果物には様々な色がありますが、ファイトケミカルスにも多様性があり、1回の食事でより多くの色をとれるといいとクォン博士は語ります。

クォン博士とチャンドラ博士による研究では国を超えた被験者から得た複数の研究データを組み合わせた結果、ファイトケミカルスがビタミン・ミネラル・葉酸などと合わさると抗酸化栄養素の体内吸収率が高まることを裏付けました。人は年齢を重ねると体が酸化し、細胞の老化や血管の病気である動脈硬化などが進むと言われています。ずっと健康でいるためには、抗酸化栄養素をしっかり摂って体がさびないように気をつけることが大切なのです。

摂取が難しいファイトケミカルスの上手な摂り方

毎日が忙しい現代人にとってファイトケミカルスをきちんと食事から摂ることはとても難しくなっています。そこでサプリメントを上手に使って補うことができるという話もありました。しかし、サプリメント選びにはいくつかの注意が必要。信頼できる製品は「PSE」を基準に選ぶことを意識するといいそうです。PSEとは、P:Purity(純度)、S:Safety(安全性)、E:Efficacy(効果)で、サプリメントを製造する過程でこれらが厳しく審査されているかどうか、成分は問題ないかを確認することが大切だとチャンドラ博士は話します。このことから、サプリメントを選ぶ際には、植物薬理学を研究した上できちんと造られたものなのかを確認する必要があるといえるでしょう。

ファイトケミカルスの効果をもっと高めるためには

ファイトケミカルスは様々な栄養成分が複雑に影響し合って、調和をもって効果を出しています。漢方やアーユルヴェーダなどの東洋医学と同じく、自然の相乗効果が期待できるものです。だからこそ副作用なしに摂取できるともいえます。
また、ファイトケミカルスを摂りながら、日々のストレスを溜め込まないために質のいい睡眠と食事、有酸素運動、筋肉トレーニング、ストレッチを日常生活に取り入れることでさらにその効果を引き上げることができるとクォン博士が教えてくれました。

平均寿命が高い日本だからこそ健康寿命との差が大きくなると様々な問題が発生します。例えば、要介護状態の人が増えると年金や医療保険が圧迫され、将来的に必要な人が福祉を受けられなくなってしまう可能性もあります。SDGs目標3にあるようにすべての人に健康と福祉を届けられるように、一人ひとりが気をつけて、健康寿命を少しでも延ばしていきましょう。ファイトケミカルスは古代からある知恵が現代の技術に結びついたものだと言えます。元気なうちから自然由来の栄養をしっかり摂って、後から副作用の強い薬を飲む必要がないようにしたいですね。

執筆/フリーライター 北原沙季