絶滅危惧種の保全とSDGs
この記事に該当する目標
みなさん、SDGsの目標のなかにある「陸の豊かさも守ろう」という項目では、定められている12個のターゲットのうち、半数以上のターゲットで「生物多様性と生態系の保全」が謳われているのはご存知でしょうか?
もちろん、絶滅危惧種の保全についても、設けられています。
例えば、
これには、私たち“人”の生活が、同じ地球で生きる多くの生命と環境を分かち合い、恩恵を「資源」として、生きものたちから得て暮らしているからにほかありません。
しかし、近年の人類による環境の搾取は、生物多様性が持っている自然の回復力、生産力を、25%も上回る規模で資源を消費させ、一気に枯渇させようとしています。その数は、地球1.6個分の自然資源が必要ともいわれ、人間の消費は地球の生産力を超えています。
(「生きている地球レポート2020~ 生物多様性の減少から回復へ ~」より)
地球上の生物は非常に長い時間をかけて地球の環境に適応してきました。しかし、産業革命以後の人類の利便性を向上するためによる生物環境の激しい変化が日々起きています。このことにより、生物の環境適応が間に合わなくなり個体数が減少する・絶滅してしまうことが増えてきました。これまで彼らが担ってきた役割が欠けてしまい、地球環境の平衡を保つのが難しくなってきています。
たとえば、食物連鎖の頂点に位置している動物の個体数が著しく減少すれば、それ以下に位置している動物の個体数に大きな変化が生じてしまうことが容易に想像できます。個体数の大きな変化により生物環境の変化も生じることになります。
さらに、その環境に適応できないことにより個体数を大幅に減らしてしまう生物が出てきてしまうと考えられます。例え一種の生物の個体数の変化が多くの種類の生物の個体数の変化に影響してしまいます。
生物環境の変化を対策するためには社会全体で取り組まなければなりません。そのための目標15「陸の豊かさも守ろう」であり、紐づくターゲットには生物多様性や生態系の保全が達成目標として盛り込まれています。
日本ではどういった取り組みが行われているのでしょうか?
一つには、2020年7月1日から日本ではプラスチック製の買い物袋の有料化があげられるでしょう。
生物環境の変化の原因として長年考えられてきた廃棄物による環境汚染について対策が必要であり、レジ袋の有料化は環境にやさしい社会づくりという目的で行われましたが、環境にやさしい社会づくりが間接的に絶滅危惧種の保全にも繋がっていきます。
世界においては、SDGsに対する取り組みがその企業の評価や投資の是非を決める重要な判断基準にされていることが増えており、企業全体を挙げてSDGsに取り組みやすくなるような社会づくりを進めています。
現在、IPBESは約100万種の動植物が数十年のうちに絶滅すると警告をしており、この絶滅ペースは過去1000万年の平均より10倍から100倍速いとされています。このままではいつか人間が絶滅の危機になるときが来てしまうかもしれません。人類がそのような危機にさらされる前に、一早く対応していきたいです。
執筆:早稲田大学 創造理工学部 森田 椋人
編集:SDGs MAGAZINE