「美の力」で女性をエンパワー。日本ロレアルが挑む社会課題解決の20年と未来
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3月8日の「国際女性デー」を前に、改めて注目したいのが、化粧品業界を牽引する日本ロレアルの取り組みです。同社は「― Beauty for All, Beauty for Eachーすべての人のための美、一人ひとりのための美 ―」というグループ方針を掲げ、長年にわたり女性のエンパワメントに注力してきました。
SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」をビジネスの核心に据える同社の活動は、単なる企業の社会貢献の枠を超え、社会の仕組みそのものにポジティブな変化をもたらしています。5年間で約31万7000人もの女性を支援してきたというその軌跡と、2025年に節目を迎える支援事業の現在地を追いました。
非営利団体との共創で挑む、ブランドごとの多角的な女性支援


日本ロレアルがこれほどまでに女性支援に厚みを持たせているのは、なぜでしょうか。その根底には、女性の活躍が社会の持続可能な発展に不可欠であるという強い信念があります。同社内では女性管理職相当比率が51.6%(2025年12月現在)に達し、厚生労働省の「えるぼし認定」で3つ星を取得するなど、まずは自らがロールモデルとなる組織作りを徹底してきました。
特筆すべきは、グループ傘下の各ブランドがそれぞれのフィロソフィーに基づき、非営利団体と連携して展開する社会貢献活動です。
例えば、イヴ・サンローラン・ボーテでは、パートナーからの暴力(IPV)の防止を掲げた「Abuse Is Not Love」を展開。日本ではNPO法人女性ネットSaya-Sayaと協力し、若年層向けにデートDV防止のワークショップを行っています。世界で3人に1人が経験するといわれるこの深刻な問題に対し、2030年までに世界で200万人への啓発を目指すという壮大な目標を掲げています。
また、メイベリン ニューヨークでは、若い世代のメンタルヘルスをサポートする「Brave Together」を実施。NPO法人シルバーリボンジャパンと共に、悩める人に寄り添う方法を学ぶワークショップを提供しています。さらにロレアル パリでは、ストハラ(ストリートハラスメント:公共の場でのセクシャルハラスメント)に立ち向かうトレーニング「STAND UP」を開始。2025年からは認定NPO法人エンパワメントかながわと提携し、嫌がらせを目撃した際の具体的な介入方法「5D」を広める活動を本格化させています。
このように、各ブランドが独自の「社会的な顔」を持ち、専門性の高い非営利団体とパートナーシップを結ぶことで、課題の深部にアプローチしている点が、同社の支援活動の大きな特徴といえます。
20年続く「科学者支援」と、被災地に寄り添う「美の力」
今回、編集部が特に注目したのは、同社の支援が「一過性のキャンペーン」に終わらず、20年、30年という長期的なスパンで継続されている点です。


その象徴が、2025年に創設20周年を迎えた「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」です。「世界は科学を必要としており、科学は女性を必要としている」という理念のもと、これまでに81名の若手女性科学者を支援してきました。
受賞者の中から世界的な賞に輝く人材や、アジアを代表する若手リーダーが輩出されており、科学界におけるジェンダーギャップの解消に着実に寄与しています。


また、2024年の能登半島地震に際しても、震災直後からの支援金や物資支援にとどまらず、2025年からはハンドマッサージや専門相談を行う「安心の居場所」事業を始動させています。避難生活で「美」や「ケア」が後回しにされがちな状況において、ハンドマッサージを通じた心のケアは、被災した女性たちが自分らしさを取り戻すための大きな力となっています。
こうした「緊急時の支援」から「中長期的な自立支援」へのシームレスな移行は、長年女性に寄り添ってきた同社ならではの視点といえるでしょう。
「美」は社会変革の原動力。日本ロレアルが描く持続可能な未来
日本ロレアルの歩みを振り返ると、美しさは単なる外見の装いではなく、個人の尊厳を守り、社会を変革する原動力であることが分かります。企業が掲げる「サステナビリティ」が、いかに個人の人生に深く関わり、救いとなるか。同社の多角的なアプローチは、今後の日本企業におけるSDGs経営の在り方に一つの解を示しているように感じます。「美の力」で拓かれる未来は、誰もが自分らしく輝ける社会へと続いています。






