食の最前線が集まるFOODEX JAPAN、2026年のキーワードは“Swicy”
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世界約80カ国・地域から食品・飲料が集結するアジア最大級の展示会「FOODEX JAPAN 2026」が、3月10日から3月14日の4日間、東京ビッグサイトで開催されます。1976年の初開催から51回目を迎える本展は、単なる商談の場にとどまらず、次代の食の価値観を映し出す“トレンドの発信地”でもあります。今年FOODEX JAPANが提示するキーワードは、「Swicy」「クラフトスナック」「プレミアムインスタント」。
その背景に、消費者の価値観の変化や、持続可能な食のあり方を模索する世界的潮流が見えてきます。
2026年、“おいしさ”は持続可能性で再定義される


今回提示されるキーワードの1つ目が「Swicy(スウィーシー)」です。Sweet(甘い)とSpicy(辛い)を組み合わせた造語で、欧米を中心に広がりをみせる味覚トレンドです。しかしSwicyは、単なる味の流行にとどまりません。甘さと辛さという対照的な要素を調和させる発想は、異なる文化や背景を受け入れ、新たな価値を生み出す姿勢そのものを映しています。Swicyは、食の多様性を楽しむ時代の空気感を反映すると同時に、持続可能な生産消費を志向する変化の兆しともいえるでしょう。


2つ目のトレンドとして挙げられるのが「クラフトスナック」です。地域資源や独自製法を生かした商品を指します。国産原料の活用や、添加物に頼らない製法、オーブンで焼き上げる製法による油使用量の抑制など、商品の“中身”だけでなく、そのつくり方に価値を見いだす動きが広がっています。安さを競うのではなく、「どのようにつくられたか」で選ばれる商品が増えることは、生産者にとって安定した事業継続につながる可能性があります。


3つ目のトレンド「プレミアムインスタント」は、忙しい日常の中でも手軽さと品質を両立させたいというニーズの高まりを映しています。手軽さを備えながらも素材や製法にもこだわった商品は、従来の“インスタント”のイメージを塗り替えつつあります。
背景には、共働き世帯の増加や在宅時間の変化など、生活スタイルの多様化があります。調理の負担を軽減しながらも、食体験そのものは妥協したくない。そうした価値観が、外食の品質を自宅で再現する商品の増加を後押ししています。効率と満足を同時にかなえる発想は、限られた時間や資源を有効に活用するという点で、持続可能な暮らし方を模索する動きとも重なります。
展示会が映す、企業の未来への挑戦
食品展示会は、流行の最前線を示す場であると同時に、社会構造の変化を映し出す場でもあります。近年、消費者は価格や味覚だけでなく、製造背景や環境配慮の有無まで含めて商品を選択する傾向が強まっています。企業側にとっても、環境負荷の低減やトレーサビリティ確保は、もはや付加価値ではなく競争力そのものといえるでしょう。
注目すべきは、「効率化」と「持続可能性」が対立概念ではなくなりつつある点です。AI導入や物流改革は単なるコスト削減策ではなく、限られた資源を最適に配分するための仕組みとして捉えられるようになっています。プレミアムインスタント商品の拡大も、利便性と品質を両立させようとする市場の変化を象徴しています。
トレンドの背景には、気候変動や原料高騰といった構造的課題があります。展示会に並ぶ一つひとつの製品は、その課題に対する企業の取り組みでもあります。食の未来を占うヒントは、味だけでなく、その背景にある思想の中に見えてきます。
未来を形づくる挑戦が集う、FOODEX JAPAN


「FOODEX JAPAN 2026」は、新商品を探すだけの場ではありません。甘辛フレーバーの広がりも、クラフト志向の深化も、効率化技術の導入も、いま進行中の変化の断片です。展示会には、まだ定着しきっていない試みや、これから広がるかもしれない動きなど様々な可能性が集っています。完成された答えではなく、よりよい選択を模索する過程が見えること——それがFOODEXの本質なのかもしれません。





