日本屈指の海が育む食文化|土地の記憶に触れる、富山のオーベルジュ旅
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富山湾は「天然の生け簀」と称されるほど魚種が豊富で、日本海に生息する魚種800種類のうち、約500種類が生息しています。その中には、「富山湾の神秘」と称されるホタルイカなど、この土地だからこそ完成する魅力的なものもたくさんあります。
「すし県とやま」とも言われ、海に恵まれた富山には、こうした美食とともにゆったりと滞在することができる、個性的なオーベルジュがいくつもあるのをご存知でしょうか。
食べて、泊まって、富山の風土をじっくり味わう
1000メートル級の山々に囲まれ、昔ながらの風景と手つかずの自然が残る南砺市利賀村にある「Cuisine régionale L‘évo-キュイジーヌ・レジョナル・レヴォ」は、富山の風土そのものを“食”で体験するオーベルジュ。レストランを中心に宿泊棟、菜園が点在する、かつてこの地にあった集落を思わせるオーベルジュです。
谷口英司シェフが作るのは、自家栽培の野菜や山で採った山菜、地元のジビエ、富山湾の魚介など、富山の自然の恵みを堪能できる渾身のコース料理。当時の家具や建具を再利用した1棟貸しのコテージで、この地に宿る生活の記憶に触れながら、緩やかな時間を過ごせます。


晴れた日には富山湾の先に立山連峰が一望できる小さな丘の上で、暮らすようにゆったりと滞在できるのは、氷見市の「SAYS FARM – セイズファーム」。
レストラン、貸し切りの宿泊施設に加え、今年ワインセラー施設も新設されました。ワインの原料となる葡萄をはじめ、いちじくや洋梨の栽培、ヤギの飼育、養蜂も営んでおり、この土地の自然の恵みを心ゆくまで堪能できます。


射水市の内川沿いにある、1日1組限定の宿「AKAMA富山」は、海のいのちを五感で楽しむ体験型オーベルジュ。かつて漁師たちが集まった「番屋」をリノベーションした施設で、“暮らすように泊まる”体験ができます。料理は、鉄板焼きや囲炉裏を囲んでの炭火焼きなど、その日に獲れた新鮮な魚介を素材の味を最大限に引き出す調理法で。飾らず、富山ならではの味覚を楽しめます。


もうひとつ注目なのは、今年5月に射水市にオープンした、鮨オーベルジュ「橋場」です。富山県産・栃の木の一枚板を使用した鮨カウンターを備えるこのお店は、東京・元麻布の人気店「鮨しゅんじ」の新業態となる店舗。新鮮な魚を使って一流の職人が握る寿司とそこでの滞在は、一生の思い出になることでしょう。
良質な水と食文化が育む、富山の酒造り
19カ所の造り酒屋があるほか、ビール、ウィスキー、ワインなどの製造も盛んな富山は、日本屈指の酒どころでもあります。良質な水や豊かな食文化を背景に、地域の食材に合った酒造りが行われているのです。


今年、世界一のウイスキービジター体験施設に選出された「三郎丸蒸留所」は、1952年創設の北陸最古のウイスキー蒸留所。伝統工芸の高岡銅器から生まれた世界初の鋳造製ポットスチル「ZEMON」や地元のミズナラ樽、伏流水を用いたウイスキーづくりの工程を見学できます。おすすめは、多層的なピート香とキレのある飲み口の「スモーキーハイボール」。併設の酒蔵レストラン「竈flamme炭三郎」では、お酒とともにランチも楽しめます。
オーベルジュでの滞在中、または滞在の前後に、富山自慢の酒やウィスキーを味わうのも楽しみの一つです。
魅力的なオーベルジュが土地の文化や風土を未来へつなぐ
富山では、豊かな自然や食文化、漁師町の風景、地域に根付く暮らしなど、この土地ならではの魅力が大切に受け継がれています。こうした地域資源を活かしたオーベルジュや食体験は、土地の文化や風土を未来へつなぐ取り組みとして、SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」や、目標12「つくる責任 つかう責任」にも繋がります。
ノスタルジックな漁港の風景を眺め、そこでとれる新鮮な魚をいただく。地域のくらしと静かに向き合い、心に残る豊かさに出会う旅。次はあなたも、そんな“オーベルジュ旅”にでかけてみませんか。
執筆/フリーライター Yuki Katagiri





