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廃棄されていた木の皮を新エネルギーに|国内初の工場が竣工


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7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに 13 気候変動に具体的な対策を
廃棄されていた木の皮を新エネルギーに|国内初の工場が竣工

木質バイオマス燃料の開発や製造などを行うローカルエナジーシステム株式会社は、独自開発した新エネルギー「ブラックバークペレット(BBP)」の製造工場を愛媛県西条市で竣工しました。これまで製材時に廃棄されてきた木の皮を原料とした木質ペレット製造工場としては国内初。脱炭素社会に貢献する新エネルギー供給の準備を進めています。

政府が掲げる2050年カーボンニュートラルの実現に向け、エネルギー業界では非効率な石炭火力発電の見直しが進むなど、大きな転換期を迎えています。同工場は、商業運転を行うブラックペレット工場として国内最大規模の製造能力を有しており、石炭火力の代替燃料として期待されています。

石炭と混焼可能で⼤規模な設備改修が不要

ブラックバークペレット(BBP)とは、木の皮を圧縮成形により木質ペレットへと加工し、更に熱処理で半炭化したバイオマス燃料です。従来のブラックペレットは木部を主原料とするのに対し、BBPは地元の林業で使い道がなかった杉や檜の皮を100%原料として有効活用します。脱炭素社会の実現へと寄与する背景には、石炭に近い3つの性質があります。

1つは高い発熱量。半炭化させていないホワイトペレットよりも発熱量が石炭に近いため、石炭火力発電所で石炭と混焼させても発電効率を下げることなく扱うことが可能です。

2つ目は疎水性。ホワイトペレットは湿気や雨で水分を含むとふやけて崩れてしまい、燃料としての性能が大きく低下するため、屋内保管庫の整備や輸送時の徹底した防水対策が必要でした。しかし、BBPは耐水性・耐湿性に優れていることから、石炭と同様に屋外貯蔵が可能で、管理や輸送コストを大幅に抑えることができます。

3つ目は粉砕性。石炭火力発電では石炭をミルで粉砕させてから燃焼させますが、ホワイトペレットでは木の繊維質が残るため、石炭と混焼できる量はわずか数%が限界でした。BBPなら石炭に最大20%まで混焼させることができます。

以上の特性が石炭に似ていることから、既存の石炭火力発電所施設を使って石炭と混焼することができ、⼤規模な設備改修が不要となります。現代社会で求められるエネルギーの形が急速に変化していく中、比較的低コストで取り入れることができるのがポイントです。

地産地消で地域社会にも貢献

BBPは2021年、建設大手の熊谷組と機械メーカーの清本鉄工株式会社の共同開発により誕生しました。熊谷組と清本鉄工は2023年5月、BBP製造事業を展開するローカルエナジーシステムを設立。2025年には、理念に共感した神鋼商事株式会社が参画し、現在は3社による共同出資で運営しています。

工場地を決める上では、森林資源が豊富な愛媛県西条市を選定。原料には、愛媛県内を中⼼とした地域材由来の木の皮を年間74,000トン使用する見込みです。地元で未利用となっている木の皮を活用してBBPを製造することで、原料を工場まで輸送する際の移動距離が短縮され、二酸化炭素の排出量を最小限に抑えます。

また、木の皮を乾燥・半炭化させるときの熱源には、加熱時に発生する「木質ガス」を利用するため、化石燃料はほとんど使用しません。このように、原料となる木の皮の調達から製造、そしてエネルギーとして燃焼されるまで、ライフサイクル全体での二酸化炭素排出量を低減します。

7月15日に行われた竣工式に出席した⻄条市の越智三義市長は、「この日を迎えられて非常にうれしい」と喜び、新事業への高い期待感を示しました。

脱炭素時代の新しい選択肢へ

BBPを製造する西条ペレット工場は2026年6月に竣工。今後は9月まで試運転を実施し、10月から商業運転を開始する予定です。供給先には、改正省エネ法により発電効率の改善が求められる石炭火力発電所を持つ電力事業者や自家発電所、コークス代替を模索する鉄鋼・非鉄金属工場を挙げています。
⼀般炭の代替として、⽯炭⽕⼒発電所、セメントのキルン燃料、産業・製紙⽤ボイラーの燃料に利⽤。また、微粉炭やコークスの代替として、PCI(微粉炭吹込み)燃料や還元材など幅広い用途での活用が可能です。

BBP製造工場の竣工は、脱炭素時代に向けての一歩でしかありません。ローカルエナジーシステムは製造と安定供給の確立を第一段階と位置付けており、将来的には国内外への生産拠点拡大を見据えています。次世代エネルギーの選択肢となるか。今後の動向にも注目です。