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山梨が15年かけた”サンシャインレッド”、三位一体で和菓子として新たな価値を生む


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9 産業と技術革新の基盤をつくろう 12 つくる責任つかう責任 17 パートナーシップで目標を達成しよう
山梨が15年かけた”サンシャインレッド”、三位一体で和菓子として新たな価値を生む

山梨県が15年もの歳月をかけて開発した赤系ぶどうのオリジナル品種「サンシャインレッド」。糖度19度前後、種なしで皮ごと食べられ、花のような芳醇な香りをまとう”赤い宝石”を、和菓子の名門・宗家 源 吉兆庵がまるごと求肥で包み込んだ新商品「陸乃宝珠 サンシャインレッド」が、2026年8月21日から関東・長野県内の69店舗で発売されました。
生産者・自治体・菓子メーカーが同じ方向を向いて動く、地方発フルーツの新しい価値づくりのかたちです。

なぜ今、山梨県産のぶどうと老舗和菓子が手を組んだのでしょうか。

サンシャインレッド(品種名:甲斐ベリー7)は、山梨県育成の「サニードルチェ」と「シャインマスカット」を掛け合わせて生まれた山梨県オリジナル品種で、2022年に品種登録、2023年に商標登録されました。
開発を手がけた山梨県果樹試験場では、毎年100種類以上の果実を検査し、品質と栽培特性が優れたものだけを選抜する「果実調査」を積み重ねます。生産者や市場からの「シャインマスカットの優れた特性を引き継ぎ、皮ごと食べられる赤系品種のぶどうを作ってほしい」という要望に応え、15年をかけてようやくたどり着いた一粒です。

「シャインマスカット」に続くフルーツ王国やまなしの次代を担う品種として期待は高く、2023年度に3.7トンだった出荷量は、2025年には80トンにまで拡大しました。ただし、ぶどうは苗を植えてから収穫まで数年を要する作物です。
県は品質を守りながら市場に届けるため、県産果実の魅力を伝える新しいアプローチとして「和菓子とのコラボレーション」に着目しました。第一弾のパートナーに選ばれたのが、季節の果実を菓子に写し取ってきた宗家 源 吉兆庵です。

同社の代表菓子「陸乃宝珠」は、旬の果実をやわらかな求肥でまるごと包み、砂糖をまぶした一粒菓子。今回の新商品では、宝石のような一粒を口にすると、砂糖をまとった薄い求肥の中から山梨県産サンシャインレッドの瑞々しい果汁があふれ出し、果実の皮がはじける食感と豊かな味わいが調和する仕上がりになっています。
価格は1個346円から、6個入 2,268円、8個入 3,024円、12個入 4,428円、15個入 5,508円(すべて税込)、販売期間は9月下旬までの期間限定です。

9月4日には、宗家 源 吉兆庵 銀座本社ビルにて、山梨県知事・長崎幸太郎氏、株式会社 宗家 源 吉兆庵 代表取締役・岡田憲明氏、JA山梨中央会会長・小池一夫氏の三者が登壇するコラボ商品発表会が開催されました。県・JA・菓子メーカーが同じ席で言葉を交わす光景は、”地方発の果実の魅力”をどう次に届けるかを本気で考える取り組みそのものだといえます。

今回とくに注目したいのは、”美味しさ”の背景にある「光をあやつる技術」です。サンシャインレッドを鮮やかな赤色に仕上げるには、日光を直接当てないことが鍵になります。日光が均一に入るよう枝を整理し、収穫前には傘を残して袋を外し、地面には白いシートを敷いて反射光だけを房にまわす。まるで撮影スタジオのライティングのように、光の量を計算し尽くして色を育てていくのです。

県とJAが密接に連携し、栽培の技術指導から市場までの体制を整える。産地としては量より質を最優先し、適正な収量と丁寧な栽培を徹底する。この積み重ねがあるからこそ、和菓子という繊細な世界に耐えうる品質が担保されています。素材と菓子、双方に妥協のない仕事があってはじめて、”赤い宝石”は一粒の菓子へと姿を変えることができるといえるでしょう。

生産者・自治体・企業が縦割りを越えて手を組み、地域の一次産品に新しい付加価値を重ねていく。それは「パートナーシップで目標を達成しよう」という言葉が、遠いスローガンではなく、赤い一粒の中に確かに息づいていることの証しでもあります。フルーツ王国やまなしの次の一歩は、和菓子という小さな入口から私たちの口元に届いています。この”赤”は次の秋、どこまで広がっているでしょうか。