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髪を切るだけで、気軽にカーボン・オフセット。 東京都も掲げる「ゼロエミッション」とは


この記事に該当する目標
7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに 13 気候変動に具体的な対策を 14 海の豊かさを守ろう
髪を切るだけで、気軽にカーボン・オフセット。 東京都も掲げる「ゼロエミッション」とは

皆さんは「カーボン・オフセット」や「ゼロエミッション」という言葉を聞いたことがありますか?実は、ヘアスタイルチェンジとのつながりもあるゼロエミッション。東京都も掲げているこの言葉、実際にはどういうことなのでしょうか。身の回りにある取り組みを入り口に見ていきましょう。

ゼロエミッションって知ってる?

国連大学が1994年に提唱したゼロエミッションとは、文字通り「エミッション(排出)」を実質ゼロにすることです。産業を行う上での副産物や廃棄物を別の産業に持続的に有効利用する理念や方法などを指します。
生産過程から見直していく、いわば「川上対策」であり、工場だけにフォーカスしたものではなく、社会や経済のシステムも含めた持続可能な循環型社会を目指す、大きな枠組みでの概念です。産業廃棄物の有効利用は、無駄な生産を減らすことにつながるので、地球温暖化を防ぐ効果が期待されており、多くの工場や地域がゼロエミッションを目指して取り組んでいます。

カーボン・オフセットとの違いは?

環境省ホームページによると、カーボン・オフセットとは、「市民や企業等が自らの温室効果ガスの排出量を認識し、主体的にこれを削減する努力を行うこと」。それとともに「削減が困難な部分の排出量について、他の場所で実現した温室効果ガスの排出削減・吸収量等(クレジット)を購入すること又は他の場所で排出削減・吸収を実現するプロジェクトや活動を実施すること等により、その排出量の全部又は一部を埋め合わせる」という考え方です。

画像出典:東京都環境局

髪型を変えながらカーボン・オフセットができるってどういうこと?

一見、サステナブルとは関係ないように思えることですが、どのような関係があるのでしょうか?それは、「ヘアサロンを利用している間も、CO2が排出されている」ということです。例えば、私たちが心地よくシャンプーやブローなど施術を受けている間も水を使用したり、電気やガスを利用していることになります。施術の際に発生するCO2をカーボン・オフセットすることが、ゼロエミッションへ向けた取り組みになるのです。この場合、カーボン・オフセットとは、施術の際に排出されたCO2を補うため、植林・森林保護等による削減活動によって他の場所で直接的・間接的にCO2を吸収しようとする考え方や活動を指します。

ゼロボードと美容室「NORA」が開発!アプリで簡単カーボン・オフセットが実現

2022年3月16日にリリースされたアプリ「zeroboard me(ゼロボードミー) x NORA」。難しい知識やシステムを使わず、簡単にカーボン・オフセットできるアプリが誕生しました。操作方法は下の手順で行えます。

(1)LINEミニアプリ「zeroboard me x NORA」でお客様が受けた施術メニューを選択する。
(2)そのメニューに係るCO2排出量を可視化し、オフセット金額が自動的に算定される。
(3)オフセットボタンをタップすることで、カーボンクレジットからNORA負担によりカーボン・オフセットされる。
(4)お客様はカーボン・オフセットを証明するNORAオリジナルSNSフレーム(Twitter、Facebook、Instagram)を取得でき、撮影した写真と合成することでSNSに投稿が可能。

画像出典:zeroboard公式サイト

このように、個人でもサステナブルなアクションが簡単にできる時代になりました。SDGsの目標達成へ向けた活動、そしてサステナブルな取り組みについても、生活者である私たち個々の選択や行動が重要とされています。そんな中、国や地域をあげた大規模な取り組みも世界中で行われています。

ついにCO2を出さない火も作れるのか?

みなさんの中にも、「再生可能エネルギー」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。株式会社JERA(ジェラ)では、CO2排出ゼロに挑戦するため、再生可能エネルギーとゼロエミッション火力にチカラを注いでいます。

海に囲まれた日本では、障害物も少なく安定した風が吹く海上での風力発電に注目が集まっています。風力発電は再生可能エネルギーと呼ばれており、発電時にCO2を排出しない発電方式です。大規模に設置することで、環境への影響を削減することが可能になります。また、総発電総量割合をみると、世界で一番多い発電手法は石炭火力発電です。石炭火力発電ではCO2と共に有害物質が排出されていましたが、現在では多くの企業が排煙処理設備を通じて、有害物質を取り除いています。JERAでは、CO2発生を抑えるための「混焼」という方法の検証を進め、将来は安定したエコ発電を目指しています。また、さまざまな取り組みに挑戦していく中で新しい設備が必要になりますが、全てを新しくするには時間も費用もかかります。そこで、現在稼働している設備を使用し足りない部分を補いながら、今あるものを持続的に活用することで、サステナブルなアクションへとつながります。

画像出典:JERA公式サイト

2050年CO2排出実質ゼロに!

東京都は、世界の大都市の責務として、平均気温の上昇を1.5℃に抑えることに挑戦するとし、2050年にCO2排出実質ゼロに貢献する「ゼロエミッション東京」の実現を宣言しています。しかし、すでに起きてしまっている気候変動による災害もあり、このままでは安心した暮らしを送ることが難しくなりつつあります。

そこで、既に表面化してしまったハリケーンや豪雨などの災害に備える「適応策」と、これからの気候変動を食い止める「緩和策」が講じられています。その他にも省エネや再エネの拡大策に加え、プラスチックなどの資源循環分野や自動車環境対策など、あらゆる分野の取り組みが強化されています。

世界規模で実施されているSDGsやゼロエミッション。「個人ではどうしたらいいかわからないけど、何かしたい…」そんな想いの方もいるのではないでしょうか。そんな方にオススメしたいのが、今回ご紹介した簡単にできるオフセットアプリや、オフセット込みでの料金設定になっているヘアサロンやショップを利用することです。美味しいものを食べたり、素敵な施術を受けたその後も、気持ちよく世界を循環させていく役割を私たち消費者は担っています。

世界で定めた目標であっても、無理をしていては続きません。まずは、自分自身が納得できる選択と小さな挑戦をしていくことが、持続可能な未来へと繋がっていくのではないでしょうか。