剛力彩芽と学ぶ「スポーツとSDGs」プロ野球・西武ライオンズ、WAPの取り組みに見える深い関係性
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持続可能な開発目標「SDGs(エスディージーズ)」を学べるニッポン放送の特別番組『SDGs MAGAZINE』の第7弾が放送された。今回のテーマは「スポーツ×SDGs」。女優、剛力彩芽さんが、「ミスターSDGs」ことSDGs研究の第一人者、慶応義塾大学大学院政策メディア研究科の蟹江憲史教授とともに、プロ野球・西武などの具体的な事例を紹介しながらスポーツとSDGsの深い関係性にフォーカスした。
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ニッポン放送の特別番組「SDGs MAGAZINE」。今回は「ショウアップナイタースペシャル」として普段、プロ野球のナイターが行われている土曜日の午後8時に放送されたこともあり、「スポーツとSDGs」が主題となった。
「今回は 『スポーツとSDGs』をテーマに話していこうと思うのですが、 まず国連のページにはスポーツが社会の進歩に果たす役割としては次のような記述があります」
そう剛力さんが紹介したのが「持続可能な開発のための2030アジェンダ宣言」にある以下のような文章だ。
「スポーツもまた、持続可能な開発における重要な鍵となるものである。我々は、スポーツが寛容性と尊厳を促進することによる、開発および平和への寄与、また、健康、教育、社会包摂的目標への貢献と同様、女性や若者、個人やコミュニティの能力強化に寄与することを認識する」
SDGsの17個のターゲットについて、国際連合広報センターのサイト(https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/18389/)にはスポーツの果たす役割も目標別に紹介されているが、剛力さんは「難しい・・・」と吐露。蟹江教授も「そうですね。難しすぎますね」と呼応し、次のように説明した。
「分かりやすくかみ砕くと、要するに『スポーツって相手がいないとできない。だからこそ相手を尊重するということが大事ですよ、そうすることで相手やファンを尊重することが身についていきますよ』というのが一つですね。『自分が、自分が』と言っていたら、できなくなってしまう。寛容になって、いろいろなことを認めながらやっていくのが、自分の刺激になり、スポーツの技術が伸びていくことにつながるので、それをやっていきましょうということです。また、スポーツをやっていると息が上がってきます。きれいな空気じゃないとスポーツはできないですよね。水を飲みたくても、きれいな水じゃないと飲めない。SDGsに書いてあることは人間の生活に関わることですが、イコール、スポーツの時はもっと必要になることです」
そんな「スポーツとSDGs」の関わりについて、具体的な事例として番組で紹介されたのが、プロ野球・埼玉西武ライオンズが今シーズンから「環境支援」の一環として立ち上げた『SAVE THE EARTH Lions GREEN UP!プロジェクト』だ。野球を通じて社会問題を解決し、持続可能な社会を実現するため、 さまざまな活動を展開する同プロジェクトの一環として、9 月16日にはイベント『SAVE THE EARTH Lions GREEN UP! DAY』を開催。当日は選手たちが「グリーンキャップ」を着用して試合を行い、募金や間伐材を利用した「木製うちわ」の販売なども実施された。
詳しくは、10月16日公開の「スポーツの秋!西武ライオンズがファンを巻き込んで取り組むSDGsアクションとは?」から(https://sdgsmagazine.jp/2020/10/16/767/)
ほかにも、ユニホームをリメイクしてクッションカバーをつくったり、 球場内の飲食店などでプラスチック製のドリンクの蓋を減らしたり、プラスチックストローを廃止して紙ストローを導入したり、環境にやさしいレジ袋への切り替えを実施したり・・・と多岐にわたる環境保護につながる取り組みが行われた。これらは、まさに「12.つくる責任 つかう責任」「13.気候変動に具体的な対策を」「15.陸の豊かさも守ろう」といったSDGsのターゲットに直結するもので、剛力さんは「面白いですね。ここまで野球でやっているイメージはなかったです」と口にした。
蟹江 「『スポーツとSDGs』って今結構、多くの人が言い始めているんです。先ほども言ったような水を飲んだり、空気を吸ったりとかで始まり、野球の場合は木をバットに使ってもいる。道具を使えなくなれば、子供たちに伝えていくこともできなくなるので、こうした取り組みは大事なことだと思います」
そして、蟹江教授は、西武が「消えゆく野生のライオンを救うプロジェクト」として『SAVE LIONS(セイブ・ライオンズ)』という活動も展開していることを紹介した。IUCN(国際自然保護連合)のレッドリスト(絶滅の恐れのある世界の動物リスト)において絶滅危惧種に指定されている野生のライオンの保全活動を行うオックスフォード大学の野生動物保全調査ユニット「WildCRU(ワイルドクルー)」と連携。パ・リーグ公式戦でホームランが1本出るごとに球団が「WildCRU」に1万円を寄付するもので、2019年の寄付金は約258万円もの金額に上った。
剛力 「プロジェクト名は駄洒落(SAVE=救う)ですけど、とても良いことをされているんですね」
蟹江 「しかも『ライオンズ』というチームや組織は結構、世界各国いろいろなところにあって、世界中の『ライオンズ』と連携して、みんなでライオンを救いましょうという広がりも出ている。活動の名称は駄洒落ですけど、SDGs的な生態系の保護につながる活動になっているんです」
剛力 「入りが分かりやすい! 素晴らしいですね、こういう発想」
続いて紹介されたのは、SDGsの5番目の目標「ジェンダー平等を実現しよう」につながる「Woman Athletes Project」(WAP)の始動。10 月 7 日、日本トップリーグ連携機構はオンラインで記者会見を開き、女性スポーツの価値向上を図る取り組みとして「WAP」の設立を発表した。同機構に所属する7つの女子リーグ(サッカー、バスケットボール、バレーボール、 ハンドボール、ホッケー、ソフトボール、フットサル)が共同で活動し、 総合サイトの立ち上げ、横断的な SNS 発信、コラボレーション企画を行うもので、同機構の田口事務局長は「何か力を合わせてやらないと、男子スポーツと比較して知名度、人気、 テレビ放映の数と女子の団体が単体でやっていくには難しいのではないか。 女子スポーツの社会的価値を上げていきたい」と、その意義を説明している。
蟹江教授は「やはり、女子は男子と比べて、いろいろなことで環境やインフラで後れを取ってしまっている。これが、まさにジェンダー平等じゃないというところです」と課題を説明。「私のゼミにもスポーツをやっている学生がたくさんいますが、例えば寮が男子にはあるけど女子にはないとかの問題があるんです。女子アスリートを応援するという活動は、ぜひどんどん進めていってもらいたいですし、女子アスリートを応援することがSDGsにつながるという認識を持ってもらい、そういうところからも広がりが出てくれると良いなと思います」と、その意義を解説した。
また、番組では史上最年少、女性初となるグラミー賞主要4部門に輝いた米国のシンガー・ソングライターのビリー・アイリッシュが自身のワールドツアー「WHERE DO WE GO?」の会場で使用するストローにリサイクル素材を採用し、リサイクルボックスを設置することで無駄なゴミゼロ化を進めているなどの活動を紹介
詳細は「マイボトルの持ち込みもできる、ビリー・アイリッシュのエコフレンドリーなワールドツアーとは?」から
(https://sdgsmagazine.jp/2020/10/08/715/)
SDGs推進の機運を高めるために国連が制作したドキュメンタリー『NATIONS UNITED ともにこの危機に立ち向かう』の日本語版が公式YouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/watch?v=xVWHuJOmaEk)で公開されたニュースも取り上げられた。この動画は映画「ブリジット・ジョーンズの日記」「ノッティングヒルの恋人」などを手掛けた映画監督・脚本家のリチャード・カーティス氏が制作の指揮を執り、女優のミシェル・ヨーや世界的アーティストのビヨンセらが出演。大きな話題を呼んでいる。
これらはスポーツと直接関係のないSDGsにつながる話題だが、蟹江教授が「こうした人たちが関わり、発信することで、これがおしゃれ、カッコいいという風になるのが大きい」と説明するように、その意味合いは「スポーツとSDGs」の関係性とも共通するものがある。剛力さんも「これだけ世界的にいろいろなジャンル、年齢、性別、関係なく、多くの人たちがSDGsを気に掛けているということですね。若年層に熱狂的なファンを持つ彼女(ビリー・アイリッシュ)らが率先して取り組むことで、若い世代が環境問題に関心を持つきっかけになりますね」とうなずいた。
蟹江 「リチャード・カーティスさんは、2015年のSDGsができるときからこのプロジェクトに関わっていて、そもそもこのSDGsのカラフルな17色のアイコンも彼とその周りのプロジェクトでつくっているんです。SDGsに並んでいることを見ると、当たり前のことばかり。当たり前のことを当たり前にするということで、SDGsは決して“意識高い系”の話ではないんです。ビヨンセとかがやっていると、私たちもカッコいいからやろうという気になってきますし、スポーツとSDGsにも、思っている以上にいろいろつながると思うんです。身近にSDGsを感じる一つのきっかけになると思うので、ぜひSDGsを実践する一つのツールとしてスポーツを考えていってもらいたいなと思いますね」
切っても切り離せない関係にある「スポーツとSDGs」。スポーツはSDGsの“入り口”としての役割も担っているといえそうだ。