教育用タブレット配布も中身が空っぽ?誰一人取り残さない特別支援教育を考える
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タブレット配布も中身が空っぽ。取り残さない特別支援教育を考える
みなさんは「GIGAスクール構想」という言葉を知っていますか?GIGAスクール構想とは文部科学省の定めたこれからの時代を生きる子供たちのために、公正に「個別最適化され、創造性を育む学び」を実現させる国の取組みのこと。
2023年度までに「1人1台の学習用端末(タブレットやパソコンなど)」と、クラウド活用(学習ツールなど)を前提とした「高速・大容量ネットワーク環境」を学校に整備する計画です。
2018年に国立教育政策研究所の行った調査によると、日本の学校のICT環境設備は世界的にも遅れており、「授業におけるデジタル機器の利用時間が短く、OECD加盟国中、最下位」という結果があります。
コロナ禍で「GIGAスクール構想」が前倒しになり、2020年度には90%を超える全国の小中学校で「児童1人につき1台のタブレット」が配布されました。急速に変わりつつある、ICT(情報通信技術)を活用した子どもたちの学び。障がいのある子どもたちが通う特別支援教育の現場でもまた、ICT導入が進んでいます。しかし、障がいのある子どもたちがICTを効果的に活用する為には、まだまだ越えなければいけないハードルも多くあります。課題の1つとして、障がいのある子どもたちが活用できるツールが少なく、「タブレットを配布したものの中身が空っぽ」、そんな戸惑いの声があがっている現場もあるそうです。
日本には現在、特別支援教育を必要とする小中学生が約40万人います。今回は、SDGsの項目の1つでもある目標4「質の高い教育をみんなに」ターゲット4「経済的な自立のために、十分な職業スキルをみんなに」5「どんな人でも平等に、教育や職業訓練を受けられるようにしよう」の実現へ向け、これからの特別支援教育のICT活用の一助と成ろう、今秋スタートラインが展開する訓練ツール「Enable360(いねいぶるさんまるろく)」を紹介します。
人の可能性を広げる訓練ツール「Enable 360(いねいぶるさんろくまる)」とは
Enable360は、1,200人を超える障がい者を毎日現場で支えるスタートラインが培ってきた支援技術と、応用行動分析や第三世代の認知行動療法などの先進的な支援技法を最新のICTテクノロジーで融合したオリジナル訓練ツールです。コロナ禍をきっかけに拡大しつつある在宅勤務や、支援が行き届かない地方在住の障がい者などへ、働く為に必要なスキルの訓練や、安定した働き方を実現する生活リズムを管理するヘルスログ、LINE連携した障がい者と支援者との円滑なコミュニケーションの土台となるプラットフォーム等を一括してシステム上で提供し、働く不安を抱える全国の障がい者をサポートしています。
また、知的障がい児・発達障がい児など特別支援教育において、タブレット1つで時間や価値の概念の取得、適切な行動の増加を促す訓練を行うことが出来る他、障がい者だけではなくあらゆる人々を対象とし、コミュニケーション能力の向上、自分の苦手とする傾向を把握し、仕事や勉強時の学習効率や成果を上げるなど、様々な活用が可能です。
スタートラインが大切にする「科学的根拠に基づく支援」の重要性
Enable360の主な機能の1つである「関係フレームスキルトレーニング」は、IQの向上に有効な可能性を示唆する研究結果も出ている、あらゆる人々の生活をよりよくする訓練の1つです。人間の行動の大半は、体験と思考、イメージ、情動において、関係的な反応を見いだし、将来を心配したり、物事を恐れたり、他者と比較して劣等感を抱いたりする「関係フレーム」と呼ばれる事象に支配されています。ネガティブな思考や感情が点から線へ関係性を帯びていくことで、皆がそう思っているのではないかと疑心暗鬼になったり、自分には価値がないと自己に否定的になったり、仕事に行けない、アルコールに依存するなど体験を回避する行動に陥ったりします。これらの思考や感情は避けようとしてもそこから逃れられず、それを知り受け入れ、付き合い方を変えること、自分の価値に沿った行動を増やすことが重要です。
スタートラインは、このような個人により異なる思考や感情、特性を把握し、科学的根拠に基づく適切な訓練を提供することで、より働きやすい内的環境も整えています。
障がい者への支援技術は、あらゆる人々のより良い生活をつくる
30人に1人が精神障がいを抱えていると言われる日本。“障がい者”という括りではなくとも、日々の生活の中で様々な障がい(課題やハードル)を感じることがあるのではないでしょうか。心や認知の問題に対する最新の支援技法とリアルな現場に散在している障がい者への支援事例をIT技術を駆使し集約した「Enable360」。働く障がい者だけではなく、特別支援教育を必要とする障がい児や、更には障がいの有無に関わらず誰一人取り残さないあらゆる人々の生活をよりよくする可能性を秘めていますね。今後の動向に注目していきたいと思います。