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【解説】SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」とは?解決すべき課題や現状


この記事に該当する目標
5 ジェンダー平等を実現しよう
【解説】SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」とは?解決すべき課題や現状

SDGsの目標の一つに、SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」があり、女性や女の子に対する差別をなくすことをテーマに6つの目標と3つの方法がターゲットとして掲げられています。では「ジェンダー平等を実現しよう」とは一体どのようなものなのでしょうか。ここからは、その現状と課題、私たちができることを解説します。

SDGs目標5の現状と課題について

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」は、誰もが平等に教育や就業などの機会を得て、個々の能力を発揮できる社会を作ることを目標としています。しかし、世界には女性であるというだけで教育を受けられなかったり、10代で結婚・出産させられるなど、様々な差別を受ける人がいるのが現状です。ここからは、ジェンダー差別の現状や課題を解説します。

①児童婚

地域の慣習などにより、世界には10代で結婚や妊娠、出産をさせられる女の子がたくさんいます。ユニセフが公表したデータによると、世界の約7億5,000万人の女の子が18歳までに結婚しており、そのうち約2億5,000万人が15歳未満で結婚しています。一部の地域では、女の子は家族の世話をして結婚するのが当たり前で、未成年のうちから結婚を強要されてしまいます。児童婚が多い地域は南アジアで、世界の児童婚の約44%を占めています。その他、サハラ以南のアフリカでも児童婚が広く行われています。

こうした児童婚が多い地域では、貧困を理由に子どもを早く結婚させるケースが多々あります。子どもを養ってもらうために結婚させてしまうのです。特に貧困地域の農村部では、児童婚の慣習が色濃く残っています。児童婚は徐々に減少しつつあるものの、一部地域では大きく状況は変わっていないのです。児童婚をする女の子の多くは初等教育すら修了しておらず、自分で収入を得て生活することは困難です。また、児童婚は若年妊娠との関連性が高く、妊娠・出産による生命のリスクが懸念されています。なお、児童婚は先進国でも起こりえます。例えば、アメリカの多くの州では18歳未満の子どもが結婚できる法律があります。

②女性の社会進出と日本のジェンダーギャップ指数

家事や介護など収入にならない労働は女性の役目とされることが多い傾向にあります。女性は男性と比べて仕事のスキルを習得する機会が少なく、地域で声を上げる活動に参加できない場合が多いです。日本では共働き世帯が増えているものの、ジェンダー格差は大きく開いています。

ジェンダーの平等を判断する一つの指標がジェンダーギャップ指数です。これは、経済・政治・教育・健康の4つの分野の数値を元に作成されているものです。男女の格差を測るジェンダーギャップ指数によると、2021年の日本の順位は156カ国中120位でした。日本の場合、教育や健康の分野では男女平等ではあるものの、企業幹部などの割合を比較した経済や政治の分野で圧倒的に女性の数が少ないという結果となっています。

③LGBTQ+の存在

SDGsでのジェンダーは男性と女性だけに限らず、幅広い意味で語られています。これまでは、男性と女性でジェンダーを分けるのが一般的でした。しかし、近年では新たな性として「LGBTQ」という存在が認識されつつあります。LGBTQとは、体と心の性別が違ったり、恋愛対象が同性である人たちのことです。それぞれの特性の頭文字を取って「LGBTQ」と呼ばれています。

レズビアン(L):体の性別は女性で、恋愛対象も女性
ゲイ(G):体の性別は男性で、恋愛対象も男性
バイセクシャル(B):男性と女性のどちらも恋愛対象
トランスジェンダー(T):体の性別と自分が認識している性別が異なる人
クエスチョニング・クィア(Q):性別や恋愛対象が決まっていない人

「クイア」は、もともと「不思議な」「風変わりな」「奇妙な」などを表す言葉で、同性愛者への侮蔑語でしたが、現代では、LGBTのどれにもにあてはまらない性的なアウトサイダー全体をも包括する用語として、肯定的な意味で使われています。

LGBTQについては社会に認知が広まっている段階のため、ジェンダー差別を受けやすいのが現状です。

SDGs目標3達成に向けて私たちができること

世界では今もなお、ジェンダー問題で被害を受けている人がたくさんいます。途上国はもちろんのこと、日本を含む先進国でもジェンダーは平等だとは言えません。SDGs目標5を実現するためには国際的な取り組みが必要ですが、私たち一人ひとりができることもあります。私たちが意識して生活すれば、少しずつ社会が変わっていくはずです。SDGs目標5達成に向けて、私たちはどのような取り組みができるのでしょうか。ここからは、個々ができることについて詳しく解説していきます。

①ジェンダーバイアスをなくす

私たちができることの一つに、考え方を変えてジェンダーバイアスをなくすことが挙げられます。ジェンダーバイアスとは、人や社会が無意識のうちに性差に対する固定観念や偏見を持つことを指します。ジェンダーバイアスは私たちの生活に強く根付いているのが現状です。例えば、「男の子は青、女の子は赤」や「男性は外で働いて、女性は家事・育児をする」といった固定観念が最たるものです。このような先入観を持つと、無意識のうちにジェンダー差別を生んでしまいます。現代の教育現場ではジェンダーに関係なく、平等な教育を受けられるように工夫されています。

また、自分たちの生活の中でもジェンダーバイアスをなくすように意識することが大切です。共働きの夫婦の場合、女性が家事や育児を担当する割合が多くないか再確認してみましょう。私たちが無意識のうちに「料理や掃除などは女性がやること」と思い込んでいる可能性があります。職場におけるジェンダーバイアスを見直すことも必要です。重要な仕事を割り振るとき、男性社員ばかりにお願いするのは不自然です。能力の高い女性社員がいたとしても無意識のうちに簡単な仕事をまわし、スキルアップに必要な経験を積めないといった問題が発生しているかもしれません。ビジネスでもプライベートでも一度先入観をなくして、ジェンダーで区別しないように意識しましょう。

②家事と育児の分担

家事と育児の役割を家庭内で分担することも大切です。女性がすべての家事と育児を担っているという家庭も少なくありません。日本では「家事や子育ては女性が行う」といった固定観念が根強く、結婚や育児をきっかけに仕事を辞める女性がたくさんいます。平成28年に総務省が発表した「社会生活基本調査」によると、6歳未満の子どもを持つ日本家庭の場合、妻が1日に家事や育児に費やす時間は平均7時間34分に対して、夫は平均1時間23分となっています。家事と育児に対する女性の負担が大きく、家事と仕事を両立するのが困難なケースが多いのが現状です。

日本の男性は育児休暇取得率も低く、女性がほとんどの育児を負担するケースが多い傾向にあります。男性も育児休暇の取得を検討し、積極的に育児に参加していくようにしましょう。なお、結婚や出産後に働く女性が増えているにもかかわらず、子どもを預ける保育園の数は圧倒的に足りません。日本社会として、女性の社会進出をサポートする体制が整っていないと言えます。そのため、女性が社会で活躍するには男性のサポートが必要不可欠で、男女関係なく家事と育児を分担していく必要があります。料理ができない男性でも、掃除や洗濯を行うことはできるはずです。それぞれができることが何かを話し合い、家族皆で協力して生活していきましょう。

ジェンダー平等の実現のために私たちができることから始めましょう

女性の社会進出が進み、活躍の場が広がり続けているものの、世界には女性というだけで差別を受けている人がたくさんいるのが現状です。ジェンダーの平等は女性だけの問題ではなく、人類共通の課題でもあります。ジェンダー差別がなくなれば、すべての人が生活しやすい社会が実現できるはずです。まずは自分の生活から見直して、ジェンダーに対する偏見をなくしていきましょう。