6,432もの無人島に異変!?人がいないのにゴミが溢れるのはなぜ。
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日本は日本列島と呼ばれ、複数の島から形成される島国であることは皆さんご存じかと思います。それでは、日本を形成する島々がいくつあるかはご存じですか?
「北海道、本州、四国、九州、沖縄諸島など数十か所かな。」と思ったあなた!
なんと日本列島の総島数は6,852。
本島5島と離島6,847島で構成されています。教育課程で何度も日本地図を見てきましたがこんなにあるとは思いませんでしたよね。このうち、人が住む離島は416島。そして残りの6,432島は無人島と記録されています。有人島より無人島の方が多いという事も驚きです。日本の島の多さは世界で見ても9位にランクイン。1位はスウェーデンで267,570島。2位はノルウェーの239,057島、続いてフィンランドの178,947島と地形に特徴があるスカンジナビア半島の国々が占めています。
日本の無人島における最たる問題「ごみの漂着」
さて、日本だけでも6,432もある無人島。観光名所ともなる無人島は大自然の生態系が保持される神秘の場所のようなイメージですが、近年では問題が起きているようです。
その一つが、人による環境整備が行き届かず、放置されている「ごみ問題」。都会で出たさまざまなごみが海流に乗って無人島に漂着し、放置されてしまっているようです。日本沿岸で回収される漂着ごみは年間約3万トンから5万トンにも及ぶと言われています。回収ができているものでもこれほどの量があるので、なかなか手が付けられず放置されてしまっている無人島の漂着ごみの多さは容易に想像がつきます。そんな中、この現状を改善しようと、清掃活動などに取り組んでいる人々もいます。一部ですが、その取り組みの例を見ていきましょう。
日本の無人島における課題への取り組み
1.和歌山県友ヶ島
旧陸軍に使われていた要塞が現在も廃墟として残っていることから、「ラピュタの島」として人気の和歌山県友ヶ島もプラスチックゴミによる汚染が問題に。大阪湾に横たわるような形で位置しているため、大阪府や兵庫県などから出た生活ごみが数多く流れてきてしまい、レジ袋などを含む大量のプラスチックごみが浜辺に散乱していることが大きな問題となっています。ボランティア団体による清掃が行われていますが、なかなかゴミは減らず、その深刻さを物語っています。 また、和歌山市はこの問題を改善するべく2020年の10月に花王と協定を締結し、島で回収されたプラスチックごみを独自の技術で再利用する製品の開発を進めています。
2.和歌山県沖ノ島
SDGsを広く知ってもらうため、愛知県東郷高の吹奏楽部のメンバー6人が、「CAMPFIRE」というクラウドファンディングサイトで資金を集め、和歌山県の沖ノ島という無人島で17項目に取り組むチャレンジを敢行。きっかけはコロナ禍で落ち込む人たちを元気付けたいという思いから始まりました。誰かを救いたいという気持ちが元になり、彼らは地球を救いたいと動き出しました。
地球の為にできることを、手つかずの無人島で実行。食料は現地調達、海の豊かさを守るために浜辺のゴミ拾いなど。地球を救うために動き出した未来を担う高校生のチャレンジは地元を中心に話題となり、SDGsを広めることに成功したと言えるでしょう。
ゴミ密度No.O1は世界遺産の無人島「ヘンダーソン島」
海外の事例もご紹介しておきます。ニュージーランドとチリの間、南太平洋に浮かぶイギリス領の無人島「ヘンダーソン島」。この島はかつて宝石のように美しい島とされ世界遺産に認定された無人島。そんな島がなぜ一転しゴミに溢れてしまったのでしょうか。異常が生じたのは2015年。調査団がイーストビーチと呼ばれる浜辺へ向かったところ1メートル四方当たり、約700個のプラスチックごみが存在することが判明。世界で最もプラスチックゴミの密度が高い場所となったのです。ヘンダーソン島に打ち上げられるプラスチックゴミは留まることはなく2017年には累計約3800万個のゴミが確認されました。重さで表すと約18トンにも上ると言われています。このゴミはロシア、米国、ヨーロッパ、南米、日本、中国など世界各国から南太平洋旋廻という海流にのって最終的にヘンダーソン島に辿りつくと言われています。流れ着いたプラスチックゴミは海流で細かく砕け魚や取りの体内に取り込まれ島の生態系を乱していると研究者たちは警鐘を鳴らしています。
“東京湾唯一”の無人島「猿島」でのSDGsな取り組み
無人島はごみ問題だけが課題ではありません。観光という切り口から、島をあげてSDGsに取り組んでいる無人島もあるのです。横須賀から船で10分、東京湾の無人島「猿島」では、「つづく みんなの猿島プロジェクト 2020→2030」が実施されています。豊かな自然環境や歴史遺産を守りながら、観光と地域の発展に結びつけていくことが目的。SDGsの考え方をもとに「環境×観光×学び」の循環をめざすプロジェクト。例えば、猿島の入園料は猿島の環境保全に、そうして守られている猿島の環境や歴史をエコガイドを通じて学べるツアーを実施。それをもとに集客につなげるサーキュラーエコノミーを確立しました。「環境」と「観光」を両立させるため、今年の4月に施工されたのが「ゴミの6分別」です。資源ごみを「プラスチック」「ペットボトル」「アルミ缶」「スチール缶」「ビン」に、燃やせるゴミは専用のゴミ箱へ。より細分化し仕分けをすることでリサイクルをスムーズにし、環境保全に向けて取り組んでいます。猿島はこのような取り組みで、環境を守りかつ楽しく学べる仕組みをつくりSDGsに貢献しています。
SDGs達成の道のり
島の数を見ると分かるように、地球には人間が住んでいない島の方が多くなっています。人間が住む場所から排出されたゴミが無人島に流れつき、ゴミを出さずに生きている生物たちを傷めつけ、自然をも破壊しています。プラスチックを無くすことはもうできないかもしれませんが、正しい処分をすることが私たちの地球に果たす責任なのではないでしょうか。徐々に浸透しているSDGsですが、手つかずの場所を見てみるとまだまだ私たちの努力は実っていないことが分かります。浸透していることに満足せず、結果として地球に恩返しができるまで取り組み続けていきたいですね。
企画・編集 / 森川
ライター / 赤塚