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ワインボトルがCO2排出量の51%? 自然派製法だけでは環境負荷は減らせない


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12 つくる責任つかう責任
ワインボトルがCO2排出量の51%? 自然派製法だけでは環境負荷は減らせない

突然ですが、今世界中で空前のナチュラルワイン、ビオワインブームが起こっていることをご存じですか?日本では2012年の第7次ワインブームをきっかけに市場が拡大しており、1人あたりの消費量も増加しています。2019年の人口一人当たりの消費量は、ワインボトルで約4本と10年前の約1.5倍にも増加しています。その中でもナチュラルワインの製造が増えています。

近年、若者のアルコール離れが話題にはなっているものの、生産者の想いやストーリーなどが込められているワインを好む人も若者も多くいます。特にナチュラルワインは製造方法から環境と人に配慮されているブランドが多く、また、エチケットがおしゃれでかわいいモノが多いことから、ビストロやバルといった飲食店で提供をしているところも増えてきました。
(筆者もナチュラルワインをよく飲むZ世代の1人です)

しかし、ナチュラルワインに限らずワインが環境にかける負担はブドウの栽培、醸造の過程だけではなく、様々な点が問題視されています。

ワインがもたらす環境負担

前述した様に、ワイン業界ではオーガニックな作り方をしているナチュラルワインの需要が高まり、製造する際の環境負担はここ数年でかなり軽減されてきました。
しかし、ワインがもたらす環境負担は製造時だけでなく「ボトル製造」と「運搬」するときにもかかっています。
ワインは「ワインボトル」と言われるガラス製のボトルを主に使用していますが、ガラス製のボトルは重く、その重さはブランドによっても様々。ワイン通の中では「いいワイン=(ボトルが)重いワイン」と認識されていることもあり、ガラス製のボトル以外で流通することはほとんどありません。
しかし、ガラス製ワインボトルの製造・輸送時に排出するCO2は、ワイン造りにおけるCO2総排出量の約51%を占めています。

画像出典: California Sustainable Wine growing Alliance 2011 California Wine Carbon Footprint Report

COP26でも議題に

そんなCO2排出量が高いワインボトルについて、昨年10月に開催されたCOP26やワイン業界でも軽量ボトルの使用を求める議論が盛んになりました。
イギリスで最も人気があるワイン雑誌「ディカンター」の編集者が「change.org」に投稿したワインボトルの軽量化の嘆願書には500名を超える賛同が集まっています。(2022年9月16現在)

ヨーロッパではボトルの軽量化の意識が高まっている!

ワインボトルの軽量化に動いてる企業も多数登場しています。
イギリスの会社Frugalpac社が制作している「Frugal Bottle」は94%再生紙から作られており、イタリアのワインブランドが採用し販売しています。

また最近では、南アフリカのヴィンヤード「Journey’s End(ジョニーズ エンド)」が2022年末に紙ボトルを使用したサスティナブルワイン「inter punkt wine」を発売する予定と発表。
この「inter punkt wine」は通常のワインボトルより 5 分の1薄く、100% リサイクル可能で二酸化炭素排出量が6 分の1に削減するんだそうです。

画像出典:interpunkt wines

紙のボトルへの移行のムーブメントはワイン業界だけでなく、ジョニーウォーカーといった有名ウィスキーブランドでも実施されており、今後の紙ボトルの各界への進出は目が離せません。

日本でも購入できる紙パックのワイン

日本でもモバイルワインと呼ばれている紙パックや缶に入ったワインをスーパーやコンビニで見かけるようになりました。KALDIでも購入することができるイタリア産のビオワイン「CIAO」もコスパがとてもいい紙パックのビオワインです。

画像出典:KALDI

ワイン=ボトルというイメージが強い反面、紙パックに入っているワインは安価なものと思う人も少なくないかもしれません。しかし、そんなことはなく現代の技術で環境負担を減らす方法は日々進化を遂げています。これからはワイン=紙ボトルとイメージされる日も遠くないかもしれません。
ワイン好きの方々こそ、一度紙ボトルのワインに挑戦してみてはいかがでしょうか。

企画・ライター/マヤニコル
編集/内村