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新内眞衣と学ぶニッポン放送「SDGs MAGAZINE」ごみ問題をマシンガンズ滝沢秀一さんが解説 #前編


この記事に該当する目標
12 つくる責任つかう責任
新内眞衣と学ぶニッポン放送「SDGs MAGAZINE」ごみ問題をマシンガンズ滝沢秀一さんが解説 #前編

ニッポン放送で毎週日曜日午後2時10分からオンエア中のラジオ番組『SDGs  MAGAZINE』。パーソナリティを務める新内眞衣さんとともにSDGsを学ぶ同番組の2023年第1回放送は、お笑い芸人で清掃員でもあるマシンガンズの滝沢秀一さんをゲストに招き、目標12「つくる責任 つかう責任」に関わる“ごみ問題”を深掘りした。

■お笑い芸人で清掃員

クリスマス、年末年始を挟んで3週間ぶりの放送となった「SDGs MAGAZINE」。昨年4月からパーソナリティを務める新内さんは「2023年は皆さんの心に根付けるように頑張りたいなと思いますし、いろいろなニュースなどでSDGsが取り扱われた時に、この番組を思い出してサイトをチェックしていただき、もう一回気を引き締め直す・・・というような存在になれたらいいなと思います」と、発信者として新年の誓いを立てた。

そして年明け最初に選んだテーマは、ごみにまつわる問題と目標12「つくる責任 つかう責任」について。昨年11月に開催されたサッカーW杯カタール大会で日本のサポーターが試合後にスタジアムのごみ拾いなど清掃活動を行う様子が世界的な話題となったり、年末の大そうじだったりと、ごみの問題をいろいろと考えるタイミングということもあり、今回は日本のごみ問題をお笑い芸人と清掃員の2つの仕事を通じて分かりやすく伝えているマシンガンズ滝沢さんをスタジオに招き、「ごみとSDGs」の最新事情を解説してもらった。

新内 「よろしくお願いします」

滝沢 「よろしくお願いします。楽しくやっていきましょう!」

新内 「年末年始は清掃員のお仕事は、やはり忙しいんですか」

滝沢 「一番忙しい時期ですね」

新内 「やっぱり、断捨離とか大そうじとかされる方も多いですからね」

滝沢 「24、25日まではみんなクリスマスに集中しているんです。それが終わったら『もう年末じゃないか』ということで、急にみんな大そうじを始める。本当に残り数日しかないから資源の日とかはもうなかったりする。不燃ごみが2週に1度のところもあったりするので、本当に可燃ごみと不燃ごみをぐっちゃぐちゃに入れている人も、この時期は多いんです」

新内 「それは困りますね」

滝沢 「なかなか荒れるんですよ。断捨離ということで、洋服とかも多いですね」

新内 「私は、お洋服は友達にあげるか寄付しちゃうんですよ。だから、あまり洋服を捨てるという感覚がないですね」

滝沢 「それはいいことですね。あとは、この時期になると20袋くらいごみを出す家庭もあります」

新内 「そうなると、ごみ処理場はパンパンじゃないんですか」

滝沢 「ごみは、収集車で回収しに行くんですけど、計算しながら回っているんです。1回でここまで行ける・・・とか。ただ、1軒で20袋とか出ると、到達できないところが出てきて、クレームが起きてしまいます。なので、3袋から4袋以上を出している場合は置いていくんです」

新内 「えっ!」

滝沢 「永遠に出せると思っているでしょ、ごみって。本当は3袋以上とかだと有料になるんです。電話して、シールを貼ってという形で」

新内 「それ、知らない人も多い気がしますね。私も今、初めて知りました」

滝沢 「でしょ。しかも、20袋とか出しても分からないじゃないかと思う人もいるかもしれないけど、ベテラン清掃員に言わせると、結び方とか、似たような洋服が入っているとかで分かるんです。で、(注意書きを)貼って置いていくんですね」

■「資源ごみ」は清掃員のNGワード

新内 「滝沢さんも、ごみ清掃員10年目ということで、ベテランのにおいがします。そもそも、ごみ清掃員のお仕事を始めたきっかけは何だったのでしょう」

滝沢 「僕が36歳の時に妻が妊娠したので、出産費用が必要になってアルバイトをしようかなと思ったんです。でも、36歳になるとアルバイトって見つからないんです。アルバイト雑誌を見ても35歳までみたい年齢制限が多くてびっくりしました。それで、年齢不問の9社くらいをピックアップして電話をかけたら全部落とされた。その時に、お笑いをやめた友達がいっぱいいたので、聞いて口利きで紹介してもらったのがたまたまごみ清掃だった。興味もなかったし、逆にごみの世界って今こんなになっているんだと衝撃でしたね」

新内 「今日は、私も知らないことがたくさん伺えそうです」

まず、新内さんが気になったのが、滝沢さんの著書でも書かれている「ごみの捨て方=分別」について。「分別」における重要なポイントについて尋ねると、滝沢さんは「ごみと資源の区別をつけること」を挙げた。

滝沢 「皆さん、『資源ごみ』って言ったりするじゃないですか。でも、僕らの世界では『資源ごみ』と言うと怒られるんです。ペットボトルにしても、ビンやカンにしても、また生まれ変わるから『これは、ごみじゃなくて資源だろ』と言われるんです。可燃ごみの中に入っている紙なんかもそうなんですけど、古紙の回収に出せばまた紙に生まれ変わる。でも、燃やしてしまうと灰になって本当にごみになってしまう。まず、清掃員は『ごみと資源の区別を付けろ』と言われますね。ビンとカンだけを分別したらそれでOKということではなく、まだまだ資源があると分けていくと、もっともっとごみが減るんです」

新内 「結構、うちは祖母が分別をしっかりするタイプで、生ごみとかも新聞紙でくるんだりしていました。あっ、でも、新聞紙を使うのは良くないんですかね」

滝沢 「まあ、新聞は新聞回収で出すのが一番良いのですが、水分やにおいを吸い取ってくれるので、それはそれで良いと思います。ちなみに、これはあるあるなんですが、新聞紙にくるまれたごみのある家庭は、おばあちゃんが台所に立っていることが多いです」

新内 「なるほど!」

滝沢 「そのように、ごみを見るとどんな人が出しているかが分かるんです」

■22年後にはごみが捨てられなくなる?!

さらに、新内さんが滝沢さんの著書から気になった点として挙げたのが、ごみの最終処分場の寿命の問題。環境省が2022年3月に、令和2年度末のデータを基に発表したのが「22.4年で日本全国のごみの埋め立て場、最終処分場が満杯になり、ごみを埋め立てできなくなる」というもの。以前より残余容量は微増しているものの、最終処分場の数は減少傾向にあり、スペースの確保が厳しい状況に変わりはないという。

滝沢 「これ、結構びっくりしませんか」

新内 「びっくりしています。だって、あと22年ですよね」

滝沢 「もう22年経つと、日本ってごみを捨てられなくなる。衝撃ですよね」

新内 「みんな知っているんでしょうか、これって」

滝沢 「意外と知らないんじゃないかなと思います。だから、まず知ってもらおうと思って。知ってもらった上でどうしますか、と。今のところ、ごみを減らして最終処分場の寿命を延ばすしかないんだけど、その間に何か新しいアイデアが出てくればということころ。本当に、どうするんでしょうね。埋め立てるのは不燃ごみを砕いたものと可燃ごみの灰だから、その灰の部分が少なくなれば延びてくるのですが」

新内 「じゃあ、もう私たち一人一人にかかっているといっても過言ではないんですね」

滝沢 「一人一人のパワーって、意外と半端ないんですよ」

つまり、そうした問題を少しでも軽減してくれるのが、一人一人の丁寧な「分別」にあるということ。

■紙も資源

新内 「では、一番簡単にできる分別ってありますか」

滝沢 「オススメするのは、可燃ごみの中から紙を全部取るということですね。今使っているような台本の紙とか、カレンダーとか、お菓子の箱とか、封筒なんかもそうですよね。これってなんとなく可燃ごみとして捨ててしまったりするじゃないですか」

新内 「出しています」

滝沢 「でも、雑誌などと一緒に古紙の日に出すことによって資源になるんです。これをすると、家庭のごみが3分の2くらいにはなります。3つ袋があったら2つにはなる」

新内 「セキュリティを気にしてしまって裁断してしまうのですが、あれはもう可燃ゴミの扱いになるんですよね」

滝沢 「地域によってシュレッダーにかけた紙でも大丈夫なところはあるんでけど、大概は燃えるごみですね。自分は、封筒の住所のところだけを破ってシュレッダーにかけています。その他の封筒の部分は古紙の日に出してくれれば一番いい」

新内 「その封筒も、窓のところがプラスチックになっているものがあります」

滝沢 「あれはくり抜いています。面倒くさいですけどね」

新内 「逆に、透明のプラスチックの封筒にラベルが紙みたいのもあるじゃないですか。あれも、私はいちいち切り抜いています」

滝沢 「えらい! ごみ力あるんじゃない? 女子力みたいに言っているけど(笑)。プラスチックって名前のところが少しはがれたりするじゃないですか。あれくらいなら、そのまま出して大丈夫だったりします。リサイクルする過程でなくなるので」

新内 「台本とかも、ニッポン放送にもありますけど古紙回収ボックスみたいなものに入れるのがいいということですか」

滝沢 「そう、一番いい。業者さんが持っていてくれるからね」

新内 「じゃあ、今度から台本は置いていきますね」

滝沢 「家で分別をやるのは面倒じゃないですか。集めると1週間で紙でも2袋くらいになったりするから、紙も結構捨てているんだなと思いますね」

新内 「でも、古紙って頭でっかちに、どこからどこまでと考えてしまいます。紙製品は全部古紙なんですか」

滝沢 「クリスマスだと毎年、次の日にはケンタッキーの容器とかがごみに出てきますが、あれを古紙に出される方がいるんです。でも、あれは油もついているし、紙コップと同じで、防水加工がされているので、入っていた場合、われわれが手作業で抜き取るんです。これがなかなか大変。あとは靴とかカバンとかを買うと、中に詰めるための薄いピンク色の紙が入っていることがありますけど、あれが一番の大敵。昇華転写紙といって、インクみたいなものがしみ込んでいるから、それが広がってしまって、あじさい化現象というのが起こってトン単位で紙が無駄になっちゃうんです」

新内 「あれも可燃ごみ」

滝沢 「靴に入っているもの、カバンに入っているものは厳禁だと思ってください」

新内 「かしこまりました」

滝沢 「(笑)。とにかく、難しいんですよ。ごみのことって、学校でも習わないですからね。ある程度、協力できる範囲でやってもらえればということですね」

新内 「なるほど、ありがとうございます!」

主に「分別」の問題について掘り下げた今回の放送。新内さんは「古紙の話が私的にはすごくびっくりしました」と、段ボール、雑誌、新聞紙だけでなく通常の紙が「資源」になる点に新たな気付きを得た様子。「可燃ごみから、とりあえず紙を抜いてみてくださいというのは、私自身知らなかったこと。普通のレポート用紙、普通の紙もリサイクルできるということなので、ぜひ私も分別をやってみようと思いました。紙をごみ袋から抜くだけの、すぐ実践できるものの一つだと思うので、ぜひ皆さんもやってみていただけたらいいなと思います。毎日に直結する問題だから、気にしてやっていこうと思っています」と早速、行動に移すことを誓った。

(後編に続く)