アジア人の95%が旅にサステナを求めている!日本で叶うサステナ旅
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コロナ禍で制限されていた旅行は徐々に回復を見せています。
そんななか、現代の旅行では「サステナブル」がキーワードになりつつあります。オンライン旅行会社Expedia Groupが今年はじめに行った調査で、アジア人旅行者の90%以上が旅行に「サステナブル」を求めていることが分かりました。
サステナブルの先進国である北欧の旅行者の意識が高いとの予想に反し、アジア圏、特に、インド・中国の旅行者が求める声が多く、日本が56%に対して、インドは98%、中国は96%となりました。旅においてはアジアの意識が上回る結果となっています。
その理由には、新型コロナウイルスによるパンデミックでサステナビリティへの関心が高まったことが挙げられます。インドの旅行者の44%はサステナブルな旅をするのにかかる食費やアクティビティ、宿泊費への追加料金に対して支払いに抵抗がないと回答しています。
さらにインドや中国では、急速に進む産業発展に伴う深刻な大気汚染が問題となっており、消費者の健康や気候変動に対しての意識がより高まっていることが背景にあります。そのことから他国に比べてサステナブルへの課金をいとわない消費行動が見受けられるようになりました。
SDGsと旅行の関係
サステナブルな旅とは、環境にも人にも配慮した旅のことを示します。働く人にとっても、旅行する人にとっても、アクティビティを提供してくれる自然にとっても優しく持続可能である必要があり、SDGs17の目標のうち目標8の「働きがいも経済成長も」、目標12「つくる責任つかう責任」、目標14「海の豊かさを守ろう」を特に観光業界では意識する必要があります。
なぜ、旅行にも「サステナブル」を意識する必要があるのか。そこには大きく2つの事柄が関係しています。
1つ目は、飛行機等での移動やアメニティの使い捨て、お土産の購入などによる「温室効果ガスの排出」。旅行・観光関連を原因とした温室効果ガスの排出量は総排出量の8%を占めている現状があります。※2013年時点
2つ目が「オーバーツーリズム」です。ひとつの地域に観光客が過剰に増加、集まってしまい、観光地の地域住民の生活や自然環境に悪影響を与えることを示します。スペインのバルセロナ、イタリアのベネチアなど、世界の観光地でオーバーツーリズムは問題になっています。日本でも登山客によるごみ捨てが原因の富士山の自然破壊が懸念されています。
また、環境への悪影響だけではなく、人に配慮するということも大切です。例えば、宿泊時の受付で同伴者との関係性を聞くことは、人によってはセンシティブなことであったりもします。ジェンダーレスのカップルや、事実婚のパートナーシップなど関係の形は様々です。男性だから、女性だからと当たり前だと思っていた概念が実は人を傷つけてしまいかねません。
サステナブルな旅を実現する方法
前述したように、旅行時には環境への影響がありますが、少し意識を変えるだけで、楽しく、持続可能な旅を行うことができます。
例えば、旅行先でのアメニティは使わず、普段使っているアイテムを持参し、ごみを削減する、移動手段を車から公共交通機関に変更、有名な観光名所だけでなく、サステナブルなアクションを取っている地域を旅先に選んでみるなど…ちょっとした意識と行動の変化で旅はサステナブルになります。
サステナブルな旅のおすすめスポット3選
①岩手県釜石市
オランダの持続可能な観光地の国際的な認証団体 「グリーン・デスティネーションズ」が主催している「世界持続可能な観光地TOP100 選」に5年連続選出。漁船クルーズ事業と当該事業を活用した環境問題への取り組みを行っており、観光客自らが海水を採水し、海中のマイクロプラスチックを顕微鏡で直接見て学ぶプログラムがあります。
②京都府:GOOD NATURE HOTEL
世界初の環境や健康に配慮した建物が認定されるWELL認証を取得したライフスタイル体感型ホテル。歯ブラシなどの使い捨てのアメニティは有料になっており、飲み物の提供はペットボトルの水ではなく、水筒と浄水器が準備されています。併設している商業施設では生ごみ処理するコンポストの機械を導入しており、ホテル・施設内で出た生ごみを農業用の肥料として活用する循環型農業を目指す取り組みや、自社ブランドの商品で出る廃棄物を使った商品開発などの販売もしています。
③山梨県:ホテルキーフォレスト北杜
サステナビリティ先進の地とも言われている八ヶ岳にあるサステナを体験できるホテル。地域産業を活用した自然派ワインのワイナリーツアーや循環型有機農園での農家体験などのツアープログラムがあります。また、専用のマップを使用しながら行うことができる「セルフガイドツアー」も提案。実際に自然や地域産業に触れることで自身のライフスタイルを見直すきっかけにおすすめのホテルです。
次の旅行を決める際には、「サステナブル」を意識した新しい刺激を得る旅のプランを考えてみるのはいかがでしょうか?
企画・ライター/ニコル
編集/内村