【愛知・名古屋アジア・アジアパラ大会】アスリートをSNSの誹謗中傷から守る。「#言葉に6秒深呼吸」とTEAM JAPANの新たな挑戦
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近年、SNSの普及に伴い、スポーツの舞台で活躍するアスリートに対する誹謗中傷や悪質な書き込みが深刻な社会課題となっています。これらは選手の心身に大きな負担を与え、パフォーマンスや競技継続にも影響を及ぼしかねません。
こうした状況を受け、日本オリンピック委員会(JOC)と日本パラリンピック委員会(JPC)は、愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会において、アスリートが安心して競技に打ち込める環境を整えるための総合的な法務支援事業およびSNS啓発活動を発表しました。
2026年9月18日には名古屋市内で発表会が開催され、JOC・JPCインテグリティ統括事業推進リーダーの谷本歩実理事と、元サッカー日本代表の柿谷曜一朗さんが登壇。健全なデジタル言論空間の実現に向けた取り組みと、アスリートのリアルな胸の内が明かされました。
8割超が応援を糧にする一方、6割弱が「少数の否定的な言葉が残る」
発表会では、JOC・JPC所属のアスリート300人を対象に実施された「SNS利用に関する意識調査」の結果が初公表されました。
調査によると、81.3%のアスリートがSNSから「応援や励ましをもらっている」と回答し、60.3%が「競技を続ける力をもらった」と答えるなど、SNSが選手にとって大きな原動力になっている実態が示されました。
しかしその一方で、59.3%のアスリートが「少数の否定的な言葉でも、多くの応援より強く残る」と回答。さらに、約3人に1人(33.7%)が誹謗中傷を避けるために「投稿を控えた(15.0%)」「当たり障りのない内容に変えた(13.7%)」といった行動をとっていることが判明しました。
元日本代表・柿谷曜一朗氏が語る「言葉の重み」と「抱え込まない大切さ」
ゲストとして登壇した柿谷曜一朗さんは、現役時代の体験を交えながら言葉の持つ影響力について熱弁をふるいました。


「直接届く応援は本当に勇気をもらえます。プレーが上手くいっていない時でも『柿谷らしくて面白かったよ』という、“らしくて”という言葉が僕の中で一番の支えになりました。」
そう振り返る一方で、否定的なコメントへの恐怖心についても言及しました。
「否定的な言葉は『そんなことでモチベーションが下がるならプロをやめろ』とさらに追撃が来るのが怖くて、つい気にしていないフリをして隠してしまいます。でも本当は傷ついたことを言っていいし、1人でもメンタルが落ちている選手がいるなら僕たちがサポートしてあげないといけない。」
さらに柿谷さんは、後輩アスリートに向けて「一人で抱え込まずもっと誰かに頼っていい。乗り越えなくていいし、甘えていい。助けてくれる人は必ずいる。」と温かいメッセージを送りました。


AIモニタリング×法務支援×啓発プロジェクト「#言葉に6秒深呼吸」
JOCの谷本歩実理事は、大会期間中の安全な環境づくりとして【SNSモニタリング・削除申請】【法務支援】【セーフガーディングオフィサー等との連携】の3つの柱を発表
具体的には、主要プラットフォームを対象にAIと専門スタッフの目視、弁護士の精査を組み合わせた24時間体制のモニタリングを実施。悪質な投稿に対して迅速な通報・削除申請を行うほか、大会期間中は弁護士が常時待機し、選手がすぐに相談できる「LINE相談窓口」も新設されています。
また、単なる事後対応にとどまらず、事前防止に向けた広報・啓発活動として「#言葉に6秒深呼吸」プロジェクトを本格始動。Google/YouTube、LINEヤフー、Meta、TikTok、Xなどのプラットフォーマーやメディア、交通事業者、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会と連携し、送信ボタンを押す前に一呼吸置く「望ましい応援のあり方」を社会全体へ呼びかけています。
つくりたいのは、リスペクトと温かい応援がめぐる社会
谷本理事はセッションの最後に次のように語りました。
「ただ誹謗中傷と戦うのではなく、誹謗中傷のない世界を目指してお互いに理解を深めながらSNS空間を作っていく必要があると思っています。単に言葉を減らすだけでなく、6秒の深呼吸を経て、温かい応援の輪を社会全体に広げていきたいです。」
アスリートが持てる力を遺憾なく発揮し、スポーツが持つ感動や勇気を誰もが安心して分かち合える社会へ――。私たちがSNSで発する「ひとこと」の前に置く6秒の深呼吸が、その第一歩となります。





