ゴミの最終処分場の寿命はあと20年
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今から20年後である2040年にはゴミを埋め立てるための最終処分場(埋立地)が失われるということを知っていましたか?
環境省では今年の3月に令和元年度のデータを基に、「およそ20年で日本全国のゴミの埋め立て場・最終処分場が満杯になり、ゴミを埋め立てできなくなる」という発表を出しています。(正確には21.4年)。
SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」では持続可能な生産消費形態を確保することを目標としています。具体的にはターゲット12-4に「2020年までに合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。」と定められています。
こうした中、毎日大量のゴミが発生する日本ではゴミ処理場の逼迫を避けるため、リサイクルできるゴミを資源ゴミとして中国など主に東南アジアの国々へ輸出していました。
しかし、2018年に中国が資源ゴミの輸入禁止を始めました。それまで自国の資源ゴミの処理を海外への輸出に頼ってきた日本はゴミの受け入れ先を失ったため、これらのゴミの量やゴミの処理について考える必要が出てきました。
日本のゴミの量と処理の現状
現状、日本の一般廃棄物の総排出量は4,274万トン(東京ドーム約115杯分)で、1人1日当たりのゴミ排出量は918グラムです。
日本は焼却炉の数が世界1位の1067施設です。焼却率も世界ダントツ1位の77%。ちなみに2位のノルウェーが57%、3位のデンマークが54%となっています。日本は国土が小さいことから一度ゴミを燃やして最小限の大きさにしてから埋め立てる必要があるため世界全体で見て焼却率の数値が高くなります。
また、日本のリサイクルやコンポスト(堆肥にする処理方法)率は低く先進国(OECD)の平均34%の中、日本は20%未満となっています。日本のリサイクル率が低い原因は、日本のごみの主な処理方法が焼却処理になっていることも含まれてきます。
中国がゴミの輸入を禁止しましたが、中国以外の東南アジアの各国でも環境規制のため、ゴミ輸入を禁止することが進んでいます。こうした背景から2019年6月、ついに日本はゴミ処理に手が追いつかなくなり、環境省は「一時的に保管できるプラスチックゴミの量を2倍に引き上げ」、「産業用のプラスチックゴミを焼却炉で燃やせるように要請」という緊急措置をとっています。なので、今後さらに最終処分場の寿命が短くなっていくのは確実でしょう。
私たちにできること
ゴミの廃棄ができないと、有害ガス・悪臭による公衆衛生問題の発生、不法投棄・不法な処理の増加、水質・地質汚染などの問題が発生してきます。これらの問題は自然環境に影響を及ぼし、土壌や地下水などが汚染され、私たちが生きていくために必要な水や食料の安全も脅かされてしまいます。
このような問題を解決していくために、多くの企業では市場で販売した製品を使用後に回収し、部品を再生あるいはリサイクルすることで、埋立地に送る廃棄物を可能な限り抑制するクローズド・ループ・システムへの取り組みを進めています。
私たちの生活の中でも例えば、ゴミの量を減らすためにレジ袋は使わないでマイバッグを持参することや、マイ容器やマイ箸をつかうなど、なるべくごみを増やさない行動をとっていくことで、廃棄物の抑制、リサイクルの取り組みをさらに普及させていき、目標12のテーマである持続可能な生産消費形態を確保することの達成に近づいていくのではないでしょうか。
執筆:国士舘大学 文学部 大橋 一真
編集:SDGs MAGAZINE