12月10日は「世界人権デー」 世界が抱える「人権」の課題とは
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国際連合(以下、国連)が創設された3年後にあたる1948年の12月10日、パリで開催された国連総会にて採択された「世界人権宣言」。
この「世界人権宣言」では、世界中の人が受けるべき基本的な人権は共通であることが宣言されました。私たち人間の歴史の中でも大切なアクションです。
その「世界人権宣言」にちなんで、国連は12月10日を「世界人権デー(Human Right Day)」と定めました。
「人権」と聞くと皆さんはどのような事をイメージしますか?
人権とは、すべての人が人間として受けるべき「あたりまえ」を大切にすることなのではないかと思います。
そんな「人権」について、国ごとで抱える悩みも様々。
今回は「世界人権デー」にちなみ、日本・アメリカ・ヨーロッパが抱える人権にまつわる課題を考えてみたいと思います。
《アメリカ》女性特有の人権に賛否両論
アメリカでは、合法的な人工中絶に関して、長年議論が行われています。
人工中絶とは、女性が自分の人生を設計する上で重要な選択肢のひとつであると考える国がある一方で、宗教的な観点などから人工中絶に反対する意見も多く残っています。そんな人工中絶を巡って、多くのアメリカ人女性が女性の権利を守るよう抗議活動を行っています。合法的な人工中絶については、まだ議論は続いています。
《日本》制度は整っているのに取りづらい育休
さて、日本ではどうでしょうか?
実は日本は、他国と比べても育休の制度が整っていることをご存知でしょうか?
育休と聞くと北欧などの先進国で進んでいるイメージがあるかと思いますが、実は日本の育休制度はかなり優れています。
ユニセフが2019年6月に発表した先進国における「家族にやさしい政策」では、母親のための育休制度で16位、父親のための育休制度でなんと1位にランクイン。日本は、父親が6か月以上育休を取得できる唯一の国なのです。
一方、制度が整っているものの、男性の取得率は12%と、スウェーデンが86%に対してかなり低取得率となっています。
制度が整っているにも関わらず、取得率が低い原因は「認知不足」にあるのかもしれません。所属している企業で育休の実績がないことや、制度の使用方法が認知されていないことなどが関係するのかも?
《世界》国民としてみなされない人々
ユニセフによると、世界中で国籍を持つことが出来ていない人は約420万人いると言われています。
国籍がないということは、国民として認められていないため身分証明書などの発行が行われません。
つまり、日常生活で「あたりまえ」にアクセスできるはずの医療や教育、財産を持つことなどができません。
また、自由に移動することも難しい場合があります。
このような無国籍者が生まれてしまう原因には、民族や宗教、ジェンダーなどの差別が大きく関係していると考えられます。
この世界から「差別」がなくならない限り、世界中の人々全員が基本的な人権を持つことはなかなか難しいことなのかもしれません。
私たちが「人権」を守るには?
日本国内だけでなく、さまざまな「人権」について、今もなお議論され、よりよい社会になるよう、たくさんの人が闘っています。
SDGsの17の目標には、地球の環境を守る目標だけでなく、人々が豊かに暮らせる社会を目指すための目標もあります。
例えば、目標10番の「人や国の不平等をなくそう」では、差別的な法律などをなくすことをひとつの目標として掲げています。
一見、他人事に見える課題が実は自分にとっても身近なものだったりもするのではないでしょうか?
自分や身の回りの人の人権が正しく守られているのか、見つめ直してみること。そこからスタートするだけでも、一歩ずつ進めるのかもしれませんね。