<radiko配信終了>“男性学”の視点で考えるジェンダー平等、日本の現状と課題
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ニッポン放送で毎週日曜日14時10分からオンエア中のラジオ番組『SDGs MAGAZINE』。パーソナリティは元乃木坂46で現在はファッションモデルや女優としても活躍中の新内眞衣さん。前回、前々回とキャスターでありジャーナリストの長野智子さんと一緒に、SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」の根本の考え方を学びました。
今週の放送は、ゲストに大妻女子大学 社会学専攻 准教授の田中俊之先生をお招きして、SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」を「男性学」の視点からお話を伺いました。男性目線での「ジェンダーバイアス」、「働く男性ならではのしんどさ」については、女性もぜひ知っておいてほしい内容です。
時間が合わず、聞き逃してしまった方はradikoにて聞き逃し配信されています。この記事を読んでから聞いてみると、よりお楽しみいただけます。ぜひチェックしてくださいね。
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日本のジェンダー・ギャップ指数はG7の中で最下位
2022年7月、世界経済フォーラムは世界各国の男女平等の度合いを数値化した世界男女格差報告書(Global Gender Gap Report」を公表しました。「経済」「教育」「健康」「政治」の4つの分野のデータから作成される数字をジェンダー・ギャップ指数といい、日本は146カ国中116位。これはG7の中で最も低い順位になります。日本における具体的なジェンダー不平等問題には、女性管理職や女性研究職の割合が低い、非正規雇用の割合の高さなどが挙げられます。どれもキャリアを考える女性にとって不利な点が目立ちます。今後推進すべき策として、妊娠・出産などのライフイベントに合わせた働き方や、子育てと仕事を両立できる仕組みづくり、ケアワークをはじめ家庭内の役割分担の見直しなどが必要とされるでしょう。
男性学とは
男性ゆえに抱えるさまざまな問題を研究する学問のことを「男性学」と言います。1970年代に男女不平等を訴えた「ウーマンリブ」という運動から、女性であるがゆえの問題を扱った「女性学」が生まれました。その影響を受けて、1990年代に生まれたのが「男性学」です。男性をジェンダー化された存在として捉え、男性ゆえに抱える問題について考えたり、社会の諸問題を男性視点で探求する学問です。女性学の手法や批判を取り入れながら、社会的につくられた「男らしさ」に相応しい生き方を迫られる存在として、男性を描きなおそうという問題関心を持っています。
「男らしさ」「女らしさ」はジェンダーバイアスである
「ジェンダー」は一般的に「社会的文化的性差」と訳され、「バイアス」は「偏見」です。つまり「ジェンダーバイアス」とは、人や社会が無意識のうちに性差や男女の役割について固定的な思い込みや偏見を持つことを指します。日本ではいつの間にか「男らしさ」、「女らしさ」の感覚がすり込まれていますよね。男性は仕事、女性は家庭という「らしさ」の強要も根強いものです。企業に勤める男性が、休みの取りづらさを感じるといった感覚もその一例と言えるでしょう。また、男性が女性よりも優位であるという偏見から男性が優遇措置を受けることも多く、女性が男性よりもジェンダーバイアスの影響を受けやすい傾向も。ジェンダーバイアスに気付かずにいることで、相手を傷付けたり、キャリアに影響を及ぼしたりなど様々な影響もあります。
男性目線で考える目標5「ジェンダー平等を実現しよう」への取り組み
「男性は現代社会にジェンダー問題を感じていないため、不平等に気がついていないという現状がある」とゲストの田中俊之さんは指摘します。また、男性が当事者意識を持つには自身も問題に直面するしかないとも述べています。
日本のジェンダー・ギャップ指数は、1985年、男女雇用機会均等法が制定されてから35年以上が経つ日本社会において、政治や経済、また企業体質に大きな変化が見られないことを裏付ける数字とも言えるでしょう。目標5「ジェンダー平等を実現しよう」はさまざまな立場の人たちが勇気を持って対話をすることが必要なのかもしれません。まずは、日本の現状を知り、一緒に解決策を模索していきましょう!
11月27日に放送したラジオ番組「SDGs MAGAZINE」は、radikoにて聴き逃し配信中です。時間が合わず聴き逃してしまった方は、ぜひradikoのタイムフリーで聴いてくださいね!
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ゲスト 田中俊之先生
大妻女子大学 社会学専攻 准教授
1975年生まれ。2008年博士号(社会学)取得。武蔵大学・学習院大学・東京女子大学等非常勤講師、武蔵大学社会学部助教を経て、2017年より現職。男性学の第一人者として、新聞、雑誌、ラジオ、ネットメディア等で活躍。著書には『男子が10代のうちに考えておきたいこと』、『男がつらいよ 絶望の時代の希望の男性学』など。