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大手企業から独立した齋藤ソフィーさん、安藤美冬さんが考える「自分らしい働き方」


この記事に該当する目標
5 ジェンダー平等を実現しよう 8 働きがいも経済成長も
大手企業から独立した齋藤ソフィーさん、安藤美冬さんが考える「自分らしい働き方」

2021年の日本のジェンダーギャップ指数は、156カ国中120位。国際労働機関(ILO)が2018年に行った調査によると、日本の女性管理職比率は、世界平均27.1%に対しわずか12%に留まっています。また、コロナ渦で雇用情勢が悪化し、女性の割合が多い非正規雇用労働者の失業が増加。2020年4月の雇用者数は、前月と比べて男性は35万人、女性は男性の約2倍の74万人減少しており、男女の雇用格差が問題視されています。

SDGsの目標5には「ジェンダー平等を実現しよう」があり、その中のターゲット5には「政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参加および平等なリーダーシップの機会を確保する。」が設定され、国際的にも様々な取り組みが進められていますが、日本はまだまだ多くの女性が”働きにくさ”を感じるような環境であるといえます。

今回は、このような環境下でも自分らしい働き方を実現するシマラヤジャパン代表取締役副社長・齋藤ソフィーさん、作家・コメンテーターの安藤美冬さんに女性のキャリアについてお話を伺いました。

大手企業から独立した二人のストーリー

リーマンショック直後の不安定な経済状況の中、大手企業から独立した齋藤ソフィーさんと安藤美冬さん。日本では2015年に「女性活躍推進法」が施行されますが、当時は現在よりも女性がキャリアを築くことが難しい環境だったのではないでしょうか。

大手IT企業から独立し2009年に起業した齋藤さんに、若い女性が起業することに壁がなかったか伺ってみると「上海では女性や20代の起業家も多く、年齢・性別によるハードルを感じたことはあまりなかったかも知れません。当時から日本以上に多様性が認められていたように感じます」と答えました。齋藤さんはもともと起業を志していたわけではなく「大手企業で組織の一員として働く中で、自分の存在価値に疑問を感じたことが起業のきっかけでした。自分にしかない個性や才能を発揮し、自分らしく生きていくために会社を立ち上げることを選びました」と言います。

2010年に集英社から独立し、フリーランスとして働いている「元祖ノマドワーカー」の安藤さんは、29歳の誕生日に30歳で会社を退職することを決意したと言います。その理由について伺うと「集英社はすごく働きやすかったし、大好きな雑誌や小説に携わる仕事が出来て幸せな職場でした。ですが、21歳でオランダ留学へ行き、ワークシェアという働き方を知った時の衝撃や自由に働いてみたいという思いが消えず、この先もずっと楽しく働きたいと考えた時に自分に会社員は合わないのではないかと感じました」と語ります。「当時、フリーランスはまだ一般的ではなかったですし、もちろん不安や怖さもありました。なので、準備もたくさんして。例えば、3,000人にインタビューをし、本当に自分に合う働き方は何なのかを考えました。毎月150人、1年8ヵ月で3,000人のフリーランス、経営者、副業、会社員など様々な職業の方に会い、その結果プロジェクトベースで色んな人と働くフリーランスや、スマホやパソコン一つで場所や時間にとらわれず自由に働くノマドワーカーという形が一番しっくりきました」とキャリア選択の経緯を明かします。

女性が自分らしく働き続けるために

ジェンダー平等の実現に向けて、さまざまな取り組みを行う企業も増えていますが、まだ課題は多く、働きづらさを感じている女性も少なくありません。二人のように自分らしく働くためにはどうしたらいいのでしょうか。

齋藤さんは「女性が働く上では、男性にはない月経やPMS(月経前症候群)による体や心の不調に悩まされること、妊娠・出産の大変さなど、どうしても性別の違いがあると思います。子どもも産んでみたいし、仕事もしたい。同時に色んなことを楽しみたいという女性が、自分のやりたいことを叶えられる選択が出来たらいいのではないかなと思います」「今の働き方は、自分で全てのことを決められ、責任を持てるので凄く楽しいです。大切にしている価値観の中で自由・冒険・チャレンジが上位に来る人に、起業は向いていると思います」と言います。

安藤さんは「ジェンダー平等は大切なことですが、女性の働き方や女性の社会進出など、男性・女性で区別することにピンと来ていません。性別を意識しすぎることで、本当のジェンダー平等や多様性の尊重が進まなくなってしまうのではないかと感じています。私も『週刊少年ジャンプ』が好きな少年性の強い女の子でしたし、今も冒険心が強く、少年性70%くらいの女性だと思っています。なので、性はグラデーションだと捉えています」「独立した頃のリーマンショックもそうでしたが、新型コロナウイルスによるライフスタイルの変化も全く予想が出来なかったこと。あまりにも先のことを考えて不安になってしまうよりも、短期的な目標を持ち続け、自分で決めた道を楽しむことが大切だと思います。今は、好きな人と好きな場所で好きなことをやっている。責任もプレッシャーもあるけれど、毎日が凄く楽しいです」と言います。

全ての人が働きやすい社会を実現するために、制度の導入や職場環境の改善など社会や企業の取り組みも重要です。また、好きなこと、実現したいことを突き詰めてキャリアを築いてきたお二人のインタビューを通して、自分がどのようなキャリアを歩みたいかを視野を広げて考える意識も大切だと感じました。誰もが自分らしく楽しく働くことを諦めず、より多様な働き方を選びやすい世界になるといいですね。

【プロフィール】
シマラヤジャパン株式会社代表取締役副社長 齋藤 ソフィー(さいとう そふぃー
上海外国語大学卒業後に日本へ留学。慶應義塾大学大学院日本文学修士課程卒業後に大手IT 企業を経て独立。
独立後はコンテンツプロデューサーとして、様々な日本発のコンテンツを中国へ紹介し定着させた実績を持つ。中でも日本の文化人を中国に紹介する活動を得意とし、コンサルタントの神田昌典氏、作家の本田健氏や近藤麻理恵氏等、著名人の中国講演の実施やコンテンツのマーケット拡大戦略の実現に広く貢献。
2017年11月、シマラヤジャパン株式会社副社長に就任。

作家・コメンテーター 安藤 美冬(あんどう みふゆ)
累計発行部数20万部、新しいフリーランス・起業の形をつくった働き方のパイオニア。
慶應義塾大学在学中にオランダ・アムステルダム大学に交換留学を経験。ワークシェアに代表される、働き方の最先端をいく現地で大きな影響を受ける。
大学卒業後、株式会社集英社に入社。
2010年に独立し、本やコラムの執筆をしながら、パソコンとスマートフォンひとつでどこでも働ける自由なノマドワークスタイルを実践中。
最新刊に『つながらない練習』(PHP研究所)、『売れる個人のつくり方』(clover出版)。