あの人に贈りたい「褒められ手土産」。プロが厳選!とっておきのナチュラルワイン7選
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自宅で過ごす時間が長かったここ2〜3年に比べ、今年の夏は外出制限もなくなり、会食や人と対面する機会も増えてきました。同時に、仕事で訪問する先への手土産やお祝いギフトなどを選ぶシーンも増え、選ぶ楽しみも、ギフト選びに悩むことも、多くなったと思います。そんな時には「褒められ手土産」として、国内でも手に入るナチュラルワインはいかがでしょうか?
“自然派ワイン”とも称される“ナチュラルワイン”ですが、実は明確な定義はありません。ナチュラルワインがどのような点でサステナブルなのか、ビオワインやオーガニックワインとの違いと合わせて、特徴を見てみましょう。今回解説をお願いしたのは、イタリアで20年以上、ワインや食材輸入業者のコンサルタントを行う、久谷満香さんです。
『「ナチュラルワイン」とは一般的に、大昔から伝わる自然な農法と醸造で造られたワインを意味します。大きなメーカーよりも、比較的少量生産の造り手のものが多くいます。近代のワインメーカーは、ブドウ栽培から醸造まであらゆるテクノロジーを駆使して製造しています。培養させた酵母によって発酵レベルを安定させたり、亜硫酸を使ってワインの酸化を防止したり、ワインの濁りを取るフィルターを使ったり。多数の人工的な技を使いこなしています。これに対して、ナチュラルワインの造り手たちは、テクノロジーをできる限り避けています。ナチュラルワインは主に、有機栽培で育てられたブドウを使用していること、天然酵母を使っていること、亜硫酸の使用をゼロに近づけていること、フィルターをなるべく使用しないことなどが特徴です。つまり「発酵されたブドウの果汁」というワインの原始的な姿なのです。
一方「ビオワイン/オーガニックワイン」とは、有機栽培されたブドウから作られたワインのことです。ナチュラルワインと同様にオーガニック製法なので、化学物質や合成物質などは使用していません。このカテゴリーのワインの一番の特徴は、専門機関によって認証されていることです。ヨーロッパの複数の認証機関がブドウ栽培からワイン醸造まで厳しく規定しており、その規定をクリアしたワインに認証ロゴマークが発行されます。そのマークはボトルの裏ラベルにが印刷されています。』(久谷満香さん)
久谷さんによると、空前のナチュラルワインブームは、日本もイタリアも同じだそうです。しかし、ナチュラルワインもピンキリで、ブームに乗って、酸化臭のするワインも出回っているとのこと。今回の記事では、ブームが終わっても後世に残るようなワインを贈る相手のタイプに合わせてセレクトしてもらいました。もちろん、いつも頑張っている自分へのご褒美としてもどうぞ!
1.健康志向なワイン上級者へ贈る1本
数多くの自然派ワインを楽しんできたワイン上級者に贈りたいのは、ミシュランもお墨付きのサステナブルな1本。
1990年にワイナリーを設立、1992年からビオワインを生産しているワイナリー、アジエンダ・アグリコラ・チェラウド。「当時こんな南イタリアでオーガニック農法とは、気が狂ってると思われていましたよ」と笑うのは経営者のロベルトさん。先月発表されたイタリアレストラン&ワインランキング “TOP 50 Italy” のロゼワイン部門で全国1位に輝いたのが「ガリオッポ」というこの地方にしかない珍しいブドウ品種を使ったこのワイン。ベリー系の愛らしさと、赤ワインのような長い余韻を持つ飲みごたえのあるロゼです。レストランも運営しており、ミシュラン一つ星に加え、サステナブルなレストランに与えられるグリーンスターも獲得。
2.自然派な先輩へ贈る、海風ただようワイン
コロナ禍になり、テレワーク・二拠点生活などで自然豊かな地方に移り住んだ方もいるのではないでしょうか。そんな方に贈りたいワインを選んでみました。
名前の由来はギリシャ神話の風の神様エオリア。年中風が強く乾燥しているエオリア諸島の特殊な気候条件を生かして作られる島の伝統ワインです。収穫したマルバシアブドウを“すのこ“に並べ、地中海の太陽と海から来る風で乾燥。ある程度凝縮したところでしぼられます。黄金色のこのデザートワインは、決して甘すぎることはなく、はちみつやアプリコット、アーモンドを思わせる魅惑的な味わいです。小さな島々では家族や友人が集まった時、このワインを飲みつつおしゃべりをするのが伝統的なしあわせの習慣でもあります。
3.日本酒好きへ贈る、和食に合うワイン
ワインよりは日本酒が好き。そんな方にも飲んでもらいたい、和食にも合うナチュラルワインがこちら。
リボッラ品種100%。自然派ワインブームの火付け役のひとつ、イタリアを代表する偉大なワイナリーで生産。ワインなのでブドウが原材料ですが、それすらもうどうでもよくなる無限大なおいしさです。どんな温度でも、どんな国の食べものと合わせても絶妙です。世界にこんなワインがあるだろうか!これはワインというカテゴリーの飲み物ではなく、グラヴナーという究極の自然のエキスなのではないでしょうか。香りの変化を十分に愉しむため、金魚鉢のような大きめのグラスで飲むことをお勧めします。
4.都会の女性に贈る、ラベルがオシャレな1本
アートやカルチャーへの感度が高い都会の女性には、ラベルが印象的なオシャレな1本を。
キャンティやブルネッロとはまったく異なる表情を持つ隠れたトスカーナ産ワイン。トスカーナ州にある古都シエナからさらに南に下ったマレンマ地方にあるワイナリー、は周囲を森林に囲まれたまさに生物多様性のど真ん中にあります。ビオディナミ農法で育てられたカリニャーノとアリカンテ・ネーロの2種類のブドウを混醸。フレッシュでアルコール度数も比較的低く、飲みやすいカジュアルなロゼに仕上がっています。ラベルが印象的なワインボトルは、イタリア人イラストレーター、フランチェスカ・バッラリーニさんが手がけたもの。水彩画のデザインで、親しみやすく自由で明るいこのワイナリーの特徴をそのまま表現しています。
5.お世話になった上司に贈る、エモーショナルな1本
仕事で目をかけてもらった上司には、エモーショナルなストーリーが込められた1本を。
トスカーナの北部ルッカにあるこのワイナリーは、有機栽培の野菜の生産者や養蜂家などと共に経営する協同組合であり、移民や障碍者を雇用し、サステナブルな農業を行うソーシャルファーム(社会的農業)でもあります。国連からも社会貢献農家として表彰されており「社会貢献ということはあまり宣伝せず、ワインのおいしさで勝負しています。」というのがモットー。樹齢50年という、4種類の在来品種からできるワイナリーイチオシの白。フルーティでミネラル感があり、後味に少しほろ苦さも感じます。食事に合わせたいタイプのワインです。
6.愛妻家のお客さまに贈る、パートナーと飲んでほしいワイン
愛妻家のお客様には、男性にも女性にも飲みやすい1本を贈ってみては。
アルプス山脈の麓、ミクロクリマが発生する最高の気候条件の地に畑を所有し、160年以上前からワイン造りを続けています。優良なブドウができなかった年はリリースをやめ、どこまでも質にこだわった生産をするワイナリー。伝統品種ネッビオーロ100%のこのワインはチェリーやラズベリーを思わせるフルーティさや、やわらかいタンニンもあり、エレガントな味わいの赤ワインです。少しだけ冷やして飲み始め、その後温度の変化により風味が変わっていくのを、じっくり味わうという飲み方も楽しめる1本です。
7.多忙なビジネスマンに贈る、疲れの取れるワイン
働き盛りで多忙なビジネスマン。そんな人に贈りたい、疲れを癒してくれる1本。
イタリアの最北端、アルプス地方で造られる白ワイン。アルプス山脈にあるイサルコという谷峡でしか栽培されない貴重なブドウ、シルヴァーナー品種を100%使用。この地域ならではの酸味と際立ったミネラル感が特徴で、透き通った麦わら色からもわかるように、いわゆる発酵臭やタンニンを感じるオレンジワインではなく、どこまでも清くすっきりとシャープな味わいです。ブドウそのもののおいしさを感じる飲み疲れしないワイン。魚介類の料理との相性も抜群です。
ナチュラルワインのファームには、サステナブルな農業を行うソーシャルファームや、ミシュランのグリーンスターのついたレストランの運営などを手掛けるワイナリーもあり、目標15の「陸の豊かさを守ろう」など、SDGsに関わる幅広い取り組みがされていることもわかりました。
それぞれのワインの特徴など、詳しい知識がなくても素敵なワインを選ぶことができそうですね。今回はタイプ別にご紹介しましたが、贈りたい人を思い浮かべたり、自分の好みに合いそうなワインを見つけていただけていたら嬉しいです。美味しく、楽しく、環境にも優しいワインを是非!プレゼントとして、ご褒美として、楽しんでみて下さい。
久谷満香さんプロフィール
サントリーグループのワイン輸入商社のイタリア駐在員事務所マネージャーを経て、ワインや食材輸入業者のコンサルタントを行う。イタリア全国に広がる生産者やフード&ワインイベントをめぐり、多数の媒体への取材や寄稿、大学の特別講師、コンサルなど、幅広く活躍中。
最近ではイタリアの食を通じた社会貢献活動を紹介するオンライン講座「アビタート」を開設。
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