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世界のエネルギー自給率。日本は?


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7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに
世界のエネルギー自給率。日本は?

日本のエネルギー自給率と安定供給

日本のエネルギーの自給率の低さはこれまでも度々問題として各メディアに取り上げられてきました。その認知度は2011年に発生した東日本大震災以降、世間にさらに広がったと言えるでしょう。そして、最近よく耳にするのが「ガソリンの価格高騰」や「電力需給ひっ迫警報」というニュースや速報。特に電力需給ひっ迫警報は2012年に設定されて以来2022年3月22日に初発令。二回目は2022年6月27日に発令されたのは記憶に新しい。
なぜ今になってこのようなエネルギー供給に制限がかかる事態が多発しているのか、日本の現状を歴史と海外情勢をおってみていきましょう。

日本のエネルギー自給率は10%近く

資源エネルギー庁が公開している最新のデータは2020年度のものになりますが、日本の自給率は12.1%。2019年度でいえば、OECD(経済協力開発機構)という36ヶ国※の先進国が加盟する国際機関の中では35位と低い水準にあることが分かります。
※2019年時点ではOECD加盟国は36ヶ国

画像出典:資源エネルギー庁​『​日本のエネルギー 2021年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」​』

では、いつからこのような状況になったのかを辿ってみます。今では想像できないかもしれませんが、日本のエネルギー自給率は1960年代までは58.1%と高く石炭や水力をはじめとする、国内の天然資源で一次エネルギーを賄えていました。戦後日本は、鉄道輸送や重工業に欠かせない資源である石炭を最優先で回復させるため緊急増産対策を実施。そのため、一時期は石炭が日本経済をけん引したという歴史があります。しかし、1960年以降になると石炭は急激に物価が上昇。それに伴い採掘のコスト上昇や、同じく資源となる石油の値下がりなどが重なり、炭鉱の経営は悪化し次々に閉山していきました。また、命を懸けるほどに過酷な採掘作業でストライキや大量の死者を出したことで石炭産業は衰退、代わりに台頭したのが石油です。これを後にエネルギー革命と呼びます。
石油が資源の主役になっていくと、日本は輸入に軸足を置くようになりエネルギーの自給率が減少していったという背景があったのです。

度重なる自然災害と島国の宿命

そして1980年代になるとエネルギーの自給率をキープするために新しく導入されたのが原子力発電です。しかし、2011年の東日本大震災の影響により原子力発電は減少し2014年には発電量がゼロになりました。この時のエネルギー自給率は6.3%と最低を記録しています。
2015年からは原子力発電の再稼働、再生可能エネルギー(太陽光、風力)の導入でなんとか自給率を上昇させたものの度重なる震災や復興の遅れなどが原因となりエネルギー需給はひっ迫した状況が続いていると言えます。このように、自国での限界を融和するために日本は海外の化石燃料に依存せざるを得ない状況下にあると言えるでしょう。
化石燃料とは石油・石炭・天然液化ガス(LNG)を指し、最新のデータが2019年になりますがその時点での依存度は84.8%。

画像出典:資源エネルギー庁​『​日本のエネルギー 2021年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」​』

資源ごとにみてみると石油は99.7%、石炭は99.6%、続いてLNGは97.7%が輸入に依存している結果になっていることが分かります。輸入に頼りすぎることのデメリットとしては、その国の社会情勢によって状況が変わることです。これをカントリーリスクと言います。かつて日本は友好的な関係にあったイランに投資し石油化学コンビナートを作る計画がありました。しかし、安定していたはずのイランの政情は崩れ戦争が勃発。大金をつぎ込んだプロジェクトは何も生産することなく終了しました。
そして、今同様の危機が日本に降りかかろうとしていることをご存じでしょうか。

21世紀の戦争が日本にもたらす危機

ロシアの「サハリン2」の事業主体再編。
サハリンとはロシアの東の端にある細長い島。島の南端は、北海道の稚内からわずか43キロ地点に位置し、日本ではこの島を樺太(からふと)とよんでいました。サハリン2では天然ガスを採掘し、LNGにして出荷する事業として日本からは三井物産、三菱物産が出資。生産されるLNGの約6割は日本に輸出され、電力の燃料や都市ガス原料などに使われている貴重な資源元です。
しかし、ロシア・ウクライナの戦争が勃発。侵略を進めるロシアに対する経済制裁を強めるイギリスや日本に対するけん制ともとれる、サハリン2の事業主体をロシア企業に変更するよう命じる大統領令にプーチン氏が署名。これを受けて英国石油大手シェルは撤退。現状日本は撤退の意志は示していないものの今後の進退からは目が離せない状況となっています。

世界が取り組むカーボンニュートラル

このようにエネルギー資源は我々が生活をする上で必要不可欠なものであると同時に、地球の環境保護のために使い方を問われる側面が存在します。自給率の低い日本だけでなく、世界全体のエネルギーの問題として2000年以降、中国やインドなどアジア地域を中心に、経済発展や人口増加に伴い、エネルギー消費量が増加しています。
エネルギー資源別でみると、化石燃料(石油・石炭・LNG)の消費量が特に拡大していることが分かります。化石燃料は電力を作り出すためには燃焼させる必要があるためその際に二酸化炭素を大量に発生してしまうデメリットがあります。
二酸化炭素濃度は地球の温暖化と深く関係しており、地球上の生態系など自然界のバランスを崩す要因となるため二酸化炭素削減は世界的な目標として掲げられている。2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言。120か国の国と地域が目標達成に向けて加盟しています。

今、日本ができること

日本のエネルギー資源の依存率をみて、今私たちが頼っている石炭や石油、そしてLNGは有限資源でいつかは枯渇してしまう可能性があることを忘れてはいけないという事に気付かされました。また、化石燃料に頼りすぎてしまうと火力発電に偏りが出てしまい二酸化炭素を排出してしまいます。資源の輸入に頼りすぎず、かつ地球を守るためにも日本は適切なエネルギー源を多様に取り入れるエネルギーミックスに積極的に取り組むべきだと感じました。
そのためにも、再生可能エネルギーを最大限に活用し、他国に依存しすぎない健全な自給率と消費率を守っていく必要があるのではないでしょうか。まず私たちが個人としてできる節約が自給率のバランスを保つ第一歩。できることから始めていきましょう。