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その差は112日。男女賃金格差のリアルとは


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5 ジェンダー平等を実現しよう
その差は112日。男女賃金格差のリアルとは

女性の社会進出が進み、男性も家事や子育てに参画する時代。最近では、「ヒヤマケンタロウの妊娠」や「極主夫道」など、男性が家事や出産、子育てをメインに担う作品が公開されるようになりました。そして、動画配信サイトの婚活サバイバル番組「バチェロレッテ」でも、社会のフロントラインで活躍する独身女性が主役となっており、女性の社会進出が増えてきたことが伺えます。

しかし実状は、日本の男女賃金格差はG7で最下位。SDGsのターゲット5.5では、「政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参加および平等なリーダーシップの機会を確保する。」とされていますが、この状態では達成までの道のりはまだ長いのかもしれません。今回は、改めて現在の日本の実状を知り、男女の賃金格差がなくならない理由を考察してみましょう。

辛い現実!日本の男女間賃金格差

実際に、日本ではどれほど男女の賃金格差があるのでしょうか。数字を見てみましょう。 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」から、日本の男女の賃金格差の実態を一部ご紹介します。

1.月額平均賃金

男性・・・33.9万円
女性・・・25.2万円
賃金差は月あたり平均8.7万円。年単位にすると、104万円の差があることに…。

2.学歴別の賃金(35~39歳の平均年収)

男性・大卒・・・約365万円
女性・大卒・・・約298万円
男性・高卒・・・約285万円
女性・高卒・・・約216万円
同じ学歴でも、男女間で年収に差が出ています。女性大卒者と男性高卒者の年収が、同じくらいなのが実情。また大学卒の男女では入社時の賃金に差はないものの、年齢が上がるほどに差が拡大するようです。

なぜ男女の賃金格差はなくならないのか

総務省「労働力調査」によると、結婚や出産などによってライフスタイルが変わっても、働く女性が増えています。では、なぜ男女の賃金格差がなくならないのか考えてみましょう。

1.仕事と家庭、両方に存在するジェンダーバイアス

採用や昇進において、「どうせ女性は結婚したらやめてしまう」「育休上がりの女性社員は、急な早退や欠勤をする」など、ジェンダーバイアスがかかるケースは多いのではないでしょうか。

事実、結婚や出産を機に離職、転職をする女性も少なくないですが、男性が早期に転職をすることも十分あります。キャリアの機会は、男女平等に与えられるべきだといえるでしょう。
しかし、身近な人やSNSの声を聞いてみると、夫婦がキャリアを考えたとき、女性が男性に合わせることが多いかもしれません。子どもの体調不良で急に迎えが必要なとき、PTAなどの役員などが回ってきたときなども、融通をきかせるのは母親であることが多いようです。
それが当たり前、一般的という家庭のジェンダーバイアスが根強いうちは、企業のジェンダーバイアスも消えず、キャリアのチャンスも男女平等にはいかないかもしれません。

働く女性の54%が非正規雇用

総務省の「労働力調査」によると、働く女性が増えているものの、内54%は非正規雇用労働者です。

平成28 年の「社会生活基本調査」によれば、一日のうち家事と育児に当てる時間が、男女で大きく差が出ています。家事においては女性が男性の約7.6倍、育児では約4.6倍の時間を費やしていることが判明。この数字を見ると、女性が家庭を優先にしながら働いているように思われます。
家事と育児をしながら働くとなると、非正規雇用を選ぶ人が増えるのもうなずけます。女性の非正規雇用者が増えたことも、女性の平均年収が男性よりも下回る一員でしょう。

日本の男女の賃金格差は、単純な額面の問題ではなく、背景には根強いジェンダーバイアス、価値観があると考えられます。

その他にも、「管理職の女性が少ない」「業務の難易度が違う」 「平均勤続年数が短い」など、格差が小さくならない理由は様々。このままの状態が続いてしまうと、女性は能力を発揮できず、その分経済成長もできなくなってしまう恐れもでてきます。ちなみに、男性1年分の収入を得るために、日本の女性が追加で働がなければならない日数は112日。格差が小さいと言われているノルウェーでは、その差は17日。

まずは自分たちに関係のある環境の格差を見直し、格差縮小を目指してみてはいかがでしょうか。