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溶岩の上にできた神秘的な美しい森「青木ヶ原樹海」と「森林のSDGs」


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15 陸の豊かさも守ろう
溶岩の上にできた神秘的な美しい森「青木ヶ原樹海」と「森林のSDGs」

青木ヶ原樹海というと、「一度足を踏み入れたら戻れない」といった「怖い」イメージが先行しがちですが、本来は富士山の恵みがもたらす、幻想的で神秘の森であることはご存知でしょうか。
山梨県では、富士山の裾野に広がる青木ヶ原樹海の歴史や自然、知られざる魅力を発信するために、樹海の散策ツアーや樹海の魅力を発信するムービーコンテストなどを実施しています。 今回は、ネイチャーガイドと歩くツアーをもとに、これまでのわたしたちのイメージを覆す青木ヶ原樹海の魅力を紹介するとともに、森林とSDGsについて考えてみたいと思います。

溶岩の上にできた森林地帯「青木ヶ原樹海」の魅力とは?

富士山の北西麓に広がる青木ヶ原樹海は、約1200年前に起きた富士山の噴火(貞観噴火)の溶岩流の上に木々が生い茂った森林になります。溶岩流の上に広がる特殊な環境の森林はさまざまな形の木や、苔が生い茂った岩など、他ではあまり見ることができない神秘的な光景を目にすることができます。
森林地帯の面積は約3000ヘクタール、土壌の厚さはわずか10数センチしかありませんが、ツガやヒノキなどの針葉樹と、ミズナラやカエデなどの広葉樹が密生している独特の景観が特徴で、国の天然記念物にも指定されています。
青木ヶ原樹海は、噴火のときにできた洞穴が多数存在し、鳴沢氷穴、富岳風穴、西湖コウモリ穴は、一般の観光客も入道することができるほか、多種多様な植物・昆虫・動物も見ることができます。

樹海と呼ばれる所以は諸説あるようですが、上から見下ろすと、樹でつくられた海のように見えることから「樹海」と呼ばれるようになったともいわれています。

そして、「樹海に一度足を踏み入れたら戻れない」という都市伝説のような噂は、溶岩が強い磁気を帯びで方位磁石が狂ってしまうからだといわれていますが、実際はよほど溶岩に近づけない限り磁石が狂うことはないそうです。樹海を散策するための遊歩道も整備されているので、ルートを外れなければ安全に楽しむことができます。

気軽な散策も、本格的なトレッキングも。遊歩道がある青木ヶ原樹海散策コース

青木ヶ原樹海は、散策を楽しむための遊歩道が整備されています。遊歩道を歩いて森林浴をしながら野鳥の観察や溶岩洞穴を気軽に楽しむことができますし、選ぶルートによっては本格的なトレッキングも可能です。
青木ヶ原樹海をはじめて散策する方におすすめなのは、西湖コウモリ穴からスタートするコースです。また、西湖コウモリ穴案内所には、青木ヶ原樹海ネイチャーガイドツアー(有料)もあるので、ガイドさんと一緒に青木ヶ原樹海の散策を楽しむこともできます。

気分は冒険家!特徴の異なる3つの洞窟

青木ヶ原樹海は、一般の観光客も楽しむことができる鳴沢氷穴、富岳風穴、西湖コウモリ穴の3つの洞窟があります。これらの洞窟は、富士山の大噴火のときにできたといわれています。洞窟内は気温が低く、真夏でも寒いので上着を用意しておくのがおすすめです。

1.鳴沢氷穴

総延長153mの竪穴型の洞窟です。洞窟内の平均気温は-2℃と低く、氷の池や氷柱などの神秘的な光景を見ることができます。

2.富岳風穴

総延長201mの大規模な横穴型の洞窟です。真夏でも溶けない氷柱や、溶岩棚、縄状溶岩などを見ることができます。

3.西湖コウモリ穴

総延長386mの富士山麓のなかでも最大規模の横穴式の洞窟です。鳴沢氷穴や富岳風穴とは違い洞窟内は暖かいため、多数のコウモリの棲息が確認されています。ただし、コウモリがここに居るのは寒い冬の間だけということで、私たちがコウモリに出会うことは滅多にできないようです。

多種多様な植物、動物を楽しむことができる美しい森

青木ヶ原樹海では、マメザクラ、ダンコウバイ、ヒカゲツツジ、ヤブウツギ、クロイチゴなどの植物や、ヒバリ、ヤマガラ、ヒガラ、ビンズイ、コガラなどの野鳥、二ホンリス、キツネ、タヌキ、テンなどの動物など、多種多様な植物や野鳥、動物を見ることができます。
幻想的な森の中で耳を澄ますと、鳥の鳴き声、動物の気配といった日常では味わうことができない大自然の息吹を感じることができます。

森林を守るために、私たちができることとは?

青木ヶ原樹海は人の手が入っていない自然の原生林ですが、現在、日本に残っている原生林はわずか4%以下だといわれています。
世界の課題となっている地球温暖化ですが、これまでに多くの森林を伐採してきたことも要因の一つになっています。木や植物は光合成で大気中の二酸化炭素を吸収、そして酸素を発生させます。このような形で森林は地球温暖化の原因の一つである二酸化炭素を減らす働きがあります。

仮に、今以上に温暖化対策をとらなかった場合、21世紀末には1年の3割近くが最高気温30℃以上の真夏日になると環境庁から発表されています。地球温暖化が及ぼす影響は、気温上昇だけではなく、海面の上昇、農作物への影響などと計り知れません。
地球温暖化を防ぐためにも森林を保護することはもちろん重要ですが、適切な管理をしながら元気な木を育てて、適切に使う、森林を循環させることも大切です。そのためには、国や地域、企業や個人が連携して、積極的に参加することが必要不可欠となります。

青木ヶ原樹海の紹介から話が逸れてしまいましたが、青木ヶ原樹海の散策は、神秘的な自然を楽しむだけではなく、わたしたちがこれからすべきこと、守っていくべきものを考えるきっかけになる場所かもしれません。