ミーレ・ジャパン設立30周年を通して考える家電とSDGs
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SDGsの目標が国連で採決された9月25日にのっとり施行されたSDGs週間。世界各国では9月25日を含む、最終週をSDGs週間とし毎年、様々なイベントが実施されています。伴って、日本でも9月になるとSDGsに関するイベントが開催されるようになってきました。その皮切りに9月13日にミーレ・ジャパンの設立30周年記念イベントが開催されました。SDGs Magazineでは度々、世界や日本のエネルギー問題について取り上げてきました。今回は実際に、世界を代表する家電メーカーのイベントを通して、世界のエネルギー問題や家庭での取り組みについて見直していきたいと思います。
家庭で見るエネルギー問題
これまでSDGs Magazineでは世界が抱えるエネルギー問題としてクリーンエネルギーの重要性についてや日本のエネルギー自給率に関する課題など、国家の産業・運輸の視点での問題をいくつか取り上げてきました。しかし、今回のイベントをきっかけに、地球温暖化を食い止めるカギは私たちひとりひとりの手にあることが分かりました。日本の最終消費エネルギー推移※をみて見ると運輸・産業部門は改善がみられるものの、家庭部門は、いまだ高い水準にあることが分かります。
※発電所等で作り出された時点でのエネルギー量ではなく、工場やオフィス、家庭で実際に消費されたエネルギーのこと。
日本の電力の大部分は火力発電でまかなわれており、火力発電は発電の際に多くのCO2を排出します。つまり、私たちひとりひとりが電力を消費すればするほど火力発電は稼働し地球の温暖化を進めることに繋がっているのです。国政や企業が率先しCO2削減に取り組んでいるものの、個人のレベルではまだまだ努力が必要な状況にあると言えます。
ミーレ・ジャパン設立30周年記念イベント
今回注目する家電メーカーの「ミーレ」は1899年に、「Immer Besser(常により良いものを)」のブランドを掲げドイツで創業。以来、食器洗い機や洗濯機、調理機器などを中心に製造し世界各国にてビジネスを展開。日本法人のミーレ・ジャパンは1992年に設立し、今年30周年を迎えました。当初より20年同じものを使える、1つのものを修理して使い続けるというところにブランドの価値を見出し、現在も尚、サステナビリティを追求するリーディングカンパニーと言えます。イベントには5年ぶりの来日となる創業家4代目でありグローバル本社の共同経営者兼代表取締役のDr. Reinhard Zinkannとともに、マーケティング・セールス担当取締役Dr. Axel Kniehlが来日。ミーレ・ジャパン代表取締役社長冨田晶子さんと共に、ミーレのSDGsの取り組みや、今後の展望について語られました。
ミーレは早い段階から、家庭で取り組めるSDGsに着目しており、水量や電力量、そして洗剤を最小限に収めたイノベーションを築いてきました。地球と共にあゆむ価値観を提唱し、その理念は日本でも確立されています。日本では近年、消費価値観の変化が話題となりました。購入することで付加価値(自然や社会の為になる)があるものにお金を払うという新しい価値観です。そのため、ミーレのブランドプロミスに共感する方々が徐々に増え、日本にも浸透してきていると言えます。
SDGsという視点を生かしたモノ選び
家電の選び方によっては、少なくとも4つのSDGsのゴールが関係します。
7 エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
有限である資源、そして消費され続けるエネルギーはできるだけクリーンなものを使用し地球の温暖化を防ぐ。省エネ家電を選ぶことで地球の汚染を防ぐことに繋がります。
12 つくる責任 つかう責任
ものを作るときにはやはり資源が必要となり、また計画的に生産を進めないと供給過多などから産業廃棄物の発生、そして廃棄のためにCO2の排出が増加など様々な弊害が生じます。1つのものを長く使う耐久性や、修理などのインフラを整えることが生産者と消費者の責任になります。
14 海の豊かさを守ろう
家電を使用する際に発生する洗剤やその他薬品が行き着く先は海と言われています。過剰な洗剤使用を防止し海を守ることは地球の汚染を防ぐことができます。
15 陸の豊かさも守ろう
使用の際のエネルギー消費を抑えることで大気を守り、大気をクリーンに保つことで森林を守ることにも繋がります。
選ぶ理由
このように家電1つを選ぶにしても、SDGsの視点を持って見ると選択責任を感じます。今回のミーレ・ジャパンの30周年イベントは、家庭で向き合うエネルギー問題について考えるきっかけを与えてくれました。ミーレの製品の多くは20年の使用を想定したテストを実施しており、故障してもスムーズな修理対応をするためのシステムを常に更新し続けているとのこと。アフターサービスは海外ブランドの大きな壁と考えられていましたが、こういった企業努力が日本でも浸透し、今では入手待ちが出るほどの人気家電ブランドになっているのではないでしょうか。サステナブルな社会に向けて、私たちが選ぶべき家電はそれでいいのか。今後はブランドの背景やストーリーも家電を選ぶ際の参考にしてみてはいかがでしょうか。