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「起業」と「独立」、3名の女性リーダーが語った本音のところ


この記事に該当する目標
5 ジェンダー平等を実現しよう
「起業」と「独立」、3名の女性リーダーが語った本音のところ

コロナ禍をきっかけに加速した、私たちの働き方の変化。テレワークに加え、企業が従業員の副業や兼業を認めるなど、ここ数年で、とくに女性の働き方の多様性が広がりました。
2021年に東京商工リサーチが実施した「全国女性社長」調査によると、全国の女性社長は54万919人、全企業で占める割合は14.2%と報告されています。女性の起業を後押しする政府や自治体の助成金などの支援もあり、今後も女性起業家は増えていくとみられています。
しかし、実際に起業するとなると、資金面などの不安から、行動に移すことを躊躇する方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、先日開催されたヴーヴ・クリコが主催する女性リーダーを招いたオープン参加型のパネルディスカッション「Veuve Clicquot Bold Conversation Session3」で語られた内容をもとに、女性が働きやすい社会を実現するためのヒントを探ってみたいと思います。

ヴーヴ・クリコ主催 「Veuve Clicquot Bold Conversation Session3」

ヴーヴ・クリコでは、女性リーダーの声を広く届け、対話を促す「Veuve Clicquot Bold Conversation(ヴーヴ・クリコ ボールド カンバセーション)」を、2021年から開催しています。日本で第3回目となる先日のイベントでは、「メディアは女性の生き方を変えられるか」をテーマに実施されました。イベントに登壇したのは、メディアに関わる仕事をされている3名の女性リーダーです。

佐藤 亜沙美(さとう あさみ)氏
サトウサンカイ 代表/ブックデザイナー
2006年から2014年まで祖父江慎氏率いるコズフィッシュに在籍。2014年に独立し、サトウサンカイ設立。最近の担当作に「2022年大河ドラマ 鎌倉殿の13人」のタイトルデザインなどがある。

竹中 万季(たけなか まき)氏
株式会社ミーアンドユー 共同創業者・代表/プロデューサー、編集者
2021年に独立し「me and you」を立ち上げ、代表取締役に就任。個人的な想いや感情を尊重し、社会の構造まで考えていくウェブマガジン・コミュニティ「me and you little magazine&club」を運営。

松尾 亜紀子(まつお あきこ)氏
株式会社エトセトラブックス 代表/編集者
出版社で15年間編集者として勤めた後、2018年フェミニスト出版社「エトセトラブックス」をスタート。2021年、東京・新代田に同名書店をオープン。
photo by SAMSON YEE

なぜ、「独立」を選択したのか?キーワードは「場所」

みなさんは、「女性起業家」というと、どのようなイメージを持っていますか。一般的には、「ゼロの状態から事業を創り出す」「社会を変えるサービスを創り出す」といったアントレプレナーを思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、今回登壇された3名に共通したのは、事業をゼロから創り出す起業ではなく、これまでの自分のキャリアをベースに起業している点でした。
モデレーターの「自身が女性起業家、女性リーダーだという感覚はありますか」という問いかけに対して、3名は以下のように語りました。
「わりと大きな出版社に勤めていたので、そこからの独立、男性中心的につくられてきたシステムからの独立、といった意味もあり、起業というよりは、独立という言葉のほうがしっくりくる」(松尾氏)
「会社を立ち上げたので起業ではあるが、起業という言葉を使ったことがない。自分たちが作りたい場所を継続させるために、その延長で会社を設立したので、一般的な起業のイメージとは少し異なっている」(竹中氏)
「一人でやっているので、起業という感じはしない」「起業というと、大人数の従業員を雇用するというイメージがある」(佐藤氏)
みなさん、「起業」や「女性リーダー」ではなく、「独立」という言葉がしっくりくると話されていたのが印象的でした。
さらに、「なぜ独立したのか」と話が進むと、「場所」という言葉がキーワードになりました。「自分が居心地の良い空間で仕事がしたかった」「自分と同じように、生きづらさや社会対して違和感を持っている人のために居場所をつくりたかった」「最後まで自分の責任で仕事がしたいと思うようになった」等の意見が飛び交い、独立という選択をしたのは、女性が故の生きづらさ、男性を中心としてつくられてきた社会システムへの違和感が大きく関係していることが伺えました。
そのほか、独立して経験した男性と女性の考え方の違いや、メディアの役割、お金のことなど、女性の働き方の多様性について考えるヒントもイベントでは話題になりました。

女性が活躍する社会…何がネックになっているのか?

女性の起業を後押しする助成金などの支援制度は充実していますが、女性が活躍する社会を実現するためには、はたしてお金だけが問題なのでしょうか。
2022年の男女共同参画白書では、昭和の時代に多く見られたサラリーマンの夫と専業主婦の妻と子ども、3世代同居などの家族構成は減少し、家族の姿は変化している。それにもかかわらず、男女間の賃金格差や働き方の慣行、人々の意識、さまざまな政策や制度等は、以前として戦後の高度成長期、昭和時代のままとなっていることが指摘されています。
長年にわたって浸透してきた「女性はこうあるべき」という、固定的な性別役割分担意識・無意識の思い込み(アンコンシャスバイアス)を払拭すること、多様性に対応した制度も変化していかないと、女性が活躍する社会を実現するには難しいのではないでしょうか。国や企業などの社会制度も同時に変化していかないと、女性が活躍する社会を実現するのは難しいのかもしれません。

【Veuve Clique Bold Conversation Session3開催概要】
■トークテーマ:「メディアは女性の生き方を変えられるか」
■登壇者:  松尾 亜紀子氏(株式会社エトセトラブックス 代表)
       竹中 万季氏(ミーアンドユー 共同創業者・代表)
       佐藤 亜沙美氏(ブックデザイナー)
ヴーヴ・クリコ ボールド カンバセーション公式サイトはこちら