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人気と同時に懸念点も。世界中を虜にしている「SHEIN」とは?


この記事に該当する目標
12 つくる責任つかう責任
人気と同時に懸念点も。世界中を虜にしている「SHEIN」とは?

日本にも実店舗が上陸した、オンラインショップ「SHEIN(シーイン)」をご存知ですか?
2008年に設立された中国発のファストファッションブランドです。現在、アメリカやヨーロッパを含む150の国と地域でECサイトやアプリを展開しており、2021年にはアメリカで最もダウンロードされたアプリとしてAmazonを抜いて1位になるほど話題になっています。
注目されている点はオンライン特化型のファッションブランドが手がけたリアル店舗でのユニークな販売手法ではないでしょうか?競合にあたるZARAやH&Mとは異なり、店頭での販売を行わないのが特徴で、店内では試着しかできません。購入は商品に付いているQRコードを読み取って、web注文にて受け付ける仕組み。
今年11月に日本ではじめての実店舗をオープンした際には多くの報道番組が「売らない店」として取り上げました。店内には『映え』を意識したフォトスポットが用意され、購入していない服でも、試着した状態で写真を撮ることができます。新たな販売手法にもなっているこの店舗設計はSHEINの狙い通り、SNSを駆使するインフルエンサーの心を掴み、店舗での爆買いやコーデ紹介などがYouTubeで配信され、リアリティのある上質な口コミと共に、ブランドの認知が進みました。
そんな人気の裏では、SHEINに対し、「強制労働」や「環境への配慮」などの懸念も浮上しています。

“安い”の理由

なんといってもSHEINの特徴は「安さ」。長く続く日本国内の円安や電気代高騰、食材の高騰など、長期間のデフレ経済の中で「プチプラ」や「高級感」のキーワードは、SHEINがローンチから短期間でトレンドになり、ユーザーが増えた理由ではないかと言われています。
SDGsの目標達成に向けて、大量生産・大量消費が控えられているようにも思える現在、SHEINに対しても、懐疑的な目が向けられていましたが、SHEINは初めて打ち出した大型広告で、環境破壊について触れ、懸念される問題に対する回答をしています。下記が実際にSHEINが出している広告のひとつです。

SHEINの発表によると、ブランドの生産の鍵であり、低価格を実現させている理由のひとつが「AI技術」だそうです。SHEINではAIが計算して算出するアルゴリズムを元に人気商品の傾向を分析し、デザイナーをサポートする仕組みを採用しており、1人あたり、1日に4点ほどのデザインが製作できています。そのためアプリを毎日開いても新しいアイテムに出会うことができますが、単に新しい商品を次々と生み出す大量生産でユーザーを満足させようとしているわけではありません。
各アイテムの最低生産数を100着程度に留めるよう管理しており、データ上確認がとれた人気商品アイテムのみ追加生産をするようになっています。これは、同時に在庫管理面でもコスト削減が叶うため、破格の価格で提供ができるのだそう。

SHEINに対する懸念

SHEINのビジネススキームに対して疑問や懸念、批判の声もSNS等で見受けられるとお伝えしましたが、その声の中には、強制労働が疑われる新疆綿の使用の可能性が指摘されていたり、デザインの盗用で複数の訴訟も起こっています。大量生産・消費による環境破壊に対しての危機感から、長く使えるモノや化学素材ではないものを選ぶ大切さ、また労働者の環境や賃金への適正さを求める声は大きくなっているのではないでしょうか。

“作り手”を意識した買い物大切さ

“モノ”への妥当な価格を知ることは意外にも難しかったりしますが、「なぜこのアイテムはこの価格なんだろうか?」と立ち止まって考えることこそ、SDGsの目標にもなっている「つくる責任、つかう責任」に寄与し、サステナビリティな消費者となる一歩です。
SHEINの場合は、「AI」という新しい革新的な技術を使って低価格を叶えているように、自分が手にとるアイテムの「作り手」を意識した買い物をすることで、生産者にも消費者にとってもいい買い物の環境を整えることができるのかもしれません。

企画・ライター:マヤニコル
編集:内村