共感から未来へのヒントを探る、アイスランドと日本をつなぐ祭典「Taste of Iceland Tokyo」
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地球の反対側に位置しながら、どこか私たちの価値観と響き合う国、アイスランド。そんな北欧の島国の文化と精神を東京で体験できるイベント「Taste of Iceland Tokyo」が、2025年5月末に初めて日本で開催。オープニングには、大統領やアーティストが来日し、サステナブルな食、伝統と現代の音楽、環境とジェンダーをテーマにしたアートなど、未来を見据えた多彩なプログラムが展開されました。
平和とウェルビーイングを重んじ、軍を持たずに社会を築いてきたアイスランドが発信する「新しい豊かさ」のかたちとは…このイベントは、生活の中のSDGsを考える絶好の機会となりました。
東京に吹き込む、北欧の風。文化を味わう二日間


火山と氷河の島、アイスランド。その自然と文化の息吹を、日本の中心・東京で体験できる特別なイベントが、2025年5月30・31日の2日間にわたり開催されました。
その名も「Taste of Iceland Tokyo」。アイスランドの魅力を世界に発信する官民連携プロジェクト「Inspired by Iceland」によって企画され、日本では初の開催となりました。
5月27日に行われたオープニングセレモニーでは、駐日アイスランド大使 ステファン・ホイクル・ヨハネソン氏、そして特別ゲストとして来日したアイスランド大統領 ハトラ・トーマスドッティル氏が登壇。
大統領は、「自然との共生、平和、サステナビリティという共通の価値観が、アイスランドと日本をつなげてくれる」と語り、「このイベントを通じて、両国の対話と友情が深まることを願っています」とメッセージを送りました。
五感で楽しむ北欧文化——音楽・食・アートが交差する空間


会場を包み込んだのは、アイスランド出身の人気アーティスト アウスゲイルとJFDRによるライブパフォーマンス。氷の静寂と火山の情熱を併せ持つ音楽が、参加者の心を揺さぶりました。
デザインユニット「フリエッタ&イールアリ」によるアートパフォーマンス「Pizza Time」では、廃材ウールを“ピザ”に見立てて遊び心とサステナビリティを表現。芸術の力で「つくる責任」「つかう責任」(SDGs目標12)を訴えました。
さらに、食の面では、アイスランド伝統の食材を使った特別メニューが登場。マスターシェフ ハヴリジ・ハルドウルソン氏とキンプトン新宿東京のシェフ 穂積悠帆氏が手がけた「アイスランド産 アカウオの松笠焼き わさびご飯 柚子ムース添え」は、日本のお茶漬けにインスパイアされた独創的な逸品。異文化を
“おいしく融合”させた試みは、来場者の舌と心を魅了しました。
文化外交としての意味——平和とウェルビーイングを語る


「Taste of Iceland」は単なる観光プロモーションにとどまりません。外交、経済、文化を結ぶ「文化外交」の一環としても位置づけられています。
アイスランド大統領 ハトラ・トーマスドッティル氏は、セレモニー後のQ&Aセッションで、ジェンダー平等への強い信念を語りました。アイスランド全女性の90%が仕事や家事を一斉に休んだ「女性の休日」は、2025年に50周年を迎えます。女性の休日に端を発し、女性大統領の誕生や政党設立などを通じて、ジェンダー平等が社会全体の価値観として根付くアイスランドでは、今秋「すべての人がウェルビーイングの中で生きられる社会」への再起動として、再び沈黙と白い服による連帯アクションが計画されています。この呼びかけは日本にも向けられ、「平和と平等は、すべての人のためのもの」というメッセージを共有しています。
暮らしの中にアイスランドを感じる——未来の旅先としても注目
アイスランドは近年、観光産業の成長にも注力しています。新たに開通、開業した火山ルート「ボルカニック・ウェイ」や地熱スパ「ハイランド・バス」、2026年には600年ぶりの壮大な皆既日食により神秘的なオーロラが見られると予測されるなど、自然体験の新たな目玉が目白押し。
日本の暮らしにも「ウェルビーイング」というキーワードが根付きつつある今、アイスランドという国はその価値観を共有する“もう一つの未来の形”として、多くのヒントを与えてくれる存在です。
私たちの毎日に欠かせない食や音楽、アート、そして平和へのまなざし。
それらを通じてアイスランドとつながる時間は、まさに「共感」で生まれる持続可能なパートナーシップ(SDGs目標17)の始まりでした。