• トップ
  • 記事一覧
  • 視覚的ステレオタイプにとらわれないインクルーシブなビジュアル表現とは? Getty Imagesが『LGBTQ+ガイドブック』を発表
SHOW CASE TREND

視覚的ステレオタイプにとらわれないインクルーシブなビジュアル表現とは? Getty Imagesが『LGBTQ+ガイドブック』を発表


この記事に該当する目標
5 ジェンダー平等を実現しよう 10 人や国の不平等をなくそう
視覚的ステレオタイプにとらわれないインクルーシブなビジュアル表現とは? Getty Imagesが『LGBTQ+ガイドブック』を発表

821561834,JGalionee

SDGsの5番目に掲げられている「ジェンダー平等を実現しよう」では、男女間のジェンダーギャップだけでなく、LGBTQ+といったあらゆるジェンダーの格差や差別をなくしていくことも大切です。
「ダイバーシティ」や「インクルージョン」の考え方が浸透する中で、日本でもLGBTQ+の存在は広く認知されるようになりました。また、2012年から毎年開催されているアジア最大級のLGBTQ+関連イベント「東京レインボープライド」によって、LGBTQ+コミュニティに対する社会の理解も少しずつ広まりつつあります。

一方で、LGBTQ+の人々が広告やメディアで取り上げられる機会は依然として極めて少ないのが現状です。Geena Davis Instituteが2018年に実施したメディアにおけるジェンダーの調査によると、世界最大級の広告賞といわれるカンヌライオンズでさえ、LGBTQ+コミュニティが被写体として登場したものは、たったの1.8%でした。
(Geena Davis Instituteによるメディアにおけるジェンダーの調査“Bias & Inclusion in Advertising: An Analysis of 2019 Cannes Lions Work”ー2020年)

また、ゲッティイメージズによる最新のVisual GPSリサーチの調査結果は、LGBTQ+に対する注目度や認知度が高まっている中で、未だにその表現の多くがステレオタイプにとらわれたイメージに偏ってしまっていることを示しています。

日本でも、一緒に暮らす女性カップルの日常風景を描いたユニクロのCMが注目を集めました。ですが、LGBTQ+の社会的受容が高まる中で、クリエイティブや広告表現において“LGBTQ+の人々の多様性や生活をありのままに映した、リアリティのあるビジュアル”を当たり前に目にするようになるまでには、まだまだ時間がかかりそうです。

そんな中、世界最大級のストックフォトサイト「iStock」を運営し、デジタルコンテンツを世界200カ国以上に提供するゲッティイメージズは、メディアにおけるLGBTQ+コミュニティのポジティブな描写を推奨する活動を行っているアメリカの非政府組織 GLAADとともに、よりインクルーシブなビジュアル表現を実現するためのガイドライン『LGBTQ+ガイドブック』を発表しました。

ガイドブックには、LGBTQ+に関する用語の解説のほか、Visual GPSの調査によって明らかになった、LGBTQ+コミュニティを表現した広告やメディアに対する消費者の反応・印象のデータなどをもとに、ビジュアルを選択する際の指針がまとめられています。
このガイドブックは、企業やブランド、フォトグラファーたちが、正しい知識と理解のもとにLGBTQ+コミュニティを適切に表現するためのサポートを目的として作成されました。ですがその内容は、私たち一般生活者がLGBTQ+コミュニティの理解についての視覚的ステレオタイプから脱却するためのヒントも与えてくれます。

例えば、下の二つの写真を見たとき、どちらのビジュアルがLGBTQ+コミュニティをよりインクルーシブに表現しているといえるでしょうか?

1181911895,mixetto
1160103160, Pekic


LGBTQ+ガイドブック内のチェック項目の一つには「恋愛的な側面だけでなく、日常生活におけるありのままの姿を描いていますか?」というものがあります。
上下どちらの写真もインクルーシブで素敵な表現ですが、このチェック項目に照らし合わせてみると、ロマンチックな恋愛関係のシーンのみにフォーカスするのではなく、コミュニティを超えてリアルな日常のあたりまえの瞬間を切り取っているという点で、上の写真のほうが、よりポジティブでインクルーシブな表現といえます。

こうしてみると、LGBTQ+コミュニティへの理解を深める際の無意識の偏見「アンコンシャスバイアス」に気づくことができます。性的指向や、恋愛対象の側面ばかり注目してしまいがちですが、LGBTQ+のアイデンティティを持つ方々が、私たちの普段の生活と変わらない日常を送っていることも忘れてはなりません。

このほかにも、ビジュアルを選ぶ際のセルフチェック項目として下記のような問いかけがあります。(一部抜粋)
・実際のLGBTQ+の人々を通してコミュニティを表現していますか?
・性別の二元的な定義にとらわれない、多様なジェンダー表現を尊重していますか?
・LGBTQ+コミュニティに限らず、多様なアイデンティティを持つ人たちと共に描かれていますか?
・トランスジェンダーであるという事実以外の側面に目を向けていますか?

ビジュアルや広告表現という観点だけでなく、これらのチェック項目は、LGBTQ+コミュニティの理解についての新たな気づきを私たちに与えてくれるのではないでしょうか。

『LGBTQ+ガイドブック』は、こちらからご覧いただけます。

ビジュアルを通じて視覚的ステレオタイプからの脱却を目指すゲッティイメージズの取り組みに注目しつつ、LGBTQ+コミュニティに対しての正しい知識と理解を深め、ステレオタイプにとらわれない多様性の描き方について考えてみてはいかがでしょうか。