捨てられるものをリバイバル、“着る野菜”をコンセプトにしたFOOD TEXTILEが使われている商品5選
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FOOD TEXTILEについて
現在、世界的な問題となっている食品廃棄量の増加。日本では年間約2800万トン、世界では年間約13億トンも廃棄されているのが現状です。そうした中で最近注目を浴びているのが、ファッション業界から食品廃棄物を再活用するプロジェクト「FOOD TEXTILE」です。
FOOD TEXTILEは、ファッション業界から廃棄食材を再活用するプロジェクトブランドです。繊維商社である豊島株式会社と、色の原料を提供する食品企業、その生地で商品を展開するコラボレーション企業という3種類の企業群から成り立っています。
FOOD TEXTILEでは、通常であれば捨てられてしまう規格外の食材や、カット野菜の切れ端、コーヒーの出涸らしなどを食品関連企業や農園から買い取り。食品に含まれる成分を抽出し、それを染料にして国内外で取得した特許技術で染め上げているとのこと。現在は、カゴメ、グリーンメッセージ、タリーズコーヒー、猿田彦珈琲、生活の木、長野県木曽町など15社を超える国内の食品関連企業・農業・農園と連携、業界を繋ぐサステナブルなシステムを構築しているのだとか。CSR活動の領域を超え、各企業がビジネスとして取り組める流れを作ることで、長期的に持続可能な仕組みを目指しています。
ますます深刻化する食品ロス問題
皆さんは食品ロス問題がどれほど深刻かご存知ですか。
そもそも食品ロスとは、まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物のことで、FAO(国際連合食糧農業機関)の報告書によると、世界では食料生産量の3分の1に当たる「約13億トン」の食料が毎年廃棄されているそうです。日本でも1年間に約612万トン(2017年度推計値)もの食料が捨てられており、これは日本人1人当たり、約お茶碗1杯分のごはんの量にあたります。
多くの食品が廃棄されている一方で、現在途上国を中心に8億人以上が十分な食料を確保できず、栄養不足で苦しんでいます。世界の人口は、2050年には約97億人にのぼるとみられており、今の状況が続けば、人口増加に伴って栄養不足で苦しむ人がますます増え、貧困問題はより深刻化するでしょう。
また食品ロスには、廃棄する際にも課題があります。それは食品廃棄に伴う温室効果ガスの排出です。実は、世界の温室効果ガスの約8%を食品廃棄に伴う温室効果ガスが占めており、間接的に地球の生態系や気候変動などに深刻な影響を及ぼしています。また、食料が利用されず廃棄されるということは、生産時に使用された水や飼料、食料輸送のエネルギーなども無駄になっているということでもあります。
FOOD TEXTILEのプロジェクトは廃棄食材を再活用し、食品ロス削減に貢献している観点から、SDGs目標12「つくる責任とつかう責任」、ターゲット3番「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の1人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」の達成に寄与しています。またその活動は、食料の効率的な確保だけでなく、廃棄処理のために発生する温室効果ガスの削減による環境負担の軽減、経済面での生産性の向上にもプラスの効果をもたらします。
FOOD TEXTILEの注目プロダクト5選
ユナイテッドアローズやアーバンリサーチといったアパレルメーカーを含む多くのプロダクトに採用されていっているFOOD TEXTILE。今回は、多くのプロダクトの中から5つを抜粋してご紹介いたします。
1.CONVERSE
環境に配慮したエコ素材を実験的に使用し紹介する、「converse e.c.lab(コンバース イーシーラボ)」から発売されているモデル。FOOD TEXTILEが使われているものはconverse e.c.labの中でも人気のシリーズなんだとか。21AWでは、深みと柔らかな表情がある「エスプレッソコーヒー」と、美しい青色が印象的な「レッドターニップ」が登場しています。このコンバースを履いていると、ふと足元を見た時に自然の優しいカラーに癒されそうです。
2.cohan(コハン)
「cohan(コハン)」は、インナーウェアやルームウェアなど、肌で実感できる品質の良さ・心地よさを追求するプロダクトを展開するブランドです。写真のイエローのチュニックシャツ以外にも、ワンピースやセーラーシャツなどにもFOOD TEXTAILを展開しています。楽さも求めたいけどお洒落もしたいお家時間に、とっても活躍しそうです。
3.Hogara
Hogaraは、豊島株式会社の女性社員の方々がプロデュースする、心地よい毎日のためのブランド。今回発売されるのはレギュラータイプとフルタイプの吸水ショーツで、それぞれアカカブ、サクラ、マッチャの3色展開。農場と紡績工場の特定ができるオーガニックコットンを使用した、こだわりのオーガニックコットン吸水ショーツです。肌に毎日直接触れるものだからこそ、素材や染料にこだわった商品があるのは嬉しいですね。
4.STANDARD JOURNAL
「STANDARD JOURNAL」は、毎月ゲストとして迎えられた4人のデザイナーやクリエイターたちが予め決められたアイテムを「お題」として独自にデザインし、JOURNAL STANDARDと共作で商品を製作するプロジェクトレーベルです。FOOD TEXTILEの生地はseven by sevenのデザイナー 川上 淳也さんの回に採用されたのだそう。ECサイトをチェックしてみると、写真のチノパン以外にもロングスリーブカットソー、オーバーオールがFOOD TEXTILEの豊富なカラーで制作されていました。とっても優しい色合いなので、ECサイトを眺めるだけでも癒されます。
5.GREENable HIRUZEN × WIND AND SEA
SDGs MAGAZINEでも紹介した、岡山県真庭市の蒜山高原に今夏オープンした観光施設、GREENable HIRUZEN(グリーナブルヒルゼン)とWIND AND SEAのコラボレーション商品にもFOOD TEXTILEの生地が使われています。蒜山高原のある真庭市は、日本全国のサステナブルな取り組みを牽引する自治体として知られており、木材産業で出る間伐材や端材を再生可能エネルギーに変える「真庭バイオマス発電所」、瀬戸内で廃棄される食用牡蠣の殻を田んぼの土壌改良剤として活用した「真庭里海米」、生ゴミを農業用肥料に変える「バイオ液肥」など、これからの時代のお手本となる要素が凝縮された地域です。
ただ捨てられていくものを、生き返らせる
この言葉は、筆者がFOOD TEXTILEのウェブサイトを開いた時に目に飛び込んできたフレーズです。どんなモノも「使われる」ために作られますが、現状「使われずに捨てられている」ことが余りにも多いことを私たちはまず認識しなければなりません。食料に至っては、作った内の3分の1が捨てられています。その課題に目を向けて、共同企業がビジネスとして取り組みながらサステナブルな社会に貢献する仕組みであるFOOD TEXTILE。消費者にとっても、ナチュラルな染料で染められたプロダクトは、温かみが合って惹かれる人も多いはず。より多くのプロダクトに採用され、日常的にFOOD TEXTILEの商品を目にすることが出来る日が来ることをとても楽しみにしています。
「FOOD TEXTILE」のHPはこちら