日本財団が「True Colors Festival」初のオンラインイベント開催。 ヒップホップが多様性を認め合う社会の実現に向けて果たす役割とは?
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秋と言えば、やっぱり“芸術の秋”。芸術というと絵画や音楽を思い浮かべる方も多いかも知れませんが、最近は“パフォーミングアーツ”という分野にも注目が集まっているようです。
日本財団が主催する「True Colors Festival 超ダイバーシティ芸術祭 -世界はいろいろだから面白い-」は、パフォーミングアーツを通じて、障害・性・世代・言語・国籍など、個性豊かな人たちと一緒に楽しむ芸術祭です。
3月以降は新型コロナウイルスの感染拡大の影響に伴い、全てのリアルイベントは中止としていましたが、新たにオンラインでのイベント開催に挑戦しました。
2020年9月26日(土)、初めてのオンラインイベントとなる「THIS IS HIP-HOP」を開催。世界各国から多様なアーティストが集まった他、日本からは今注目される三兄弟のヒップホップアーティスト「TAMURA KING」が出演し、トークやパフォーマンスを披露しました。
年代や経歴もさまざまな7組のアーティストを迎え、前半のトークセッションでは、それぞれの体験に基づき、“ヒップホップがいかに人生を変え、社会課題の解決さえ導くのか”についてトークが展開されました。
音楽手話を専門とし、アメリカで手話通訳者として活躍する、アンバー・ギャロウェイ・ガレゴは、世界的に大きな動きとなったBlack Lives Matter運動を背景に、「ヒップホップは、私たちが表面的にしか知らないことについて、光を当てる役割を果たしています。何世代にもわたり、きびしい抑圧にさらされてきた現実がついに語られるようになり、多くの人がその物語を聴くようになりました。それを可能にしたのがヒップホップです」と、ヒップホップが持つ意思表示の役割について語りました。
さらに、さまざまな障害がある人々へのコミュニケーションアクセスの重要性を訴え、「世界中のアーティストが、そうした人々にアクセスを提供し、インクルーシブであれば、音楽がより多くの人にメッセージを伝え、大きな力を与えることができます」と呼びかけました。
今回、同芸術祭に初めて参加したTAMURA KINGは、神奈川県茅ケ崎に暮らす三兄弟のヒップホップアーティスト。彼らは、アフリカ・ガーナ出身の父と日本人の母をもち、日本で生まれ育った自分たち家族を“ある意味において特殊”だとしながら、「TAMURA KINGが表現しようとしているのは、日本で暮らす私たちと多数派である日本人との違いであり、その経験がクリエーションにつながっている」と話しました。
また、次女でダンサーのMANAさんは、「個人的にインスピレーションを与えてくれたのは手話。手話を覚えて、ダンスに取り入れることができれば、私のダンスがもっと意味のあるものに変わっていく」と今後目指していきたい自らの表現についてもコメントしていました。
「ヒップホップ」をテーマに開催された本芸術祭。イベント当日は、日本語同時通訳のほか、国際手話通訳、日本手話通訳、日本語字幕、英語字幕など、オンラインにもかかわらず様々な鑑賞サポートがあり、まさに誰もが参加できるイベントとなりました。
この芸術祭を通して、「誰もが居心地の良い社会とは何なのか」をより多くの人が考えるきっかけになれば良いですね。
オンラインイベントはYouTubeのアーカイブから視聴可能です。
https://youtu.be/EliLOB-JDVY 英語音声(日本手話&日本語字幕)