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【今年読まれた記事ベスト2】スコッチウイスキーがもう飲めなくなるかも…?

【今年読まれた記事ベスト2】スコッチウイスキーがもう飲めなくなるかも…?

#SHOW CASE
  • 陸の豊かさも守ろう

2021年に最も読まれたSDGsMAGAZINEの記事は…?2021年1月1日から12月15日までに掲載された記事のPV数を元に、ランキングベスト5をまとめました!読者の皆さんが注目したSDGsのニュースと一緒に、早速今年1年を振り返ってみましょう。

本日ピックアップするのは第2位のこちらの記事!
スコッチウイスキーがもう飲めなくなるかもしれない…? 泥炭地を守ることで救える未来とは

※この記事は12月9日掲載したものです

みなさんお酒はお好きですか?特にウイスキーはお好きでしょう?英国スコットランドはスコッチウイスキーが製造される五大ウイスキーの産地で、観光に訪れる愛飲家もいるほどの“ウイスキーの聖地”ともいえるスポットです。

そんなスコットランドの名産品である、ウイスキーの作り方は気になりませんか…?さぞ厳重に企業秘密にされていると思いきや、なんと最近は製造工程をオープンにするディスティラリー(蒸溜酒製造所)も増えており、私たちも自由に見学できるように公開されているんだそう。というのも、自然豊かな立地こそが風味の違いを作り出す肝だからなのです。実は今、そんなウイスキー作りに欠かせない“泥炭”がピンチらしい!
ということで、今回はスコッチウイスキーづくりの中で、重要な要となる泥炭地(ピートランド)の保全活動とSDGsの関係をひも解きながら、ウイスキーをこれからも持続可能に美味しく楽しむためのお話をしたいと思います。

そもそも泥炭地(ピートランド)ってなに?

ピート(泥炭)とは、枯死して部分的に腐った植物が微生物によって十分に分解されず、その場で積み重なりできたもので、有機物を多く含む泥状の炭のことを指します。ウイスキーの生産工程では、原料である大麦が水を吸収・発芽し、それを乾燥させる際にピートが用いられます。炭ではなくピートで燻し、独特のピート臭がつくことでスコッチらしい風味となります。特にスコッチの名産地であるスコットランド西部のアイル島で製造されるアイルウイスキーは「煙くさい」と称されるほど独特な風味があるとされますが、その土地では特に泥炭(ピート)が豊富に存在しているそうです。このように、ピートはスコッチの独特な風味を保っていくためにとても重要な水資源なのです。

泥炭地は救世主?それとも…
地球を守る存在から一転、“最大の敵”へと変わる危険性も

泥炭地は、地球上の陸地の約 3%の面積しか占めていないのにもかかわらず、陸上の炭素の約 30%を貯蔵しているとされており、地球温暖化を食い止める大きな役割を担っています。
しかし近年は、開発などによって劣化が進んでおり、いったん泥炭地が劣化してしまうと、地球温暖化は大幅に進行してしまうと考えられます。泥炭地が劣化すると長年貯めてきた炭素を一気に放出するためで、それは年間の地球上のCO2排出量の5%も占めています。
さらに、土地開発を行うために水を抜かれた泥炭地では乾燥がひどく、大火災に発展する事例も多発しています。特に、私たちが食器の洗剤やシャンプーなど様々な用途で用いるパーム油の原料であるアブラヤシの世界最大輸出国・インドネシアでは、火災による煙害が深刻化しています。上記のような災害を予防するには、泥炭地の保全と再生(再湿潤化)などをして、泥炭地を保全することが重要です。この取り組みを行うことによって、持続可能な開発目標(SDGs)目標15「陸の豊かさも守ろう」はもちろん、目標3「すべての人に健康と福祉を」ーゲット3.9「環境汚染による死亡や病気を、大幅に減らそう」を達成することにもつながります。

スコッチウイスキーのトップブランド、「ジョニーウォーカー」が手掛ける保全活動

そして最近、泥炭地の保全する活動を掲げたのが、キリンビールが販売しているスコッチウイスキーのトップブランド、「ジョニーウォーカー」です。同ブランドでは、11月25日にサステナビリティレポートを発表し、主に泥炭地保護に関して以下のことを目標に掲げました。

<2025 年までに>
・スコットランドの劣化の激しい泥炭地 88 ヘクタールの修復と、100 万本の植林。
・主要商品のボトルに最低 60%のリサイクルガラスを使用することで、年間 13,000 トンの炭素使用量を削減。

またそのほかにも、生産において重要なウイスキーと自然の素材や力の絶妙な関係性、資源のバランスを保つことを目的として、「ジョニーウォーカー」製造に使用する水の量を20%削減することを目標に掲げています。
他にも、2030年までに、ウイスキーの製造においてCO2の排出ネット・ゼロ(≒カーボンニュートラル)を達成することや、すべての直接事業において100%再生可能エネルギーを使用すること。そして、リサイクル可能、再利用可能、堆肥化可能なパッケージングを100%使用することなどを含む、新しい目標を発表しました。

グローバルブランドディレクターである、ジュリー・ブラムハム氏のコメント

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「ジョニーウォーカー」はポジティブで進歩的な選択を繰り返してきたレガシーの上に構築されていて、ブランドのスローガンである「KEEP WALKING」はこの考えから来ています。私たちを取り巻く世界を見ると、全員が地球とその資源を保護するために果たすべき役割があることは明らかです。現状を見て何もしないことを選ぶか、自分の影響を減らすためにできるだけの一歩を踏み出して歩き続けるか。選択の余地はないと思っています。今後数年間で、私たちがなす選択と取る行動が環境に目に見える変化をもたらします。しかし、それ以上に私たちは、シンプルでより持続可能な選択をする機会を世界中の人々に提供し、そうすることで、より良い未来を構築するための自分の役割を果たしてもらいたいと考えています。私たちは一人で物事を完全に変えることはできませんが、何百万人もの人々が同じ方向に向かって努力することで、本当に意味で永続的な変化を生み出すことができるのです。
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持続可能で美味しいウイスキー作りの要となる“泥炭”をきっかけに、SDGs達成へ向けた重要な泥炭地保全を身近に感じていただけたでしょうか。ジュリー・ブラムハム氏が語っているように、企業が社会に与える影響は大きいため、「ジョニーウォーカー」のようなトップブランドが率先してサステナブルな取り組みを行うことは業界においても良いインパクトになりそうです。
今後目標達成へ向けてどう取り組んでいくのか、今後の動きにも注目です。


ジョニーウォーカー公式サイトはこちら


次回は第1位を振り返ります。一体何がランクインするのか…どうぞお楽しみに!

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