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【仏:循環経済法から3年】マクドナルドの店内用カトラリーが再利用可能な容器へと義務化。効果への危惧も。

【仏:循環経済法から3年】マクドナルドの店内用カトラリーが再利用可能な容器へと義務化。効果への危惧も。

#TREND
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おしゃれな街、フランスパリのマクドナルドでは、いつも私たちが目にしてきたフライドポテトの容器が紙からセラミック容器に形を変え、提供されています。マクドナルドにとっても世界初の試みで、パリ在住のライターJuanがTwitterに投稿したのもきっかけで注目を浴びました。彼のツイートは3日間で40万近くのいいねを獲得し、コメントでは「盗みたいくらいかわいい!」や「おしゃれすぎる」などと反響があり、フランス大統領がリポストしたことで、さらに話題を呼びました。
フランス国内のマクドナルドが、リユース容器での提供実施をスタートした理由は、2023年1月1日よりフランスの循環経済法に基づき、店内飲食用のカトラリーは再利用できる容器を使用することが義務付けられたためです。

フランス「循環経済法」とは?

マクドナルドがリユース容器を導入したきっかけとなるフランスの「循環経済法」とは、2025年1月1日までにプラスチックのリサイクル率100%を目標とする法律で、2020年に施行されました。この法律は、大量生産・大量消費・大量廃棄の経済社会から、再利用やリサイクルを当たり前にする資源を循環する経済を目指すための法案です。
目標達成に向けて、フランスでは段階的に変化を進めています。例えば、2021年にはストローやナイフ・フォークなどの使い捨てカトラリー等の使用を禁止、2022年には野菜・果物のプラスチック包装やティーバッグなどへのプラスチック使用を禁止しています。そして、次のステップとして2023年1月に施行されたのが店内飲食の際のプラスチックの使用を禁止することです。

<フランス 循環経済法で定められている達成目標(一部抜粋)>
2020年:循環経済法 施行
2021年:プラスチック製ストロー、カトラリー等の使用禁止
2022年:野菜・果物のプラスチック包装、ティーパック等の使用禁止
2023年:ファーストフード店での使い捨て容器の使用禁止
2025年:プラスチックのリサイクル率100%
2030年:フランスで発売される使い捨てプラスチック製飲料用ボトルの50%削減
2040年:使い捨てプラスチック包装の市場投入を禁止
2022年:公共施設に冷水機の設置を義務付け
参考:日本貿易新興機構(JETRO)

賛成意見が多いこの政策に対し、使い捨ての禁止が本当に地球温暖化の解決へと導いているのか?という議題も上がっています。フランスのEU政策に特化したWEBメディア「EURACTIV」は、施行から3年経った今、改めて政策について見直した記事を公開しました。
記事によると、フランス環境省は循環法によりエッフェル塔20個分ものプラスチックと段ボールの消費量が減少すると発表しています。その一方で、2023年4月12日にパリで行われたスウェーデンのコンサルティング会社Rambollが主催したイベントでは、必ずしも使い捨てが環境にいいというわけでもないという結論に至りました。リユース容器に切り替えることで、使い捨て容器よりも2.8倍のCO2と3.4倍の水を消費する可能性があるというリサーチもあるそう。そのため、地球温暖化の対策にはリサイクルを継続し続けることが鍵になってくるという主張がありました。

「置き換え」ムーブメント

日本ではまだリユース容器の導入が活発的ではありませんが、小さな変化が見られるようになってきました。大手コーヒーチェーンスターバックスでは、今年3月27日からフラペチーノ®などアイスビバレッジ店内利用時に樹脂製グラスでの提供を約1,500店舗※1でスタートしました。
※1:全国1,792店舗(2022年12月末時点)のうち、客席のない店舗や収納スペースの少ない店舗などグラス提供ができない店舗を除く

フランスのように国単位でのムーブメントを起こすハードルは高いですが、マイボトルの使用やリユースができる容器を提供している店舗での飲食時は、可能な限り使い捨てではない物を選ぶ意識がけをしてみるのはいかがでしょうか?一人一人の小さな心がけが大きな結果に繋がるかもしれません。

企画・ライター マヤニコル
編集      内村

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