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本物に触れる、本気の取り組みが豊かな未来と暮らしやすい街を形作る――「とうきゅうキッズプログラム」事務局担当者に聞く


この記事に該当する目標
4 質の高い教育をみんなに 8 働きがいも経済成長も
本物に触れる、本気の取り組みが豊かな未来と暮らしやすい街を形作る――「とうきゅうキッズプログラム」事務局担当者に聞く

小学生の子どもたちが親子で職業体験や施設見学、ものづくりといったさまざまなプログラムに挑戦する体験型イベント「とうきゅうキッズプログラム」。生活に密着した幅広い事業を展開する東急グループが、プログラムを通してグループへの理解を深めてもらいたいと2007年から開催しており、2026年で19回目を迎える恒例のイベントです。
そして、本物に触れるようなさまざまな体験から、子どもたちが暮らしや将来について考えるきっかけにもなっており、昨年は353組706名が参加しています。

今回はとうきゅうキッズプログラム事務局の江戸直子さんと本庄渚さんに、取り組みにかける思いや意義、グループが掲げるビジョンなどについて尋ねました。

グループの事業を網羅する、“本物”の仕事に触れられるプログラム

――「とうきゅうキッズプログラム」はどのような経緯でスタートした取り組みなのでしょうか。

本庄渚さん

本庄:プログラムが始まった2007年は、少子化が進む中で、社会貢献のあり方をグループ内でも議論を進めていました。その中で、お子さま向けに何かできることはないか、とスタートしたのが「とうきゅうキッズプログラム」です。
当初は少ないプログラム数でスタートしましたが、本年度は21社2法人、30プログラムで開催します。鉄道だけでなく、商業施設や百貨店、不動産、エネルギー会社など、グループ内で連携を取りながら、幅広く展開できるようになりました。

江戸:やはり鉄道をイメージされる方は多いかもしれませんが、東急グループは「交通」「不動産」「生活サービス」「ホテル・リゾート」の大きく4つの事業を展開しています。「とうきゅうキッズプログラム」では、みなさまに私たちグループの事業を知っていただきたいという想いで、この4つの事業をしっかりと網羅する形でプログラムをセレクトしています。
東急線沿線でのポスター掲出などの効果もあって認知率も非常に高く、毎年非常に多くの方にご応募をいただいております。グループ内でも「ぜひ継続してプログラムを実施したい」「社会貢献や事業ミッションとして賛同します」と、非常に熱のある声が事務局に届いておりまして、グループ全体で柔軟に内容を組み立てています。

――プログラムを設計するうえで大切にしていることはどのようなことでしょうか。

江戸直子さん

江戸:子どもたちだけでなく、親子など保護者の方も一緒に参加していただく点にはこだわっています。親御さまにも身近にある東急グループの事業の裏側に触れ、新たに知っていただくことや意外な発見も多くあります。
そして、子どもたちにとっては、「本物に触れていただけること」がこのプログラムの最大の特徴です。この「本物」は、プロの技術者や運転士、パティシエなど第一線で活躍する社員と直接交流できる「人」、運転席など実際に使用しているシミュレーターや技術研究所などの施設や機材などに触れられる「物」の2つがあります。この本物に触れるという「生身の体験」はとても大切にしている部分です。

本庄:ご参加いただいた保護者の方々からは「子どもが実はこういう職業に興味があったのかと気付けた」というお声もいただいています。プログラムの中には、自分たちが手掛けた植栽やクリスマスの装飾などが街中や施設に飾られるものもあり、自分たちが街づくりの一員となっている喜びを実感していただけています。

江戸:最近の子どもたちは、パソコンやスマートフォンなどを使って、AIや動画などを通じていろいろな情報をキャッチすることが得意になっています。
ですが、やはりプロの方や本物の機材などに直接触れることで、その方の仕事に対する想いやプライド、熱量を目の前で感じることには、デジタルでは得られない価値があると思います。貸切電車への乗車、車庫での踏切や遮断機の見学などといったリアルな体験は、より心に残るものだと考えています。体感し、体に感覚として残るような体験を大切にしていきたいですね。

子どもたちとは「仕事の仲間」として向き合う

――実際の現場で働く方々は、プログラムを通してお子さまたちとどのように向き合っていらっしゃるのでしょうか。

本庄:現場では「今日から新たに加わる仕事の仲間」として、参加する親子の皆様を迎え入れています。低学年・高学年などは関係なく、「お客様からどう見えているか」など、プロの視点や志を細かいところまで直接指導していきます。現場の従業員にとっても、子どもたちの新しい視点に触れられる、貴重で楽しい機会になっているようです。

江戸:鉄道やバスの現場は男性の多い職場のイメージがありましたが、現在は技術職だけではなく営業職も含め、女性や母親世代の従業員も増えてきました。性別などにとらわれず、自分が仕事に対してどれほど誇りをもって臨んでいるか、もし失敗しても前向きに挑戦していく姿勢を伝えています。
子どもたちが電車のシミュレーターで駅を通り過ぎてしまったり、重い機材をうまく扱えなかったりしても「私たちも最初からできたわけではないよ」とプロが適切なアドバイスをして、コミュニケーションを大切にしながら進めています。

――現場のみなさんにとっても、大きな刺激になっているのですね。

江戸:そうですね。普段の業務に慣れている従業員にとって、子どもの純粋な目線やひらめきに触れられることは、非常に大きな刺激となっています。
そして、「自分の仕事はこんなに子どもたちに面白く映るんだ」「やっぱりこの仕事はかっこいいな」と、仕事に対する価値や誇りを改めて再発見できる機会にもなっています。若手の従業員にとっても、どうすれば小学生にもわかりやすく自分の会社、自分の仕事を伝えられるか、を考えることが、スキルの向上へとつながるという声も多く聞かれますね。

――体験を通して、子どもたちの意識や学びにどのような変化が見られたのでしょうか。

本庄:多くのプログラムは1組限定ではなく、複数のご家族が参加されます。ですので、学校の友だちとも、家族とも違う、初めて会う同世代の子とお仕事のチームを組むことになります。最初は緊張して話せなかった子どもたちが、だんだんお互いに声を掛けあえるようになったり、「次はどうする?」と順番を譲り合ったりして、自然に協力できるようになっていくのは、成長や変化が見える出来事だと感じています。
イッツ・コミュニケーションズのスタジオ見学&ラジオ収録体験でのエピソードで、人前に出るのは苦手だったお子さまが、裏方のお仕事では音声担当スタッフと一緒に音の調整や細かい作業を見事にこなしていて、とても輝いている姿を目にしました。親御さまも、おうちでのお子さまとは違う表情を見て「うちの子はこういう場所、こういう内容に興味があるのか」と、意外な一面に驚かれることが多くあります。
単に見学するだけでなく、実際に手を動かしてやってみることで、お子さまが自分自身の適性を自然に見つめ直すきっかけになっているようです。

江戸:過去に、東急セキュリティの護身術体験や東急電鉄が手掛ける「未来の駅」を想像してデザインするプログラムでも、同様の出来事がありました。「大切な人を守る」、「みんなが使いやすい駅をつくる」という明確な目的があることで、子どもたちは一気にモチベーションを高めます。
沿線に住んでいるかどうかに関わらず、東急グループの事業や街の仕組みに触れていただくことで、自分が暮らす社会の裏側にはたくさんのプロフェッショナルの支えがあることを実感する。それが子どもたちの想像力を広げて、将来の進路や生き方を考えるヒントになればと願っています。

「終わらない街づくり」のため、未来へとつながる好循環

――東急グループが掲げる理念やビジョンが、このキッズプログラムにどのように反映されているのか、そして今後の展望についてお聞かせください。

江戸:東急グループは、交通を基盤としながら「点から面に広がる街づくり」を進めてきました。そしてそれは一度作ったら終わりではなく、時代の変化や地域のニーズに合わせて進化し続ける「終わらない街づくり」でもあります。
グループスローガンである「美しい時代へ」には、調和のある社会の中で一人ひとりが自分らしく心地よく過ごせる環境をつくっていくという覚悟と願いが込められています。キッズプログラムは、まさにその思いを次世代を担う子どもたちや保護者の皆様に体感していただくための大切な場です。

本庄:これからの展望として、参画するグループ各社のプログラムのバリエーションをさらに豊かにし、まだ知られていない「影の立役者」のようなお仕事ももっとお届けしていきたいです。子どもたちが体験を通じて自分の興味を広げ、将来の選択肢を増やすきっかけにしていただけたら嬉しいです。これまでのイベントレポートもグループホームページで掲載させていただいておりますので、ぜひそちらもご覧いただきたいです。

江戸:子どもたちの純粋な発想や「こんな駅があったらいいな」といった声は、これからの街づくりを考える上でも非常に大切なヒントになります。
また、グループ各社にとっても普段はお互いの仕事や取り組みを詳しく知る機会が意外と多くありません。キッズプログラムを通して各社がお互いの取り組みを知り、互いに刺激を受けてより良いプログラムへと高め合っていく、そうしたグループ内の好循環も生まれています。
その循環を大切にしながら、子どもたちや保護者の皆様とともに、これからの未来の街づくりを少しずつ描いていけたらと思っています。変化の激しい時代だからこそ、社会の仕組みを知り、本物に触れ、自分の興味を広げ続ける体験と挑戦を、これからも大切に届けていきたいですね。

「本物に触れること」「安全や安心のために協力すること」を通して、子どもたちに東急グループの仕事や想いを伝えていく「とうきゅうキッズプログラム」。その体験は、次世代を担う子どもたちの視野を広げ、未来を描く一歩にもつながるものとなっています。
参加した子どもたちの気付きや、取り組みから社内で生まれている好循環は、誰もが暮らしやすく、安心して暮らせるまちづくりの礎となるものではないでしょうか。



取材・文/宮崎新之