注目のパフォーマンスブランドOnが新たなサステナブル素材の誕生を発表
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スイス発のパフォーマンスブランド「On」をご存知でしょうか?
実は、スイスでは国民の50人に1人がOnのシューズを履いており、その機能性とデザイン性から、国内外でもトップアスリートを含む多くの人々に愛されているブランドです。最近では、オリンピック難民チームを支援したりなどその社会貢献性からも注目を集めています。
今回は、そんなOnが2021年11月5日(金)に発表した、炭素排出物から作られたサステナブルなフォーム素材「CleanCloud」をご紹介。Onはこの新素材をシューズのアウトソールに使用すると発表しましたが、それは世界で初めての試みとのこと。この記事では、その試みがどうサステナブルなのか、そしてOnのこれからの展望などを紹介し、SDGsにどう貢献するのかをみていきたいと思います。
炭素排出物を素材に?「CleanCloud」はどう作られるか
炭素排出物から作られるフォーム素材CleanCloudですが、それがどうサステナブルなのか、みなさんはイメージが湧きますでしょうか。その鍵となるのは、実は「作られる過程」にあります。まずはCleanCloudがどう作られるのかを見ていきましょう。
そもそも「炭素排出物とは何か」ですが、これは製鉄所などから発生する排ガスのことです。CleanCloudを作るためにはまず、この排ガス内の一酸化炭素が大気中に放出される前に回収をします。そしてその回収した排ガス、つまり炭素排出物をテクノロジーを使って液体エタノールに変換させるのです。このテクノロジーはLenzaTechが開発したもので、特別なバクテリアの効果によって炭素排出物を自然に発酵させて、液体エタノールに変換することができるのだとか。本来捨てられるものが資源に変換されるだなんて驚きですね。その後、液体エタノールからエチレンを生成し、Borealisの技術によって重合することで、EVAと呼ばれる軽量で用途の広い素材に生まれ変わらせることができます。このEVAという素材が、Onがシューズを作るために従来使用していたもので、これからは新たにCleanCloudとしてシューズのフォームに使用されていきます。
On、LenzaTech、Borealisの3社によって共同開発されたCleanCloud。中でもLenzaTechの炭素排出物を液体エタノールに変換させる技術は特許を取得しています。つまり、CleanCloudは最新のテクノロジーを駆使して開発された最先端なサステナブル素材です。
Onが掲げるイノベーションの目標と達成させるための未来展望図
Onは、温室効果ガスの排出量削減を極めて重要なイノベーションの目標としています。その目標を実現させるにあたって、これまで4年の歳月をかけてCleanCloudの開発を進めてきました。目標とする世界の更なる実現のために、将来的にはCleanCloudをシューズのアウトソール以外の部分や、シューズ以外の製品にも使用していく予定とのこと。具体的には、Cloudファミリーや「THE ROGER」シリーズなどのライフスタイルコレクションの一部が対象となるそうです。また達成に向けて、イオケミカルのほか、高機能プラスチック研究において最も革新的な企業である LanzaTechやBorealis とのパートナーシップを結んでいます。
持続可能な素材開発のパイオニアとして新しいサステナブルな風を
今回は、スイス発のパフォーマンスブランドOnが発表した新技術を紹介しました。国際的にも認知の高くファンの多いブランドだからこそ、先進的にサステナブルへの取り組みを進めることはSDGs達成においても大きな意味があるのではないでしょうか。
CleanCloudは本来大気中に排出される排ガスを、テクノロジーを使ってシューズ製造に使用されるフォーム素材として生まれ変わらせている観点から、SDGs目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」に貢献していると言えます。また、従来のシューズは全体として石油ベースで作られることが基本でした。しかし、CleanCloudの開発により石油ベースからの脱却を図れることで、SDGs目標7ターゲット7-3「2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。」の達成をも後押しすることができます。
すでに革新的企業としてグローバルに認知されており、「持続可能な素材開発のパイオニアとして事業を継続していく」と語っているOn。これからのOnの活動にも注目していきたいですね。
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