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ゲーム型ゴミ拾いイベント「清走中」。19歳が向き合う社会問題


この記事に該当する目標
11 住み続けられるまちづくりを 12 つくる責任つかう責任
ゲーム型ゴミ拾いイベント「清走中」。19歳が向き合う社会問題

SDGsと聞いて、「意識が高いな」「自分で何かするのはハードルが高いな」と感じる人は少なくないのではないでしょうか?生活者起点のリサーチ&マーケティング支援を行うネオマーケティングと豊島株式会社が実施した調査結果によると、「あなたは、SDGsを達成するために具体的に何をしたら良いかわからないと感じることがありますか。」という質問に、62.6%の人が、「ある」と回答。
言葉の認知度が高くなる一方で、実際の取り組みへは至っていないことが分かりました。

Q.あなたは、SDGsを達成するために具体的に何をしたら良いかわからないと感じることがありますか。(単数回答)【n=1000】

画像出典:全国20歳~69歳の男女1000人に聞いた「SDGs個人での取り組みに関する調査」
(株式会社ネオマーケティング、豊島株式会社 実施)

こうした中、「ゴミ拾い」を“遊び”へと昇華させ、ゴミ拾い活動に参加するハードルを下げて、環境問題の関心を高めるユニークな取り組みが行われています。

ゲーム感覚ゴミ拾いイベント「清走中(せいそうちゅう)」

「清走中」とは、人気TV番組「逃走中」と「ゴミ拾い」を融合させたゲーム感覚のゴミ拾いイベントで、ポイ捨てされたゴミがアイテムに変わり、街全体がゲームエリアとなるような世界観を演出することで「楽しさ」を入口にゴミ問題について考える機会を提供できる環境教育コンテンツです。
チームで協力して拾ったゴミの種類や重量、LINEを通じて通達されるミッションの達成度などがポイント換算され、上位チームにはスポンサー企業から豪華景品が贈呈されます。
※本企画はフジテレビ「逃走中」の制作チームの許可を得て実施

発起人は、ゴミ拾いに夢中になった大学1年生

このプロジェクトの発起人は、現在大学1年生の北村優斗さん。高校2年生の時に環境問題に興味を持ち始め、授業の一環でゴミ拾いをした際「宝探しみたい!」とゴミ拾いの楽しさに気づき、どんどんハマっていったそうです。自ら学生団体を設立し「信州学生環境サミット」という学生向けの環境啓発イベントや、「信州プラゴミゼロ宣言」といった署名活動を企画していた中、周りの友人からは「ゴミ拾いなんて偉いね」「意識高いね」という言葉をかけられることも少なくなく、周りとの温度差に悩んでいたといいます。
そんな中、小さい頃から大好きだった「逃走中」の番組を見ていた際に、「ミッションを解決しながらゴミ拾いをしたら面白いのではないか!?」と閃いたことがきっかけで、「清走中」を立ちあげたといいます。思いついてからの行動は早く、各所にプレゼンに赴くなど精力的に活動を開始。2020年7月24日に1回目となる「清走中」を地元長野市で開催し、合計100名を超える参加者とともにゴミ拾いを楽しみました。

次なるチャレンジの場所は、東京。「清走中 渋谷編」開催

地元長野を中心に「清走中」を11回実施し、参加者はのべ700人、拾ったゴミの総量は400キロを超えました。次なる「清走中」の舞台として選んだのは、東京・渋谷。東京に遊びに来た際に東京のゴミの量に驚いたといいます。渋谷区はかねてより、ポイ捨てやハロウィン後のゴミ問題など多くの課題を抱えています。そんな課題を“楽しさ”の力で解決するため、渋谷スクランブルスクエアの共創施設「SHIBUYA QWS」に拠点を置き、「清走中 渋谷編」の開催に向けて準備を進めているそうです。普段、環境問題などに関心のない人にこそ参加して欲しいと北村さん。

「SHIBUYA QWS」とは
「SHIBUYA QWS」は、社会価値につながる未来の種を生み出すこと、ならびに0から1を創出することを実現するプログラムを提供し、活動を支援する共創施設。2019年11月の開業以来、QWSチャレンジをはじめとするQWS独自のプログラムを提供し、まだ世の中にない新しい社会価値の創出に挑戦する135のプロジェクトを支援してきました。既に社会実装をして複数のエンジェル投資家やベンチャーキャピタルからの資金調達を得たスタートアップやプロジェクトも出てきています。

“正しさ”ではなく“楽しさ”を入口に

近年は、SDGsという言葉が浸透・一般化したことにより、世界中でこの大きな社会課題の解決に向け、国を挙げた施策や民間企業独自の取り組みなど様々な活動が展開されています。私たち一般市民でさえ、環境保全に関する行動を求められる機会も増えてきました。ただ、この現状に北村さんは、懐疑的だといいます。
ゴミ拾いの活動を始めた当初「環境問題に取り組んでいて意識高いね」「ゴミ拾い頑張って偉いね」など、周囲から意識の高い活動として捉えられてしまい、環境問題への関心の有無で生じる温度差を感じた実体験から、この現状への懐疑心は生まれたそうです。そして北村さんは「だからこそ、“正しさ”が先行した意識の高い活動ではなく、“楽しさ”を入口として正しさを学ぶことができる活動が人々を動かすと考えています。この理念に基づき、僕たちは清走中を社会に浸透させ、将来的にポイ捨て人口が自然と減少していく仕組みを構築します。そして、清走中を通じて社会に楽しさの重要性を発信していきます。」と語ります。

社会課題と向きあっていくためには、強い責任感や課題意識も重要な要素ですが、北村さんのようにフランクに“楽しむ”人が増えることがSDGsに取り組む人が増えるポイントなのかもしれません。