ここ数年で、「ダイバーシティ＆インクルージョン（D＆I）」という言葉をよく耳にするようになりました。
この言葉は、「多様性を認め、受け入れて活かす」ことを意味し、「誰一人取り残さない」というSDGsの理念とも一致している考え方です。
昨今、この考え方はビジネスだけでなく、エンターテインメントやアートの分野でも注目されています。

今回紹介するのは、日本財団が主催する芸術祭「True Colors Festival 超ダイバーシティ芸術祭 -世界とつながるともっと面白い-」。誰もが居心地の良い社会を実現することを目指し、障害・性・世代・言語・国籍など、あらゆる個性をミックスして楽しむ芸術祭です。
当初は2019年9月から2020年7月にかけて行われる予定だった同芸術祭ですが、昨年の新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、演目の多くが中止を余儀なくされていました。しかし今回、バリアフリー・多言語対応のオンライン配信に取り組むなど、“離れていても創り手と観客が一体となって楽しめる形”を目指して再始動することが決定しました。

まず3月5日(金)からは、公式YouTubeチャンネルにて、ドキュメンタリー映像「『対話する衣服』-6組の“当事者”との葛藤」の公開がスタートしました。本作品では、気鋭の若手デザイナー6名が、車椅子や義足を伴う身体など、さまざまな体型の当事者であるモデル6名と向き合いながら服作りに取り組む様子を記録。服が完成するまでの、“対話や葛藤”の様子が収められています。

また、3・4月には、性と人生をテーマにしたドキュメンタリー演劇「私がこれまでに体験したセックスのすべて」を京都と東京の2都市で上演します。公募で集まった60歳以上の出演者5名と、脚本家らが1ヶ月間のワークショップとインタビューを行い、それぞれの性体験の歴史を振り返る演劇作品です。誰にとっても共通の“性”の話題を通して、お互いを知り、人々のつながりを生み出すドキュメントシアターとなっています。

そのほか、4月25日(日)・26日(月)には、SLOW CIRCUS PROJECTによるソーシャルサーカスイベント「T∞KYO∞（トーキョー）～虫のいい話」が、東京・池袋西口公園野外劇場 グローバルリングシアターで開催されます。ソーシャルサーカスとは、サーカス技術の練習や習得を通じ、社会性やコミュニケーション力を育むプログラムのことです。SLOW CIRCUS PROJECTが、「日本初のソーシャルサーカスカンパニー」として、障害の有無・年齢・性・国籍をこえた人々による大規模な野外サーカスを披露します。違いを認め合い、活かし合う共創の素晴らしさを、作品を通じて伝え、人々に未来への希望を届けてくれます。

そして、この芸術祭のアンバサダーには、乙武洋匡さんとりゅうちぇるさんが就任。
乙武さんは、「壁を乗り越え、つながること——。その大切さを心から実感する時代になったいまこそ、多くの人に味わい、楽しんでいただきたいと思います」とコメント。
また、りゅうちぇるさんは、「それぞれの素晴らしい色を持った方達がそれぞれの才能を表現し、ときには一丸となって、僕たちと一緒にTrue Colors Festival を盛り上げていきましょう！」と呼びかけています。
このプロジェクトをきっかけに、芸術×多様性への関心が高まり、誰もが居心地の良い社会の実現につながるといいですね。

True Colors Festival 超ダイバーシティ芸術祭 2021 開催演目
■True Colors FASHION
ドキュメンタリー映像公開 「対話する衣服」 -6 組の“当事者”との葛藤
公開日：2021年3月5日（金）
公開サイト：True Colors Festival 公式 YouTube チャンネル https://www.youtube.com/c/truecolorsfestival

■True Colors DIALOGUE
ママリアン・ダイビング・リフレックス／ダレン・オドネル 『私がこれまでに体験したセックスのすべて』
日時：2021年4月8日（木）～11日（日）
場所：スパイラルホール（東京都港区）

■True Colors CIRCUS
SLOW CIRCUS PROJECT 「T∞KYO∞（トーキョー）～虫のいい話」
日時：2021年4月25日（日）、26日（月）18:00 開演
場所：池袋西口公園野外劇場グローバルリングシアター