都心に潜む「干潟」とは?水辺で学べるSDGs
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皆さんは「干潟」についてどれくらい知っていますか?名前は聞いたことがある、行ったことがある、小さい頃泥だらけになって遊んだ思い出……。住んでいる地域や年代によって受ける印象はさまざまかもしれません。
干潟とは、潮が引いて出てくる遠浅の浜で、潮が満ちてくると海の下に隠れていきます。潮の満ち引きで姿を変える穏やかな干潟が、実は東京にもあります。3月12(土)〜21日(月・祝)には、老若男女が楽しめるイベントが竹芝で開催しています。都心に潜む干潟では、一体どのような体験ができるのでしょうか。
東京・竹芝駅や浜松町駅から歩いて程近い場所に「ウォーターズ竹芝-WATERS takeshiba-」が、2020年に誕生。都心にある水辺と一体化した複合施設は、目の前に広がる穏やかな海と、すぐ近くには緑豊かな浜離宮恩賜庭園も位置している自然を堪能できるスポット。また、開発に合わせてウォーターフロントの立地を活かし、船着場と干潟が整備されました。
干潟は「東京湾のゆりかご」
なぜ都心に干潟?それは、地域の魅力を活かしたまちづくりや、環境再生のためでした。かつて東京湾に多く生息していた貝類や甲殻類など、多様な生き物が生息できる環境の保全・再生、バランスの取れた「多様な生物のゆりかご」を目指しています。目の前に広がる穏やかの水辺には、スズキやクロダイ、ハゼ、エビなどが生息していることや、東京都絶滅危惧種など多くの生物が生存する貴重な水辺ということがわかっています。穏やかな水辺は東京湾に暮らす多くの生き物を包み込む、ゆりかごのような存在です。竹芝干潟では地域の方を巻き込み、豊かな江戸前の海であった東京湾の環境再生を実施。干潟の周りの植栽は、鳥が姿を隠せるよう配置し緑を増やすなど、PDCAを繰り返しながら試行錯誤を重ねています。
また、干潟マイスター講座が行われており、調査実習やディスカッションを繰り返しながら、自然再生実習を行います。小学4〜6年生は保護者同伴、中学生以上は1人で参加が可能です。流木でカニのマンションを作り、カニの動線を考慮しながら配置を変えていく実験や、石を動かし魚が居心地良く過ごせる潮溜まりを作成。多世代が集まることで感性を刺激しあい、干潟の環境や生き物について、東京湾の現状と再生方法、自主的に考え実践することを学びながら、干潟をテーマとして科学的に環境について知識を深めることができます。
水辺を生かしたまちづくり
芝工業高校には「干潟部」があります。正式な部活ではありませんが、同好会ののような形で発足しました。浜松町駅や大門駅を利用し、その地域で学校生活を送る学生たちが一歩外へ出ることで、簡単に自然に触れることができるのです。学校内では感じることが難しい、ありのままの自然環境について、世界に繋がる東京の海から「世の中の環境問題」についても、考えるきっかけとなります。
竹芝干潟には月に一度、オープンデイがあり中に入ることができます。干潟に降りると砂の感触がビーチとは違うことが感じられ、また築地市場の名残とされるプラスチックや発泡スチロールの破片などのゴミが、漂着することも多いようです。オープンデイに参加した子どもたちは、干潟に生きる生物やゴミを通してSDGsについて考え、その感想を伝えてくれることもあります。干潟は「生きた学習の場」であり、その地域の特性をそのまま感じることができます。
「水辺の自由時間コレクション」竹芝干潟の見どころ
3月12(土)〜21日(月・祝)に行われるイベント「水辺の自由時間コレクション」期間中は、海のゴミで作られたアート作品が展示予定。人数制限をかけながら安全に実施されています。
竹芝干潟は小さい面積でありながらも、生物多様性や世界に広がる海の問題について学べる環境にあります。一見、海とは関係がないように見える都心で、海に関するサステナブルな取り組みが行われています。これはSDGs14番目の目標「海の豊かさを守ろう」につながります。見上げた空が世界に広がるように、海も広い世界へとつながり、そして全てが循環しています。その循環の中に身を置く者として、出来ることは何なのか。先ずは身近な場所や環境について知ることから始めてみてはいかがでしょうか。ウォーターズ竹芝で開催される「水辺の自由時間コレクション」では様々なワークショップやイベントが開催されます。詳細やスケジュールは公式サイトでご確認いただけます。
- 水辺の自由時間コレクション
- [日程] 2022/03/12 〜 21
- [場所] WATERS takeshiba(東京都港区海岸1-10-30)
- [実施施設] WATERS takeshiba(プラザ、アトレ竹芝、メズム東京、オートグラフ コレクション、竹芝干潟他)