日本の働き方でよく話題にされるのが、上司や同僚が残業をしていると帰りにくい場面があり、自分の仕事が終わっているにも関わらず、残業をしてしまうという状況です。このような雰囲気の中でまず断れないのが飲み会。かつて、飲みニケーションでは人間関係を円滑にすることで仕事を進めやすくするという目的があったようですが、近年では、飲み会への参加率が下がり、そのイメージも良くないものになってきています。そんな飲みニケーションの変化からだれもが自分らしく生産的な仕事ができる社会とは何かを考えていきましょう。

すべての働く世代の約6割は飲み会は不要だとの結果が！
みんなが気になっている断り方の工夫

飲み会に参加したくない理由としては、上司の愚痴や過去の武勇伝、同僚の悪口や噂話などマイナスな話題が多く、面倒くさいからというものが多いようです。
2021年に約8,000人に行われた日本生命保険相互会社によるニッセイインターネットアンケートによると、飲みニケーションを必要と考える割合は、全体の4割弱となり、昨年の割合よりもさらに減少したとのことです。一因としては、コロナ禍で会食のできない状況が長く続き、お酒の必要性に疑問を感じるようになった人が増えたのではないか、と考察されていました。つづいて20代〜60代の年代別では、6割程度が飲みニケーションはどちらかといえば不要・不要だと回答しており、すべての世代においてほぼ同率の結果となりました。

このようにお酒の場を見合わせたいと思う人が増加する中で、斬新なサービスが登場しています。文章生成AI「Catchy」の「忘年会お断り文章生成AI」は、誰も傷つけたくない、人間関係にひびを入れたくない、という気遣いの気持ちを表現してくれるライティングアシスタントツールです。

例えばCatchyに「飲み会が苦手。」と入力すると、以下のように出力されます。
「会社の忘年会にお誘いいただきありがとうございます。お酒が飲めない私としては、ちょっと気が引けるので、残念ながら欠席させていただきます。また、同僚は皆、忘年会を楽しみにしていると思いますので、その雰囲気を壊したくないという気持ちもあります。その埋め合わせとして、勤務時間中に一人一人の社員と一緒に過ごす時間を増やしたいと思っています。皆さんと楽しい時間を過ごせることを祈っています。」
自分では考えつかないような文章をAIが提案してくれることで、負担なく効率よくお断りすることが可能となるのです。

約47%が忘年会に「仕方なく参加する」と回答

ランチ忘年会にして時間外の拘束を和らげる、参加費は個人ではなく会社負担にする、オフィスで開催し移動の負荷を減らすなど、工夫を求める声もSNSで見られました。時代に合わせて押し付けすぎないあり方を模索する必要がありそうですね。

働きやすい職場づくりはディーセント・ワークがカギに

現在、スイスのジュネーヴに本部を置く国際労働機関ILOでは、「ディーセント・ワーク」の推進を掲げています。ディーセント・ワークとは、自由と平等が保障され、働く人々の生活が安定する、人間としての尊厳を保てる生産的な仕事のことですが、日本では、このような働き方に対してまだまだ多くの課題が残っています。これは近年、国内で多くのハラスメント問題が報告されているということにも大きく関わっています。特に職場内で起こりがちなアルコール・ハラスメントは、飲めない人への配慮を欠くこと以外にも酔ったうえでの迷惑行為も含まれ、セクシャル・ハラスメントに発展する可能性も高いものです。

しかし、そんな飲みニケーションにも当初の目的通りのメリットはあります。例えば、普段あまり話す機会のない人と交流することができる、仕事に関して本音での会話ができる、仕事のヒントやアイディアなどの情報交換をする場が生まれるなどです。このような良い側面をみると主催者・参加者双方がディーセント・ワークを意識し、気持ちよく労いあえる関係であるかも見落としてはいけないポイントでしょう。

SDGs目標8「働きがいも経済成長も」が目指す働く人のあらゆる権利が守られ、生活が安定する自分らしい働き方。職場の飲み会というような枝葉の部分から変えていけるところがたくさんあります。日本の働き方改革のひとつとして、個人の気持ちを優先しても気まずい思いをしなくてよい組織づくりはとても大切です。AIの力もうまく借りながら、ストレスの少ない職場環境を実現できたら嬉しいですよね。働く人が生き生きと充実したワークライフが送れるような社会を意識して作っていきましょう。