ペット禁止の未来もありえる?米仏で2024年から開始される新たな法律とは
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愛らしい姿でわたしたちの生活を癒してくれる犬や猫。すでに自宅で一緒に住んでいる方や、コロナ禍で外出がままならない中、お迎えをした方も多いのではないでしょうか。その中でも鼻がペチャっとしているパグやフレンチブルドッグ、折れた耳が特徴のスコティッシュフォールドや短い足のマンチカンなどはとても人気がありますよね。この見た目の可愛さが、犬や猫の健康を脅かしているかもしれないのです。今、ペットを大切にしている方も、いつかお迎えしたいと思っている方もこの問題について一度深く考えてみましょう。
13年連続人気1位のスコティッシュフォールドも。
病気になりやすい品種「デザイナーブリード」の犬猫たち
アニコム損害保険の調査によると、2021年まで13年連続で人気1位の猫種は、折れ耳がチャームポイントのスコティッシュフォールドでした。実はこの折れ耳は健康を脅かす「骨の遺伝病」であり、治療法が確立されていないそうです。日本国内のペットショップやブリーダー紹介サイトでもスコティッシュフォールドの販売停止を決めた企業もあります。
品種改良されたフレンチブルドッグも。オランダでは飼育禁止へ
鼻がペチャっとした短頭種と呼ばれるフレンチブルドッグは、自然に生まれてきた犬種ではありません。諸説ありますが、祖先は闘犬のモロシア犬とも言われています。大きな身体を小さなフレンチブルドッグに品種改良して生まれました。今ではインフルエンサーの中で人気を博し、SNSでもよく見かけます。2022年1月、オランダのピート・アデマ農相は、新たな飼育、広告、さらにはソーシャルメディアでの写真掲載を禁止する方針を発表しました。
フレンチブルドッグは「デザイナーブリード」と呼ばれ、見た目はとても可愛らしいのですが疾患にかかりやすい犬種です。鼻先が短く呼吸器の病気になりやすいと言われています。パグやシーズーなども含まれ、猫の種類で言うと垂れ耳のスコティッシュフォールドも、なりやすい疾患は違いますが「デザイナーブリード」です。オランダでは、「人間が犬や猫のことを可愛いと思う気持ちが、罪のない命を苦しめている」として、法律で取り締まる方針です。禁止される品種リストの公開には、まだ時間がかかるようですが、パグが含まれる可能性もあるようです。
コロナ禍のペットブームの裏で、世話をしきれず捨てられる命も
そんななか、2024年12月にはニューヨーク州のペットショップで犬や猫、ウサギの販売が禁止になることが決定。(既に、カリフォルニア州やイリノイ州、ワシントン州、インディアナ州で同様の法律が存在。)フランスでも、2024年にペットショップなどで犬や猫の販売が禁止される改正法が可決。動物のショーケースでの展示やインターネットで一般の人が犬や猫の販売を行うことも禁止されます。日本では、2021年6月から犬や猫へのマイクロチップの装着が義務づけられています。
これらの背景には悪徳ブリーダーの排除が目的にあります。利益優先で大量繁殖をする、いわゆる「子犬工場」「子猫工場」と呼ばれる業者の取り締まりです。「子犬(猫)工場」で繁殖し育てられている動物たちの中には、病気にかかっている子や虐待を受けている子たちもいます。その業者から子犬や子猫を引き取った家族が、治療費を支払うことも少なくないのです。
SDGsが掲げる目標12には「つくる責任者つかう責任」という項目があり、「2030年までに、人びとがあらゆる場所で、持続可能な開発や、自然と調和したくらし方に関する情報と意識を持つようにする。」としています。命を“つくる”“つかう”という表現は適切ではありませんが、このままでは人間のエゴで繁殖した犬や猫は行き場がなくなってしまいます。
どんな命も平等に健やかに過ごせる環境を
人間たちが犬や猫の外見にこだわることによって、動物たちが味わなくてもいいような苦しみを抱えるかもしれないのです。こういったペット産業にしてしまったのは、わたしたち人間。そんなつもりはなくても犬や猫、その他の動物たちが辛い思いをしていることを、知ることで意識は変わるはずです。この世界に生きているのは人間だけではありません。すべての生き物が平等で公平に暮らせるように、生き物への接し方や責任を、わたしたち人間がもっと重く受け止めなければなりません。