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胃の中からはプラごみが…「鯨の座礁」はなぜ起こる?その後の処理についても知ろう

胃の中からはプラごみが…「鯨の座礁」はなぜ起こる?その後の処理についても知ろう

#TREND
  • 海の豊かさを守ろう

2023年1月29日に大阪湾で迷いクジラとして話題になった「淀(よど)ちゃん」のニュースを覚えている人は多いのではないでしょうか。
淀川河口付近で発見されたことで、淀ちゃんと名付けられた体長15mほどのマッコウクジラは、テレビのニュースやSNSでも話題の的になりました。誰もが無事に海へ帰れることを願っていた一方で、残念なことに発見されてから数日後には死亡が確認されました。
淀ちゃんのようにクジラを始めとした海洋生物が海岸に打ち上げられたというニュースは日本だけではなく海外でも度々見受けられますが、そもそもどのような理由で海洋生物の座礁が起こり、どのような形で処理をされているのでしょうか。

クジラは私たちと同じ哺乳類であり、確認されている限りの最大個体は34m越えと、地球上では最大の生物とされています。
そもそもクジラの座礁とは「座礁鯨」と言われその定義としては「 生きたまま海岸又は潮間帯に乗り上げた状況」を指します。座礁と間違えられやすいもので「漂着」がありますが、これは 「死亡した状態で海岸又は潮間帯にたどり着いた状況」と定義付けられています。

なぜクジラの座礁は起こるのか

そんな世界最大の生物とされているクジラが座礁する理由は大きく分けると「自然・環境的要因」と「人的要因」の2つに分けられます。
環境的要因として代表的なものは、一部海岸の地形の影響や、シャチなどの天敵から逃れるためや餌を求めるうちに浅瀬に流れ着いてしまったこと、そして地震や台風などによる自然の影響により潮流に変化が起こってしまうことなどが挙げられます。
自然・環境的要因に関しては自然の摂理として致し方ないことですが、問題とされているのが人的要因です。
人的要因の中には、船舶や漁網との衝突が主に挙げられます。クジラは潮を吹くことで呼吸しているため、海底ではなく水面に出現したときに船と衝突してしまうことがあるそうです。

また、クジラが座礁してしまう人的要因として直接的な因果関係はないとされている一方で、問題視されているものの一つに、海洋に漂流している「海洋プラスチックごみ」があります。クジラは海の中で大きく口を開けて餌を捕獲するため、座礁したクジラの中には、海洋プラスチックを大量に飲み込み、内臓を負傷しているクジラが発見されています。
2018年11月18日には、インドネシアに座礁したクジラの胃の中から約6キロのプラスチックごみが見つかっています。

ペットボトルやビニール袋など、私たち人間が生み出したプラスチックゴミは年間にして約900~1,400万トンも海に流れていると言われています。SDGsが目標としている「海の豊かさを守ろう」でも掲げられているように、海の汚染を防ぐためには私たち一人ひとりが行動を見直さなければならないですよね。

大きなクジラの死骸の処理方法とは?

クジラの座礁のニュースを目にしても、死骸がどうなるのかまで知っている人は少ないと思います。先述の大阪湾に座礁した淀ちゃんは沖合まで運び、海底に沈める形で処理が行われたことが発表されました。

座礁したクジラの死骸を放置しておくと、腐敗により死骸内部にガスなどが蓄積し爆発してしまう恐れがあるため、水産庁による座礁鯨類処理対応マニュアルには、一般廃棄物として処分するという記載があります。
海底に沈める他に、地中に埋めたのちに取り出して標本化する方法や、焼却処分など状況によってさまざまな方法が取られているようです。

海底に沈んだクジラの死骸が生み出す「鯨骨生物群集(げいこつせいぶつぐんしゅう)」

「鯨骨生物群集」とは、海底に沈んだクジラの死骸から形成される生物群集のことを指します。クジラの死骸は海底に住む海洋生物に食べられますが、残った骨にも深海に住む海洋生物が集まることでクジラの死骸から起こる特殊な生態系として注目されているそうです。
日本でも昔から「一匹の鯨に七浦賑わう」という言葉があるように、多くの生物にとってもクジラが作り出す恩恵は大きいようですね。

クジラの座礁には様々な自然的な避けられない要因があるとは言え、私たち人間が現状を見直し行動に移すことで海洋汚染を防ぐことも不可能ではありません。
まだまだ謎が多いクジラの生態ですが、地球の環境汚染の影響を受けている生物でもあり、
地球の環境を作り出している大きな要因でもあると言えますね。

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