ジェンダーレス制服でどう変わる?Disney・スタバ・資生堂の取り組みとは
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毎年6月は、LGBTQ+の権利を啓発する活動やイベントが世界中で行われるプライド月間です。今年5月に、スポーツアパレルブランドのadidasが「プライド・コレクション」として南アフリカのクィアデザイナー、リッチ・ムニシ氏とタッグを組み「Let Love Be Your Legacy」を発表。PRIDE SWIMSUITへ賛否の声が上がりました。「スポーツや文化のあらゆる空間で、アライシップと偏見のない表現を促進する」とメッセージしています。アメリカのTwitterでは、女性用スポーツウェアというカテゴリーで生物学的に男性と思われるモデルを起用したことに対し、「Boycott Adidas」がトレンド入りするほどに。装いの自由と多様性をどうとらえるか、さまざまな世論が上がりました。
日本国内では「LGBT理解増進法」をめぐる法案の動きも含め政府や企業でもダイバーシティ推進の動きが加速しています。いくつか例を見ていきましょう。
資生堂32年ぶりに一新!制服の組み合わせは「120通り」
資生堂は2022年10月、美容部員の呼称を「ビューティーコンサルタント」から「パーソナルビューティーパートナー」に変更しました。呼称変更は1990年以来の32年ぶり。これを機に制服も一新し、全14アイテムの中から計120通りのバリエーションを作ることができるようになりました。私服でのアレンジや足元のアイテムも選択でき、一人一人の個性を生かしたコーディネートが楽しめるように。美容部員に多様性が広がることで「自分らしい美」をテーマに、これまでよりももっとパーソナルな美をお客様と一緒に創り上げるというコンセプトを企業として意識しています。
ディズニーキャスト、身だしなみを個人の希望で選べるように
2023年4月、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドでは、従業員の身だしなみを規定した「ディズニールック」の一部を見直しました。園内で従業員が着る制服において、男女の違いをなくした「ユニセックス運用」と呼ばれる仕組みを段階的に広げています。
具体的には、男性はズボン、女性はスカートといった指定をなくし、従業員が希望する制服を着用できるようになっています。また、髪形や化粧も、性別を問わないルールを設け、全てのキャストに同一の内容で示すことにしました。パークの世界観などを考慮しつつも、キャストの身だしなみの部分で、性別の多様性を表現しています。
スタバのドレスコード改定から2年。みんなの反応は?
スターバックスコーヒージャパン株式会社は、1996年の日本上陸以来、2021年に初めてのドレスコード改定を行いました。改定後には、約97%の店舗でパートナー(従業員)が「髪色」を自己表現のひとつとして変えたという結果に。季節のビバレッジにちなんだ髪色にする人もいたそうです。こうした中、99%がドレスコードを改定してよかったと回答。
理由としては、
「自己表現が自由になり、働く自分に自信や誇りを感じられていると思う」
「より自分らしくいられる選択ができるようになったため」
という声がありました。さらに、パートナー同士のコミュニケーションが増えたと回答した人が、約72%。
「働いている中で、会話のきっかけとなり、より相手を知るひとつのツールとなっている」「褒め合うコミュニケーションも生まれるし、認め合うコミュニケーションが活発になった」
と、個性を認め合うことで、職場内のコミュニケーションも円滑になることが分かりました。
学校にも広がるジェンダーレス制服、スラックス導入校は5年で5倍以上に
企業だけではなく、学校でも変化が起こっています。2015年に文科省が発表した「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、 児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について」によって広まったジェンダーレス制服。カンコー学生服は、女子スラックスを採用した学校は2023年2月末時点で累計3,041校と発表。過去5年で5倍以上採用校が増加しています。制服メーカーの株式会社トンボのアンケートによると、保護者の81.5%、中高生の83.1%がジェンダーレス制服に対して好意的な反応を示しているそうです。
男らしさ・女らしさを求めるのではなく、一人ひとりの個性を大切にしようという動きが企業や行政、学校でも加速することはとても前向きな一歩です。ジェンダーバランスが課題視される中、今後の職業選択においてもポジティブに作用することを願います。各社の今後の動きにも注目です。