SHOW CASE 2025.01.30【ルレ・エ・シャトーがユネスコとのパートナーシップを発表】地球上の全ての命と調和する持続可能なホスピタリティーこの記事に該当する目標 12 つくる責任つかう責任 14 海の豊かさを守ろう 15 陸の豊かさも守ろう 17 パートナーシップで目標を達成しよう 近年、旅行や外食の際に環境への配慮を意識する人が増えています。大手宿泊旅行サイトが行った調査によると、世界の旅行者の83%、日本の旅行者の62%が「サステナブルな旅行が重要」と回答しており、環境に配慮した選択が広がっていることが伺えます。宿泊施設やレストランでも、エコフレンドリーな取り組みが進み、地産地消や食品ロス削減などを実践する施設が増えているのではないでしょうか。これは私たちの選択が、より持続可能な未来に繋がることを実感しながら、旅行や食事を楽しむ時代が到来していることを示しています。ホスピタリティ業界におけるSDGsへの貢献は、時を重ねるごとに着実な進歩を見せ、関心も高まっています。2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を契機に、2016年から2030年までの国際的な目標として世界中で推進されています。この流れを受け、日本政府観光局(JNTO)は、2021年6月に「SDGsへの貢献と持続可能な観光(サステナブル・ツーリズム)の推進に係る取組方針」を策定しました。観光業界全体で、環境への配慮や地域社会との共生を重視した取り組みが進んでおり、持続可能な観光の実現に向けた努力が続いています。こうした動きは、業界関係者のみならず、旅行者自身にも大きな影響を与え、より良い未来を目指す力強い推進力となっています。一流のホテルやレストランが加盟するフランスの非営利団体「ルレ・エ・シャトー」では、環境への配慮を毎年高い目標を設定し努力を重ねています。加盟する580の施設では、環境負荷の低減や地域社会への貢献など、積極的に呼びかけをしています。そんなルレ・エ・シャトーが2024年に、ホスピタリティー業界で初めてとなるUNESCO(ユネスコ)とのパートナーシップを発表しました。ホスピタリティーと世界各国の料理の知識・伝統を生かして、生物多様性の保全と持続可能な社会に貢献するため、共同プロジェクトを立ち上げることを目的とし、このパートナーシップが結ばれました。ユネスコは、ルレ・エ・シャトーの新しいコミットメントである「地球上の全ての命と調和して: サステナビリティ12 の約束」を支持し、主要な3つの使命の実現を目指しています。3つの使命・ 世界のホスピタリティと料理の伝統を守ること・ 生物多様性の保護と発展に貢献すること・ より人間味のある世界のために日々行動することこのパートナーシップを機に、さらなる共同計画も予定しており、より良い社会の実現に向けた取り組みが注目されています。日本の加盟施設の持続可能な活動日本では、18のホテルやレストランがルレ・エ・シャトーに加盟しており、各施設では絶滅危機にある生物の保護や地産地消など様々な持続可能な活動に取り組んでいます。柏屋(大阪府)2024年4月からレッドリストに掲載される鰻を献立から外すことを決め、鰻の資源量が一定の改善が見られるまで、もしくは環境負荷の少ない完全養殖が実用化するまで、鰻を使用しないことを決定しました。海洋資源の持続可能性を重視し、養殖魚の利用は不可欠だと考えています。環境への影響を最小限に抑え、安全で美味しく、低環境負荷の生産方法に取り組んでいます。魚の生産者「大瀬戸水産」と連携し、魚を人の手で育てる意味を改めて考え、養殖魚の将来に向けた可能性を追求しています。天然の魚粉を使わずに成長する藻食魚「アイゴ」の親魚から、1500匹の稚魚が誕生しました。そのうち100匹は親魚として継続飼育中で、残りは海洋資源保全の意識伝播のために、近隣の学校や海浜公園などに無償提供しました。牛蒡、蓮根、汲み上げ湯葉、大和芋、白胡麻などを使用した「鰻擬(うなぎもどき)」天空の森 (鹿児島県)深い森に囲まれた「天空の森」は、ミツバチにとって絶好の隠れ場所です。天空の森では、 希少価値の高い準野生のセイヨウミツバチを保護しています。ミツバチが必要とするスペースに細心の注意を払い、野生のミツバチとの競争を避けるために、森の中に巣箱を離して配置しています。また、天空の森で保護するミツバチは農薬を使わずに十分な飼料を得られることができ、かつ施設の有機野菜畑で受粉をしてくれるという相乗効果も生まれています。扉温泉明神館 / ヒカリヤ ニシ(長野県)長野県松本市にある「扉温泉明神館」「ヒカリヤ ニシ」では、自家農場での無農薬野菜の栽培と地産地消を推進しています。統括料理長の田邉シェフは、地域の小中学校の食育授業に講師として参加し、食育の推進に寄与しているほか、「自立心、探求心、感受性、積極性を高めてあげたい」という思いから、地域の親子を対象に食の寺子屋を実施しています。明神館も同じく、「養蜂」にも取り組んでおり、アトリエにて採取したハチミツを使用したスィーツを提供しています。そのほか、生ゴミを肥料としてリサイクルし、自家農場で活用する循環システムの導入や、環境に考慮した製品を使用するなど、地域環境の保全・整備、自然エネルギーの循環等に取り組んでいます。これからの旅行では、一人一人の選択が地球に与える影響を考え、持続可能な選択肢を選ぶことが大切です。環境に配慮した宿やレストランを選ぶことで、未来を少しずつより良いものにしていけます。旅行を通じて、地球と共に生きる意識を高め、SDGsの実現に向けた一歩を踏み出すことが、これからの社会にとって大きな力となるはずです。ルレ・エ・シャトーについてルレ・エ・シャトーは1954年、世界中から選りすぐりの580軒のホテルとレストランの個人経営のオーナーが結集し、発足しました。そ の多くは家族経営であり、地域の文化を共有することに深く献身し、善と美の探求に心から取り組んでいます。ユネスコについて194の加盟国を擁する国連教育科学文化機関として、教育、科学、文化、コミュニケーション、情報における多国間協力を推進することで、平和と安全に貢献する。ユネスコは、2,000以上の世界遺産、生物圏保護区、世界中のジオパーク、数百に及ぶクリエイティブで学習的、インクルーシブで持続可能な都市と、13,000を超える関連学校、大学講座、研修・研究センターのネットワークを有する。パリを拠点にしたユネスコは、世界54カ国の事務所に2,300人以上の職員が働く。事務局長はオードリー・アズレイ。「戦争は人の心から生まれるものだから、平和の守備力は人の心の中に築かれなければならない」 – ユネスコ憲章(1945年)。 SDGs MAGAZINE この記事のシェアをするX(Twitter)FacebookLINEURLをコピー