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働くだけで健康に?麻布台ヒルズが挑む新たな街づくりとは


この記事に該当する目標
3 すべての人に健康と福祉を 8 働きがいも経済成長も 11 住み続けられるまちづくりを
働くだけで健康に?麻布台ヒルズが挑む新たな街づくりとは

健康のために運動を始めようと思っても、日々の忙しさから、なかなか続かない。そんな経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。

働く人の心身の健康を守る「健康経営」への関心が高まる一方、健康づくりは個人の意識や企業ごとの取り組みに委ねられることも少なくありません。特に、普段から健康への関心が薄い人に、どのように行動を促すかが大きな課題です。

こうした中、健康づくりを個人や企業だけに任せず、街全体で支えようとする取り組みが始まりました。

森ビル株式会社は麻布台ヒルズを舞台に、街・企業・大学が連携し、働く人の健康増進を目指す「Hills for Wellness」を始めました。日常の過ごし方を少し変えることで、自然と健康的な習慣が身につく。そんな新しい街づくりの可能性に注目します。

健康づくりを街全体で支える新たな仕組み

麻布台ヒルズは、「Green & Wellness」を街づくりのコンセプトに掲げ、約24,000㎡の緑化面積を有する複合施設です。

今回始まった「Hills for Wellness」では、街の運営者である森ビルや店舗、入居企業、慶應義塾大学が連携。街の環境を生かして健康的な行動を促すとともに、日常の健康データを分析し、その成果を個人や企業に還元する仕組みを目指しています。

取り組みの柱となるのは、街のウェルネスプログラム、企業のコミュニティプログラム、大学との共同研究の3つです。

通勤や昼休みが運動の時間に?身近な「ついで運動」

1つ目は、日常生活の中で体を動かす機会を増やすウェルネスプログラムです。

10月13日(火)から30日(金)まで麻布台ヒルズで開催される「MOVE MORE WEEK」では、慶應義塾大学の監修のもと、普段の行動に運動を取り入れる「ついで運動」を提案しています。

例えば、通勤時に歩く距離を増やす、エスカレーターではなく階段を使う、朝の広場を散歩するといった身近な行動です。特別な時間を確保しなくても、毎日のちょっとした工夫が健康づくりにつながります。

また、中央広場ではランチタイムに参加できる「MOVE MORE 体操」を開催。そのほかにも、30秒スクワットチャレンジや仲間と街を歩く「HILLS NIGHT WALK」など、楽しみながら体を動かせるプログラムが用意されています。

参加に応じてヒルズアプリにスタンプが貯まる仕組みもあり、運動を無理なく習慣化できるよう工夫されています。

企業の垣根を越えた健康経営と、大学との共同研究

2つ目は、麻布台ヒルズに入居する企業同士が連携する「HRウェルネス推進会」です。

各企業の人事や健康経営の担当者が集まり、従業員の健康に関する課題やノウハウを共有。将来的には、企業の垣根を越えた健康施策の共同実施も目指しています。

そして3つ目が、慶應義塾大学との共同研究「都市で働く人のウェルビーイング研究」です。

麻布台ヒルズの開業以降、すでに1,600人以上のワーカーが研究に参加。アンケートや健康診断の結果に加え、スマートフォンやウェアラブル端末から得られる歩数、睡眠、心拍などのデータを収集・分析しています。

この研究で注目されるのが「0次予防」という考え方です。

一般的な健康づくりでは、運動や食生活の改善など、自分自身の行動によって病気を防ぐ「1次予防」が重視されます。一方、0次予防とは、街や生活環境そのものを整え、特別に意識しなくても健康的な行動を取りやすくする考え方です。

麻布台ヒルズでは、街の環境や働き方が心身の健康に与える影響を調べ、今後の健康づくりや予防医療に生かすことを目指しています。

「働く場所」の価値が変わる?ウェルネスを軸とした都市の未来

今回の取り組みで興味深いのは、健康づくりの主体を個人から街全体へと広げている点です。

これまで、働く人の健康管理は個人の生活習慣や企業の福利厚生などに左右されてきました。しかし、毎日利用する街の中に運動のきっかけや人との交流が生まれる仕組みがあれば、健康を意識する機会そのものが増えるかもしれません。

また、大学との共同研究を通じて、街の環境や多様な働き方を分析し、それらが人々の健康にどのように影響するかを検証できる点も特徴です。一時的なイベントで終わらせず、健康的な行動をいかに日常に定着していけるかが今後の鍵となりそうです。

一人ひとりが健康的に、自分らしく働き続けられる環境をつくることは、SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」、目標8「働きがいも経済成長も」、目標11「住み続けられるまちづくりを」にもつながります。

健康に関心のある人だけでなく、誰もが無理なく健康的な習慣を身につけられる街へ。麻布台ヒルズで始まった新たな試みは、これからの都市やオフィスのあり方を考えるきっかけになりそうです。