波を利用した発電に注目!米国エネルギー省が2500万ドルを支援
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2022年3月21日、東京電力が電力供給地域に向けて節電の呼びかけを行いました。原因は16日に起きた福島県沖の地震の影響で一部の火力発電所が停止したことに加え、寒波による電力供給のひっ迫です。初めての電力需給のひっ迫警報の発令であったものの、事前の呼びかけにより生活に支障が出ることはありませんでしたが、今回の発令を通して電力供給が不安定になる可能性があることを再認識させるきっかけになったのではないでしょうか。
日本の電力供給の現状
冷暖房・冷蔵庫・テレビなど今や生活する上で必要不可欠な製品に共通するのは「電力」です。電力がなければ電車に乗ることも携帯電話を充電することも…今私たちが何気なく生活の中で行動していることが簡単にできなくなります。日本で使用される電力のうち、どの程度を国内資源でまかない、発電を自給しているかご存知でしょうか?実はその割合はたったの12.1%なのです。(2019年度時点)
つまり、日本の電力のうち84%は一次エネルギーと言われる石炭や石油などの資源を輸入し、発電しています。そのため、海外のエネルギー資源に依存をしている日本は災害や国際情勢により電力供給が容易に揺らいでしまうのです。国内のエネルギー供給の課題は、海外資源に依存をしていることだけではなく、発電方法も課題に上がっています。
日本の発電方法は石炭などの化石燃量による火力発電が76.3%を占めています。今世界がCO2の排出をはじめとした「脱炭素」を世界共通の課題として取り組んでいる中、地球に負担のない安定した発電方法へと見直す必要があります。
ウェーブし続ける「あれ」を利用した発電に米国が注目!
発電方法の見直しに伴い重要視されているのが環境に優しい再生可能エネルギーです。代表的なものでは「太陽光発電」や「風力発電」が該当し、これら再生可能エネルギーはヨーロッパをはじめ各国で導入されている発電方法です。
近年、日本においてもヨーロッパなどに比べ導入率は低いものの、再生可能エネルギーの導入が目立ってきました。そんな世界中が開発などに尽力している再生可能エネルギーの新しい発電方法が今、アメリカで注目されています。その発電方法は「波」を利用した発電です。
ヨーロッパが風力発電や地熱発電などの技術で世界の再生可能エネルギーをリードする中アメリカはまだ国を支える発電として安定していない「波発電」に注目しました。アメリカ合衆国エネルギー省(DOE)は8つの波発電のプロジェクトに2500万ドルの支援を行いました。その支援により2023年には北アメリカで初となる海上運用テストが実現予定。オレゴン州立大学のPAC WAVEというプロジェクトを予定しています。この運用テストは波発電業界においてとても大きな一歩となります。
画像出典:PacWave公式サイトより
そんな「波発電」ですが、実は目新しいものではなく、19世紀末より波の動きを利用したエネルギー開発が進められていました。日本でも開発は進められてはいたものの、研究開発段階であるため統一された方法が確立されていません。
多様化する再生エネルギーがもたらす未来とは
自然の力を使って生活を豊かにする多様化する再生可能エネルギーには、明るい未来に繋げる可能性があります。しかし、自然の力が故に供給の安定に不安も残ってしまうことは否定ができません。
太陽が出ない日には、風が吹かない日には「波」の力に頼れる日がそう遠くないかもしれません。
参考文献:
NERGY.GOV公式サイト DOE Announces $25 Million for Cutting-Edge Wave Energy Research
PacWave公式サイト
海洋開発工学概論 海洋再生可能エネルギー開発編 改訂第 1 版
経済産業省 資源エネルギー庁 公式サイト 日本のエネルギー 2021年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」