果物の皮でつくる食べられるマドラー?机上の空論で終わらせない神大のSDGs教育
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3月29日、神奈川大学のみなとみらいキャンパスで開催された学生たちによるサーキュラー デザイン プロジェクトの発表会にお伺いしてきました。
発表は、Nature Innovation Group(アイカサ)、富士フイルムイメージングシステムズ、三菱鉛筆、無印良品 港南台バーズなど、サーキュラーエコノミーを実践する企業に向けて行われました。
サーキュラー デザイン プロジェクトとは
「サーキュラー デザイン プロジェクト」とは、神奈川大学の経営学部国際経営学科准教授である道用大介氏のゼミを中心にした『サーキュラーエコノミーについての学びを深め、アイデアに留めず実際にプロトタイプの制作までを実施するプロジェクト』のことです。
今回は、デジタルファブリケーションを学ぶ経営学部の学生が参加しました。
*サーキュラーエコノミーとは、日本語にすると循環型経済または循環経済を指します。
このプロジェクトを実施するにあたり「Circular Yokohama」を運営するハーチ株式会社が特別講師として協力。学生と二人三脚で企業の意見を取り入れながらアイデアを創造し、商品化までの過程を学んだそうです。
プロジェクトは2022年1月から始まり、ブラッシュアップを重ね今回が学生にとっての集大成の発表の場になりました。
気になるプロトタイプの内容
発表は合計8組のグループで行われました。どんなアイデア商品が発表されたのか、簡単にご紹介していきます。
1.ガムシロップカップなどのプラスチック容器から作る学生証
「身近なモノから、身近なモノへ」の循環に着想を得て制作。ガムシロップのカップを熱圧着し、カードに切り出してプリント。使用後のカードはICを抜いて再利用が可能になった商品。
2.鉛筆の削りカスからつくる鉛筆
溶かしたローソクに、鉛筆の削りカスを混ぜて、再凝固した鉛筆を制作。削ったカスを溶かして固めることを繰り返せば、何度も使える鉛筆に。
3.枯れた花などから作るバッグ
「花が枯れて、捨てるのがもったいない」という思いから制作に至る。ドライフラワーやレジンで加工し、アクセサリーやパッチワークとして再利用。
4.ペットボトルキャップから作るカトラリー
ペットボトルのキャップから、ナイフやフォークを作り、粘土遊び用道具に。
リサイクルを子供の生活に早い段階で取り入れることで次世代にもリサイクルの意識付けを行うといった狙いがあるそう。そのため、あえてリサイクルだということが分かるような加工を施していました。
5.絵本を再利用した壁紙
使わなくなった絵本を子供部屋の壁紙にしたり、のれんにするなど、思い出を無駄にしない再利用。「懐かしい」「好きだった絵本」という持ち主の気持ちにも寄り添ったリサイクルを提案。
6.段ボールでつくる子供用学習机と椅子
段ボールはリサイクル率がほぼ100%。優秀な素材の有効活用に着眼。包装以外の用途を創出。
7.果物の皮でつくるマドラー
過剰除去してしまいがちな果物の皮を有効活用。砂糖で煮だして固結、フルーツの風味が残り、最終的に食べられるマドラーとして制作。
8.包装素材から作る傘
ビニール傘の消費率に目をつけ、再利用を提案。骨組みにビニール袋などを貼り付けることで繰り返し使える仕組みを取り入れる。
発表では、学生ならではの気付きや、きっかけからアイデアが生まれ、実際に制作、そして失敗談などが語られました。商品開発の難しさや実現までの道のりの険しさを学んでいる様子を垣間見ることができました。約3か月、試行錯誤の末に生まれた学生の作品を聞いている企業の担当者の皆さんもわくわくしている様子でした。
発表後には約1時間かけて、参加企業から商品化に向けての具体的なフィードバックが行われました。実際に「商品化するとしたら」という観点から改善すべき点をアドバイスするなど、企業側も若者の意見を元に新鮮な交流ができている新しい空気感がとても印象的でした。神奈川大学の経営学部の取り組みとして、考えるだけに留まらず、実際にプロトタイプまで落とし込む取り組みはとても実践的と言えます。
余談になりますが、今回の発表会の学生メンバーは参加者のほとんどが女性でした。積極的にリードし、発表している様子を見ていて次世代の女性が活躍する社会が想像できたことも大変心強く、ジェンダー平等の社会の可能性を感じることもできました。 SDGsの取り組みというのは、企業や自治体だけではなくそれぞれの立場で考えることが大切だという事を改めて感じることができました。2030年を迎える頃には社会に出ている彼らが、今回の経験をどう生かすのか楽しみです。そして、若いチカラを活かすために私たちが何をすべきなのかを考えていきたいですね。