10月1日、育介法改正。産後パパ育休に孫休暇?男女格差是正に向けた日本の現状とこれから
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男女格差が大きく、先進国で最低レベルとされる日本。2022年7月に世界経済フォーラムが公表した「The Global Gender Gap Report 2022」内の「各国における男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数」では、日本は146か国中116位。例年と横ばいでした。これは、近隣国の韓国、中国、ASEAN諸国よりも低い結果です。日本の暮らししか知らないと気づきにくいジェンダー・ギャップ。今回はジェンダー・ギャップ指数を参考に、日本のどのような部分が問題なのか知り、最新の日本のジェンダー平等政策を押さえていきましょう。
教育では日本は1位!ジェンダー・ギャップの問題は政治経済に
2022年のジェンダー・ギャップ指数で、例年と大きな変化はなく146か国中116位という結果だった日本。最貧国の1つとされるブルキナファソよりも順位が低いのには、衝撃を受ける人も少なくないのではないでしょうか。しかし、ジェンダーギャップ指数は、分野によって差があるのが事実。ジェンダー・ギャップ指数は、経済、政治、教育、健康の分野でそれぞれ評価されます。実は今年のジェンダー・ギャップ指数において、日本は教育分野では1位だったのです! 誇れる部分もあって少し安堵しますが、その分足を引っ張っている分野があるということになります。ジェンダー・ギャップ指数が示す日本の男女格差の問題点は、まさに政治・経済分野です。政治分野では146か国中139位、経済分野では121位でした。
日本が1位を獲得した教育分野では、識字率の男女比、初等教育就学率の男女比、中等教育就学率の男女比、高等教育就学率の男女比が評価されます。また63位で比較的高評価であった健康分野では、出生時性比、健康寿命の男女比が対象。教育、健康におけるこれらのポイントでは、男女の格差は大きな問題ではないと考えられます。しかし政治分野で評価される国会議員の男女比、閣僚の男女比、最近50年における行政府の長の在任年数の男女比、また経済分野での労働参加率の男女比、同一労働における賃金の男女格差、推定勤労所得の男女比、管理的職業従事者の男女比、専門技術者の男女比では、課題が山積されているということ。
こうした問題を解決するには、どのような対策がなされるべきでしょうか。直近の法や制度の改正と合わせて見ていきましょう。
男女格差をなくすために。日本の動きとこれから
政治、経済分野において、とくに男女格差が大きい日本。もちろん、日本政府も政策を進めています。2022年6月には「女性版骨太の方針2022」において「女性の経済的自立」、「女性の登用目標達成」など、政府全体として今後重点的に取り組むべき事項が定められました。政治においては、2022年4月に公表した政治分野におけるハラスメント防止研修教材の積極的な活用を促すなどの動きが。経済分野では、男女間賃金格差に係る情報開示の義務付け、女性デジタル人材の育成、看護・介護・保育など女性が多い分野の収入引上げなどの取り組みが進められています。
直近では10月1日の育児・介護休業法(育介法)改正により、新しい制度が始まりました。では、具体的にどんな変化があるのか見ていきましょう。
産後パパ育休で育児の分担がしやすく
10月1日の育介法の改正によって、「産後パパ育休」(出生時育児休業)、「育児休業の分割取得」がスタート。「産後パパ育休」は、これまでもあった育休とは別に取得できる制度です。子の出生後8週間以内に、4週間まで取得可能。今回の改正によって、これまで休みを分割することができなかった「育児休業制度」も新しい「産後パパ育休」も、休みを分割して取ることが可能に。さらに子どもの1歳以降の延長については、旧制度では育休開始日を1歳か1歳半の時点に限定されていましたが、改正後は育休開始日が柔軟化。これにより、父と母が交代で育休を取りやすくなり、子育ての負担がどちらかに偏るのを避けられます。残念ながら「男のくせに育児休業を取るなんて」「迷惑だ。自分なら取らない」などのハラスメントがあるのが実情。しかし、事業主には上司や同僚からのハラスメントを防止する措置を講じることが義務付けられているので、権利はしっかりと主張したいところです。
孫休暇を全国ではじめて導入する県庁も誕生
宮城県庁では子どもの育児休暇ではなく、孫の育児休暇を2023年1月に導入予定。とくに都心以外では、祖父母との同居や近隣に住んでいる人も少なくありません。宮城県としては、「新・宮城の将来ビジョン」において「社会全体で支える宮城の子ども・子育て」を掲げています。定年が65歳まで引き上げられたり、定年後の再雇用も増えたりする中、現役世代が孫を抱えることも増えると考えられます。宮城県庁のケースをモデルに制度が拡散されれば、働く親の子育ての負担が減るだけでなく、産後うつや育児悩みの対策にもなるかもしれません。
男女格差がまだまだ大きい日本。そんな中、2022年7月の参議院選挙では、当選者の女性割合は過去最高の28%でした。また明治以来の法改正により、女性の再婚禁止期間が廃止に。じわじわと、ジェンダー・ギャップが埋められてきているのではないでしょうか。個人でも選挙を通して政治に参加したり、所属する会社やコミュニティでジェンダー平等を訴えることで、日本の男女格差を変えていくことにつながるかもしれません。